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特別支援学校

「教科等研究セミナー」
生徒が自己肯定感を高め、意欲的に活動に参加する姿を目指した指導・支援の在り方
新潟県立江南高等特別支援学校
伊藤 宏之

  生徒の自己肯定感を高め、「これをやりたい」という思いや目標をもち、意欲的に取り組む姿や周囲と関わる姿を目指した研究です。
 「構成的グループエンカウンターや教育相談などを通して、自己理解・自己受容を促すことで、生徒の自己肯定感が育まれるであろう」という研究仮説を基に実践を行いました。主な実践は以下のとおりです。
1 「見付けよう!友達の良い所」
 友達同士でお互いの良い所を伝え合う活動を行いました。授業後には、「自分では気が付かなかった良い所を友達に言ってもらえて嬉しかった」と感想を述べていました。
2 「みんなでリフレーミング」
 様々な見方で物事を捉えられるように、自分が短所だと思っている所を教師や友達からの助言を基に前向きに考える活動を行いました。
 例えば「集中力が続かない」という短所を「いろいろなことに興味がある」と考えることができました。授業後には「短所をプラスに考えたことがなかったので、面白かった」と感想を述べていました。
3 認知行動療法の考え方を取り入れた教育相談
 コラム法の理論に沿って、教育相談の中で進路指導を行いました。①不安に思っていること、心配なこと ②どうすればよいか ③これからどうしていくか の3点について視覚的に整理して教師と一緒に考えることで、前向きに挑戦してみようという気持ちをもつことができるようになりました。

本研究を通して、有効だと考えられる支援は以下のとおりです。
1 自己理解を促すために、よいところを友達や教師から伝える活動やよい姿を捉えて称賛や励ましを繰り返し行ったこと
2 様々な見方で物事を考えられるように、様々な見方や考え方があることを示したり、聞いたりする機会を設けて、考え方の幅を広げるようにしたこと

 今後は、それぞれの実践の意義を整理するとともに、他の職員との連携を図りながら計画的に指導・支援を行っていきます。

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「教育実践」
在学中から利用できる福祉サービスの充実を目指して
~学校・家庭・関係機関の連携・協働による取組~
新潟県立はまぐみ特別支援学校
井口 貴雄

  子どもたちは地域で多くの人と関わりながら、暮らし、成長していく。当校の子どもの多くは在学中から地域の医療や福祉等の支援サービスを利用している。地域の関係機関との早期からの情報共有やニーズの確認は、本人や家族の卒業後の生活を確実に支えることにもつながると考える。当校においても近年、福祉サービス等に関する保護者からの相談が増えている。放課後や長期休業中を地域で有意義に過ごしたいという本人や保護者の願いが高まり、実際に利用する動きが盛んになってきた。
 そこで、以下のような取組を家庭、関係機関と連携・協働して取り組んだ。
1 「福祉サービス等の充実に向けたアンケート調査」の作成・実施
 保護者の具体的なニーズを把握し、関係機関と情報共有していくことを目的としてアンケート調査を実施した。作成に当たり、保護者や福祉行政、福祉事業所、相談支援事業所、訪問看護ステーション等の関係機関と連携・協働で作成した。学校が中心となり、「保護者の思いや伝えたいこと」と「関係機関の見解や知りたい情報」を相互に確認、理解し合い、合意形成を図るプロセスを大切にし、学校と関係機関の双方にとって有意義なアンケート調査の実施を目指した。
2 「からだの不自由な子どもが在学中から利用できるサービガイド」の作成・配付
 保護者への地域の福祉サービス等に関する情報提供を目的とした当校独自のサービスガイドを関係機関と連携・協働で作成した。実際にサービスを利用した生活をイメージできるように具体的で分かりやすい表現やサービス利用につながるような情報内容の精選に努めた。
 アンケート調査結果は「調査報告書」としてまとめ、行政、福祉事業所、相談支援事業所等、地域の関係機関へ情報提供を行うことで情報の共有やニーズの確認につなげた。サービスガイドは保護者への福祉サービスに関する理解・啓発につながり、実際に地域の福関係機関や福祉サービスの利用につなげたケースもあった。
 今後も一人一人の地域での充実した生活の実現に向けて家庭や関係機関と連携した研究を重ねていきたいと考えている。

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「教育実践」
生徒が向上心をもって作業学習に取り組むための支援について
新潟大学教育学部附属特別支援学校
土屋 賢一

  当校では、作業学習を中学部の中心的な指導の形態の一つと捉えて教育実践を行っている。
 当校の中学部の作業学習では、「働くことへの前向きな思いや考えといった価値を見出し、自分の役割となる活動に意欲をもって取り組む」ことをねらいとしている。すなわち「自分のために」という意識だけでなく、「他人のために」という意識を育てる必要がある。
 自分たちが使うものを作ることを目的にした2年前の研究では、意欲的に取り組む姿が見られたが、取組への興味が薄れると意欲が低下してしまう姿があった。そこで、以下のような手だてを講じ、生徒が学習への意欲を継続するだけでなく、「もっといい仕上がりにしたい」「もっといい製品を作りたい」といった向上心をもって活動できるようにしたい。
1 生徒の意欲を高めるための単元構成
 生徒の思いに着目し、単元を「生徒の興味・関心や得意なことを生かし、楽しさを十分に味わうことができる活動」「序盤で学んだことを生かしながら製品を自分たちで使うことで自分の取組の良さに気付くことができる活動」「身近な人に自分たちの取組を承認・称賛してもらったり、作った製品を使ってもらったりすることで自分の取組の良さを味わうことができる活動」の三つの段階で構成した。意欲を継続させ、向上心をもたせるためには、活動自体の楽しさだけでなく、活動の結果にも目を向け、結果に良さを感じることが必要であると考えた。そこで、「活動自体の楽しさを味わう段階」「出来上がった製品の良さを自分たちが味わう段階」「出来上がった製品を他人に使ってもらう段階」の三つを順に追って実践することで、生徒が向上心をもって取り組むことができるだろうと考えた。
2 意欲を後押しする支援
 意欲を継続させ、向上心をもつためには、生徒一人一人の取組の支援とは別に、作業意欲を後押しする支援が必要だろうと考えた。生徒一人一人には、自分の工程が自分からできるようにするための支援具を用意したり、自分ができたことが分かるための支援具を用意したりする。それ以外に製品であるプランターにグループの生徒全員が好きな苺を植える活動や、生徒にとって身近な教師から取組の様子を承認・称賛してもらったり、製品を頒布したりする活動を行う。「全体の支援」と「意欲を後押しする支援」の適宜見直しを図り、担当者間で精選して実践していく。
 以上の2点を中心に実践を行う。実践を通して、生徒は自分の目の前の作業に「もっとやりたい」「もっといい仕上がりにしたい」という思いで生徒一人一人がめあてをもって取り組むだろうと考える。生徒の思いの変容を取組の様子から分析する。
 

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「教育実践」
就労を希望している生徒の気づきに寄り添った支援の工夫
~地域の人とかかわるMSGカフェの実践を通して~
南魚沼市立総合支援学校
保坂 吉彦

  私が対象とする生徒は、人との関わりに強い不安を感じている。私は、在学中に安心した気持ちで人と関わることができるスキルを、生徒が身に付けてほしいと考えた。また、身に付けたスキルを評価するのは、地域に出て、人と関わる学習が有効ではないかと考えた。そこで、以下のような手だてを講じ、研究を進めている。
1 生徒の人との関わりの力を高める学習活動の設定
 生徒が人と関わるときの適切な距離や言葉遣いを学習するために地域に出て行うカフェの接客活動を設定した。接客に必要な定型句を使用することで、臨機応変に人と話すよりも安心した気持ちで関わることができるのではないかという仮説に基づいている。
2 生徒が接客のスキルを身に付けるための方策
 図などを使って時系列に接客の流れが分かるシートを作成した。生徒はシートを見ながらのシミュレーションを繰り返し行っている。また、地域に出て接客を行った後に生徒が自己反省を行い、気付いた課題を再度、シミュレーションをして解決してからまた地域に出るというPDCAサイクルに基づいた学習を展開している。
3 生徒がより安心した気持ちで学習に向かうための方策
 私は生徒にとって人と関わること以外に不安な気持ちがあると、学習効果が半減すると考えた。このことから事前に担当する役割と配置図をホワイトボードで示しながら説明をしている。
4 生徒の自己理解を進め、自己肯定感を高めるための方策
 生徒の障害特性から、言葉だけでの学習の振り返りは学習成果を本人が十分に理解するところまでに至らない。動画、静止画、お客様アンケート、作業ノートの四つのツールを使用した振り返りを行っている。生徒が次にどのような目標を立てれば良いかなどの自分自身での気付きを大事にしている。
 
 以上の4点が、「人と関わる力」を高めるための柱として、講じている手だてである。生徒が地域で豊かに生活する姿を常に思い描いて研究を進めていきたい。
 

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「サークル活動」
SADO特別支援教育サークル
佐渡市立金井小学校
中村 哲裕

 当サークルは平成17年度に発足してから、今年で13年目を迎えます。活動は、主に佐渡市におけるセンター的役割を担う県立佐渡特別支援学校で行っています。活動を充実させるために、今まで「ぷれジョブ」や「ペアレントトレーニング」、「WISC-Ⅳ」等の研修会を企画するほか、障害に対する理解を深めるための講演会等を実施してきました。
 昨年度は「誰にとっても分かりやすく参加しやすいユニバーサルデザイン授業(UDL)」と「障害のある児童生徒への合理的配慮」をキーワードに、実践紹介・情報交換を行いました。今年度は、ここに事例検討を加えて研修を進めています。秋頃には講演会も企画しています。より多くの方から参加していただき、情報を共有していきたいと考えています。

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「サークル活動」
岩船村上特別支援教育サークル
村上市立村上小学校
八藤後 和男

 岩船村上地区の特別支援教育を担当する教諭・管理職で構成されているサークルです。当サークルでは、会員の得意分野を生かした教材や実践の紹介を中心に研修に取り組んでいます。会員からは、発表者の話を聞いて簡単に使える、子どもたちの関わりが生まれる等の声があり、好評でした。
 また、年に一度、講演会を開催しています。昨年度は、新潟市内の特別支援学校の先生を講師にお招きしました。会員の共通の話題となる「校内委員会の運営と小・中・特別支援学校の連携」についてご講演いただきました。会員が特別支援教育を校内や地域で推進するために必要な方策を学びました。
 さらに、昨年度は夏季特別支援教育研修会にサークルとして参加し、ワークショップを担当しました。昨今の教育で話題になっていることをグループで協議し、校種間の情報交流を深めました。今後は、会員のみならず、多くの先生方に情報を発信し、当地区の特別な支援を必要とする児童生徒に対して適切に寄り添うことができる教師をさらに増やすことを目指します。

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「サークル活動」
社会科の会
村上市立岩船小学校
木村 哲也

 社会科の会は、社会科好きが集まった30年以上の伝統をもつ会です。ですが、伝統があるからといって、堅苦しい会ではありません。活動方針である
○サークルの特性を生かす。(やりたいことをやる。)
○仲間の輪を広げる。(やりたい人が気軽に集まれるようにする。)
○日々の実践に生かせる活動にする。
の3つを大切に、みんながしたい活動(指導案の検討、巡検、研修会参加報告など)をしています。
 また、楽しい活動も企画しようと、体育サークルと学級づくりサークルとの合同研修交流会を実施し、「明日から使える知恵袋」として、思考ツールを使った授業の進め方の紹介を行うなどして交流を深めました。
 最近は、実践を発表できる若手の会員が増え、活動も活気付いてきています。少しでも興味ある方は、1回の参加でも構いません。どうぞご連絡ください。

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「サークル活動」
加茂・田上の特別支援教育を考える会
加茂市立葵中学校
吉野 雄一

 当サークルは、加茂市および田上町の特別支援教育に携わる全ての先生方を対象に発足しました。サークルのメンバーはまだ少数ではありますが、通級指導担当や特別支援学級担当が中心となり、地道な活動に取り組んでいます。
 具体的には、通常学級の担任の先生方を対象に、支援内容の検討や個別の指導計画作成の援助を行ってきました。また、加茂・田上の若手中堅教員研修とも連携し、通常学級に在籍する児童生徒の支援の在り方について、講師を招聘した講演会等を開催してきました。
 今後は、学校生活で困っている児童生徒に対して、寄り添える教師を一人でも多く増やしていくことを目指しています。そのためにも、会員のみならず、多くの先生方に情報を発信していきたいと思います。

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「サークル活動」
音楽を深める会
長岡市立大積小学校
黒崎 千賀子

 私たち音楽を深める会は、「多様な研修を通して授業力を高める」ことを目標に次のような活動をしています。
1 オータムコンサートへの参画・運営・出演
 計画・運営面でのコンサートづくりと表現者として演奏・出演することの両面からオータムコンサートに関わっています。コンサートに向けたセミナーで学んだ技能や指導方法を学校での指導や実践につなげるようにしています。
2 講師を招いた研修の実施
 単元づくり、授業のアイディア、教材の紹介、実践紹介など、日々の授業改善に向けた研修を行っています。2014年からは、中央から合唱指揮者の先生を招き、発声や曲想表現などの研修を実施しています。
 音楽を深める会の会員を中心に、オータムコンサートを通してネットワークを広め仲間の輪を広げています。

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「サークル活動」
南魚特別支援教育研究会
南魚沼市立総合支援学校
川沼 正憲

 全国的に特別支援教育のニーズが高まっている中、平成25年度に開校した南魚沼市立総合支援学校を中心として南魚沼地域の特別支援教育を牽引するために発足したサークルです。
 幼児・児童・生徒一人一人の実態は異なっています。本人や保護者の困り感及び会員の課題解決に向けて、実態把握を行い必要な手だてを検討し実践しています。
 今年度は、南魚沼市で取り組んでいる「プレジョブ」報告会も企画しています。
 保・幼・小・中学校・特別支援学校の教員が集まり、情報交換を行いながら見識を深め、必要な手だてを検討し、幼児・児童・生徒の健やかな成長につないでいけるよう、共生社会の実現に向けて研修を行っています。

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「サークル活動」
エグザイルスの会
柏崎市立鯨波小学校 
林 浩一

 私たちのサークルは、平成15年度に発足し、今年度で15年目を迎えます。所属会員の授業力向上を目指して、各分野のプロフェッショナルの先生方を講師にお招きし、多様な研修を行ってきました。
 今年度は、学習指導要領改訂に伴う教科指導の在り方、カリキュラム・マネジメントを中心として、研修を進めていきます。このような研修を通じて、刈羽・柏崎の未来を担う児童生徒の成長の一助となれるように活動していきます

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「ときわ教育奨励賞」
「自立と社会参加」に必要な自己決定する力の育成
長岡市立宮内小学校
金子 美也子

 心情をホワイトボードに書いて客観化する、ロールプレイで模擬体験する、当事者参加による支援会議を開催するなどにより対話的な学習を促している。
 勤務校の実践課題に対して着実な成果を上げるとともに、主宰するサークルにおいて指導者立場も担っており、特別支援学級が増加し続ける中 において一層の活躍が期待できる。

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「教科等研究セミナー」
自閉症児のコミュニケーション手段獲得に向けた指導の工夫
~タブレット端末による視覚的支援を通して~
新潟県立江南高等特別支援学校
笠井 翔太

   近年、学校教育において、タブレット端末等のICT活用が進み、児童生徒の主体的な学習や認知・理解に効果を上げてきている。特別支援教育においてもその効果が期待され、UDLや合理的配慮の観点からも重要と認識され、活用が進んできている。本研究では、特別支援学校小学部に在籍する自閉症の児童のコミュニケーション指導において、視覚的な入力に優位性がある認知特性に合わせてタブレット端末を活用し、会話の意味理解を促しながら会話の成立を目指した。
 まずは、パワーポイントを使って会話文に合わせて写真やイラストを表示する自作教材「レッツトーク」を作成し、タブレット端末上で操作しながら学習を進めるようにした。簡単なタップ操作で主だった日常会話の練習ができるため意欲的に学習を続けることができ、実際の会話場面で教師の支援を受けながら練習を積んだことで、タブレット端末がなくても他者とスムーズに会話できる姿が見られるようになった。そして、質問に返答する会話から要求表現へと学習する会話文を計画的に増やしていき、PDCAサイクルで、評価・改善を図るようにした。学習の進度を丁寧に見とりながら支援を段階的に減らすなどの工夫を行って一人でも学習が進められるようにしたことで、より多くの会話を習得できるようになってきた。
 本研究を通して、認知特性に合わせてICT活用を進めることで、コミュニケーション指導が効果的に進められることが分かった。この成果を生かして、引き続き特別支援教育においてICT活用について研究を進めていきたい。

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「教育実践」
知的障害者の課題達成過程における実行機能の特性に基づく支援の効果に関する事例的研究
県立月ヶ岡特別支援学校
中村 潤一郎

  対象生徒は、特別支援学校中学部に在籍し、知的障害の診断を受けている。課題に困難や不満を感じると、指示されたことと異なった行動をとったり、活動場所から離れたりする傾向がある。
 児童生徒が課題を達成するためには、自らが文脈に合わない行動を抑制し、適切な行動を促進させることが重要である。このような行動の調整には、実行機能が深く関連していると言われている。実行機能とは、ある目標の達成のために行動や思考を制御する心理機能といわれている。
 不必要な情報を抑制する「抑制機能」、ある次元から別の次元へ思考を切り替える「シフティング」、情報を正しく保持し、必要な時にその情報を活性化させて使用する能力「アップデーティング」などが重要とされている。
 知的障害者において実行機能の弱さが指摘されているが、対象生徒の特性を分析し、その特性に基づいた支援方法を策定することとした。
 研究前や2回の活動において、対象生徒は、課題から逸脱はあっても、サブ・ティーチャーの演示や視覚的な支援があると、課題に立ち戻り、最後まで取り組み続ける姿が見られた。これらのことから、対象生徒の実行機能の特性について、「抑制機能の弱さをアップデーティングで補うことで課題目標を達成させることができる」と分析した。
 このことから、以下の2点を支援の柱とした。1つは他者とのかかわりによる知識の獲得や他者の介入による事物の操作方法の習得をねらい、STを導入し、対象者と同じ立場として活動する。もう1つは、活動に対するプランが立てやすいように視覚的情報や支援具を積極的に提示することである。
 策定した支援方法の下、活動を展開し、課題を終えるまでその活動に従事すること、もしくは逸脱しても再び課題に立ち戻って取り組むことに関する支援方法の効果を検討した。

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「教育実践」
障害のある児童・生徒に対するコミュニケーションギャップ解消の試み
小千谷市立総合支援学校
風間 大助

  本研究は、年齢も特性も異なる児童生徒を対象に、指導者とのコミュニケーションギャップ解消に向けて取り組んだ2つの事例研究である。
<研究Ⅰ>
 対象:昨年度担任した小学部重複障害学級に在籍する児童
 指導者の受信行動の改善と、生活の中で児童が選択する機会を設定することで、表出言語の増加、不適切な行動の減少が見られた。
<研究Ⅱ>
 対象:今年度担任した高等部普通学級に在籍する生徒
 昨年度の取組から得られた知見を基に取組を行った。実態は異なるものの、受信行動の改善と、選択の機会を設定することで、日常生活の場面での大きな改善が見られた。
 2つの事例研究を通して、指導者の受信行動の改善は、相互の信頼関係構築につながることが認められた。その際、対象となる児童・生徒の行動だけに着目せず、周囲の環境や行動の前後に見られる状況の変化との関連性を把握することが、その行動の意図や機能の正確な読み取りにつながることが分かった。また、日常生活における選択の機会を通して、児童生徒は発信意欲を高めるとともに、コミュニケーションスキルの獲得、さらにはQOL(QualityOfLife:生活の質)の向上へとつながることが明らかとなった。

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「教育実践」
相手の立場に立った行動を増やすための支援の工夫
~「接客」の学習を通して~
新潟県立江南高等特別支援学校
谷内田 繁

 職業学級では、企業就労に必要な力を身に付けることををねらい、「接客」の学習を設定している。飲食店の従業員の方をゲストティーチャーとして招いて、ホスピタリティの重要性等、接客の心得について指導を受けた。ホスピタリティとは「お客様、スタッフのために考えて行動すること」であり、そのことをキーワードとして指導を進めた。生徒には、マニュアル通りの基本的な技術で接客すれば良いだけではなく、表情や声のトーン、気遣いなど、相手のことを考えた言動が大切であることを強調した。本研究では、ホスピタリティを意識して相手の立場に立った行動ができるように、接客行動と接客意識という視点で、主な支援方法を以下のように構想した。
1 ファシリテーショングラフィックの活用(接客行動)
 接客行動の改善に向けて、プレオープン時のアンケートを基にファシリテーショングラフィックを行った。事前に意見を付箋に記入する時間を設けたり、アンケート結果の一覧を参照用に配付したりする等、生徒が参加しやすいよう工夫をした。適宜、話合いのポイントを示すことで、全員で方向性を共有しながらお客様への接し方やスタッフ同士の連携等の改善につなげることができた。
2 自己評価カード「ホスピタリティカード」の活用(接客意識)
 ①「お客様の気持ちを考える」→②「行動に移す」→③「お客様がどのように感じたかを聞く」→④「振り返り」の順に自己評価を進められるカードを作成し、自己評価を行うとともに、生徒同士でも評価を行うようにした。お客様に喜んでもらいたいという意識が高まり、ホスピタリティの向上につなげることができた。
 相手の立場を考えることは、特別な支援を要する生徒には難しい面はあるが、今後も本実践の成果を生かしながら支援の工夫を続けていきたい。

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「教育実践」
中学部における新しい作業学習の提案
新潟大学教育学部附属特別支援学校
齋藤 文一

  当校中学部の作業学習における実践を取り上げる。
 現在の社会の情勢やニーズとして生徒の主体性を育むことが重視されている。私も生徒一人一人が卒業後、社会の中で自分の力を発揮し、充実感をもち続けてほしいと願っている。そのために、主体性を育むことを目指した授業づくりの在り方を、抽出生徒の姿を通して、明らかにしていきたい。
 中学部生徒の実態として、教師から指示されたことに素直に取り組む姿が見られる。しかし、それを終えると、次の指示を待つ姿が見られ、自分から主体的な思いを抱きながら意欲的に取り組む姿は見られない。そこで、生徒が目の前の作業に対して、「こうしたい」という思いをもって意欲的に取り組み、思い描いたことを実現する姿を目指したい。そのためには、生徒が授業の中でしっかりとした目的意識を高めるための支援を工夫する必要がある。授業づくりに向けては、生徒の興味・関心がある学習活動を設定する必要がある。そこで、生徒がどのようなことに興味・関心があり、どのようなことを得意としているのかなどを個別の指導計画を基に検討する。その際、生徒が課題を解決するときにどのようなプロセスを経ていくのかをよく話し合い、学習活動に反映させていく。さらに、生徒が学習活動に取り組んだ結果、生徒が感じた「できた」という思いから「もっとやりたい」「こうしたい」という思いに高まるように支援を構想し、学習活動を発展させていきたい。その取組を繰り返し行うことで、生徒の目的意識を高め、目の前の作業に意欲的に取り組む姿を目指したい。
 上記のような実践に取り組み,得られた成果や課題を紹介することができればと思っている。

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「教育実践」
発達障害のある児童の不適切な行動への取組
新潟県立吉田特別支援学校
木村 浩之

 心身症と発達障害を併せ持つ児童の不適切な行動に対して、以下の2点からその症状の緩和や寛解を図った。                        1 不適切な行動に対する3つのアプローチ
児童の不適切な行動に対して、第1に「不適切な行動への対応」、第2にその背景にある「障害特性からくる困り感への支援」、第3にそれらのべースとしての「自尊感情(自分を価値ある存在としてとらえる気持ち)の育成」を行った。これらは順番に行うというよりも同時期に、児童の状態を把握して行ったものである。                             2 自立活動と各教科の密接な関連                       □
上記の3つのアプローチに当たっては、学校の教育活動全体で行いやすいように、「個別の指導計画」に基づいて自立活動の時間の指導を中心に取り組んだ。主にSSTを中心に計画し、情緒の安定や適切な行動の形成を目指した。さらに、各教科の授業においても指導・評価することで指導内容の活用・汎化を図った。                                □こうした取組を重ねた結果、児童は落ち着きを取り戻し、前籍校へ復帰することができた。これは、児童の不適切な行動に対して、職員間で一致した対応を心掛け、授業で特性を生かした指導・支援を取り入れることで学ぶ意欲が高まり、学習の取組を教師や友達が評価したことで自尊感情が高まったからだと考える。                               今後は、前籍校に復帰してからも継続した指導・支援が受けられるよう引き継ぎやアフターケア等の学校間連携についても研究を進め、小中学校におけるインクルーシブ教育システム構築への一助となればと考えている。

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「教育実践」
チームで臨むPDCAサイクルに則った授業改善
~児童の学ぶ意欲を引き出す授業を求めて~
新潟県立上越特別支援学校
鹿目 功二

 主張
 担当教員がチームとなり、PDCAサイクルに則った授業改善を行うことで、児童の学ぶ意欲を引き出す授業づくりをすることができ、さらに児童の実態に即した合理的配慮を生み出すことができる。

1 主題設定の理由
 肢体不自由特別支援学校に通う児童は少数ではあるが、一人一人多様な実態がある。上肢下肢の可動具合、姿勢保持ができる体位、指先の器用さ、言語によるコミュニケーションの有無など、肢体不自由の度合いにより、介助や支援の在り方が違ってくる。さらに、児童の実態に応じて、児童の課題や目標を設定し、指導計画を立てて、実行していかなければならない。これらのことを全て一人の教師が行うのは正確さに欠け、限界がある。
 児童の多様な実態を把握して的確な指導計画を立案し、児童の学ぶ意欲を引き出す授業をつくり出すためには、担当教員がチームとなり、PDCAサイクルに則った授業改善が有効であると考える。また、チームで授業改善に臨むことで、「学習活動に取り組むに当たり、合理的配慮は何か」を複数の視点から捉えることができ、より確実な支援体制を生み出すことができると考える。主に次の3つの視点「児童の実態把握」「授業チェックポイント表の活用」「補助具・補助教材の作成」を教員チームで共有し授業改善に臨んだ。

2 PDCAサイクルに則った実践の方法~児童の実態把握、授業チェックポイント表、補助具・補助教材の視点から~
(1)Plan
①児童の実態把握・解釈をする。
②自立活動の個別の指導計画を作成し定例会で話し合う。
③個別の指導計画を基にした単元の指導案を作成し定例会で話し合う。
④必要に応じて補助具、補助教材を作成する。
(2)Do
①定例会で確認したMT、STそれぞれの役割、児童の目標を共有して授業実践をする。
②授業チェックポイント表の視点を意識した授業実践をする。
(3)Check
①主担当児童の学習の様子を校内サーバフォルダに記録し、教員チームで共有する。
②授業チェックポイント表を活用し、授業の改善点を定例会で検討する。
(4)Action
①授業チェックポイント表の視点を基に改善点をまとめ、改善指導案を定例会で提案する。
②環境の設定、支援事項、教材教具の改善点を共有し、授業を実践する。
③必要に応じて補助具、補助教材を作成・改良する。
④外部機関と連携し研修を設定する。

 このサイクルに則って授業改善を行い、児童の学ぶ意欲を追求し、検証した。

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「教科等研究セミナー」
 他害行動のある生徒が落ち着いて学校生活を送るための支援
新潟大学教育学部附属特別支援学校
齋藤 文一

  本研究では,他害行動のある生徒に対する場合,イライラしてきたときに自分の気持ちに気付かせる等の支援をすることで,落ち着いて生活する時間を増やすことができるかを検証する。支援の方策としては,アンガーマネジメントの手法を用い,そこに特別支援教育の視点から迫る。
1 イライラしてきた様子を捉え気持ちを整理する(アンガーマネジメント)
 生徒の表情や話し言葉からイライラしてきた様子を捉え,今が「どういう感じ」かを言葉で表現させる。そして,言葉から怒りの度合いをグラフに表し,その怒りがどの程度のものなのかを分かるように示していく。表現した言葉や表情,行動を記録し,感情を明確にして表出された言葉で,感情をコントロールできるか検証していく。
2 代替行動としてイライラしない方法を探る
 気持ちをコントロールしながら,ABC分析を用いてイライラしない方法を探っていく。アンガーマネジメントを用いて,気持ちをコントロールしつつ,イライラの原因を探りイライラさせないようにすることで,他害を減少することができるか検証していく。また,その際には,自己肯定感を下げることがないように特別支援教育の視点からアプローチする。
 他害行動をすることにより,自己肯定感が低下していく。イライラすることが原因で他害行動につながる様子からイライラした気持ちをコントロールしつつ別の適切な行動を身につけることで,他害行動を減少することができるか検証する。

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「教科等研究セミナー」
 望ましい行動変容を目指した支援のあり方
新潟大学教育学部附属特別支援学校
田中 健太郎

  応用行動分析は,行動の前後の出来事に着目することで,人の行動を変容させたり, 新しい行動を教えたり,不適切な行動をなくしたりといったことが可能である。これまで,多くの研究によって科学的に示されてきた。 職員や友達が嫌がる行動を故意に起こす子供に対して,応用行動分析に基づき,以下の支援を行い解決を迫った。
1 不適切行動から適切な代替行動への置換
 対象とした子供は,職員や友達の注目を集めるために,不適切な行動をとっていた。そのため,話すきっかけとなるスキルを身に付けることができれば,適切な注目の引き方を獲得でき,問題行動は減少すると考えた。
2 問題行動以外の行動をしているときに注目する
 対象とした子供にとっては,注意をされることも楽しいかかわりの一つとなっている様子が見られた。このことから,正しい行動をしたり,集中したりしている場面をたくさん見付け,即時的に称賛するようにした。教師が子供の良い行動に注目し強化していくことで,対象とした子供は,問題行動を意識しなくなるのではないかと考えた。 
 問題行動は,子供が内面に抱えている要求を,実現できないことで出てくる行動だと考える。問題行動の消去のみを指導の目標にするのではなく,問題行動を必要としない子供の内面を形成していくことを大事にしていきたい。

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「教育実践」
自閉スペクトラム症がある子どもの自己効力感を高める共感型アプローチ
~予測困難な要素が多い活動を回避するA児の行動変容を促す支援~
南魚沼市立総合支援学校
唐沢 百合花

  自閉スペクトラム症のA児に対し、不安を軽減し「できそうだ・やれそうだ」という自己効力感を高めるための共感型アプローチによる支援を行った。A児は、狭い室内に他者が多くいて予測困難な対人的交渉が生じやすい活動では、強い回避行動をとり、活動に参加できずにいた。「見学をしたい。」という自分の意思表示をすることもままならなかった。教師が児童の不安な感情に配慮しながら活動への参加方法を共に考えるという、共感型アプローチによる支援の結果、A児に活動への意欲的な参加の態度が見られるようになり、回避し続けていた活動への参加率(参加した活動の回数/活動の総回数×100)が0%から100%になるなどに改善された。
 共感的アプローチの具体的な支援の方法は、以下の通りである。
①「休ませてくださいカード」を与え、活動に完全に参加しないという選択をA児がする場合には提示させるとともに、少しずつ言葉での表出を促す。カードあるいは言葉による意思表示ができた場合には賞賛し、活動に参加しないことを認める。
②「参加したくない」「休みたい」という感情が言葉で表出された時、うなずきながら「参加したくないんだね」「休みたいんだね」と返す。
③「どうしたいか」を問い、A児の過去の達成体験を思い出させながら、課題や活動の中に取組が可能な要素があるかどうかを相談する。
④取組が可能な要素があった場合には、活動への部分的な参加について提案し、自己選択・決定を促す。
⑤活動への部分的な参加等において「できたこと」「やろうとした態度」があった場合、授業終了後にA児に対して具体的なわかりやすい言葉で表現して称賛する。

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「教育実践」
的確な実態把握に基づく個別の指導計画の作成と活用
~複数教師で行うカード(付箋紙)の効果的な活用~
妙高市立にしき特別支援学校
長谷川 哲

 1 主題設定の理由
 学習指導要領において、的確な実態把握を行い、個別の指導計画を作成することや個別の指導計画に基づいて行われた学習の状況や結果を適切に評価し、指導の改善に努めること等が示されている。
 しかし、前年度の個別の指導計画を参照した際に、なぜその目標が挙がってきたのかという理由を示す文言が見当たらないことがあった。また、前年度との系統性が十分に吟味されていない指導計画になることがあった。前年度の目標と異なるものになってしまい、担任によって指導の方向性が異なる。
 また、担当以外の児童又は生徒の目標や手立ては、月日が経つにつれ忘れてしまうことがあったり、学期初めに立てられた個別の指導計画を次に目にするのは学期末ということもあったりした。実態や目標、配慮事項を熟知していないがために、児童又は生徒が不適応な行動を取ったり、できていたはずの事ができなくなっていたりすることもあった。このような反省を踏まえ、複数教師で児童又は生徒の実態を捉えたり、定期的に評価し合ったりすることが必要だと感じた。
 以上のことから、本実践では、私が担任している高等部において、カード(付箋紙)を使いながら複数教師で行う実態把握(診断的評価)を中心に、形成的評価や総括的評価についても検討し、その成果を示す。また、生徒の変容やともにチームを組む教師へのアンケートから複数で個別の指導計画を作成することの有効性も明らかにしていきたい。
2 実践方法
 (1)実態把握図を作成する。
 (2)年間重点目標及び配慮事項を設定する。
 (3)各教科等の目標及び手立てを設定する。
 (4)日々の記録を共有し、学期末評価を行う。
 (5)実態把握図及び個別の指導計画の見直しを行う。
3 実践の様子と考察
 実態把握図の作成、目標設定、各教科等の目標と手立ての設定は、それぞれ生徒1名につき1時間半の時間を要した。学級を担任する職員チームの中には、初めてこの方法で行う教師もいたので、多少時間はかかったが、いろいろなアイデアを出したり、確認したりできたので、「これで良いのか。」という不安感を軽減して指導にあたることができるようになった。
 カード(付箋紙)を使用して生徒の実態をチームで共有し、チームで継続的かつ一貫性のある指導を行った結果、生徒は教師の指示や誘導に応じる力や教師に自ら要求する力が高まった。今後も個別の指導計画をチームで確認しながら、生徒の成長を促していきたい。

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「教育実践」 
卒業後のより良い生活を目指して
~生徒の実態と進路先を考えた「職業生活」の取組~
県立西蒲高等特別支援学校
高橋 悟

 

 「学校でやっていることが卒業後どれだけ生かされるか疑問だ。」 この言葉は、昨年の作業学習保護者説明会後に、保護者にアンケートをしたときの意見である。

特別支援学校高等部を卒業すると、ほとんどの生徒は社会人として働きながら生活を送ることになる。当校在籍の生徒は、多くの介助を必要とする生徒から企業就労を目指す生徒まで実態に幅があり、生徒の実態が「3極化」している。そのため、学習内容を生徒の実態に合わせて取り組む必要がある。

 そこで、従来行ってきた「作業学習」の在り方を見直し、社会情勢や多岐に渡る進路先の状況を見据えながら、生徒の実態や進路希望先に合わせた類型化された「職業生活」を立ち上げた。「職業生活」の学習グループ(職業班)を3類型4区分(Ⅰ類型:生活自立型、Ⅱ類型-1:作業基礎型、Ⅱ類型―2:作業自立型、Ⅲ類型:職業自立型)に分類し、7つの班(環境エコ班、資源・回収班、ものづくり班、まき農班、委託班、クリーンサービス班、職業自立班)に改編した。実態別にグループ編成した作業内容の設定、所属班を決めるためのアセスメントの実施、地域や企業と連携した取組(自動販売機を活用した学習、毎週水曜日に実施のデュアルシステム等)、共通理解を図るための職員研修などを行った。

 このような取組により、職員間の共通理解が深められ、生徒の実態に合った類型化された「職業生活」の学習を構築することができた。また、生徒が早期に複雑な進路について考えたり、様々な体験を通して自己理解を深め、就労意欲を高めたりすることができる生徒が増えた。

 学校での学習が卒業後の生活に生かされることを目指し、生徒が卒業後により良い豊かな生活を送ることを願った実践である。


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「教育実践」 
特別支援学校高等部における職業教育の実践
新潟大学教育学部附属特別支援学校
伊藤 宏之

  私は,特別支援学校高等部の職業教育の実践を通して,生徒が卒業後の働く生活に対するイメージをふくらませ,自らの課題に挑戦し続けようとする姿を目指している。
 昨年度までの実践を通して,自分の取組に良さを感じながら,指示された手順や方法に従って作業に取り組む姿や「卒業したらこんな仕事をしてみたい。」など働くことへの意欲を支援者に語る姿など,卒業後に働くことに対して前向きな思いが高まってきている生徒の姿を確認することができた。
 しかし,その一方で,指示された内容には従いながらも漠然と作業に取り組んだり,教師の指示や支援を待ちながら作業に取り組んだりする様子が見られた。これは,生徒自身に働くことのイメージが十分に身に付いていないことが要因であると捉えた。
 今年度の実践では,高等部卒業後,企業就労を目指す生徒が所属する学習コースで,「物流サービス」を題材として取り上げた。そして,企業や市役所からの受託作業や校外への出向作業を通して,作業に取り組む必要性や作業の目的,仕事に取り組む意味などをより確かなものにしてきた。さらに,担当する作業や仕事の成果が実感できるように指導・支援を工夫することで,「自分はできる。」といった自信や「担当する作業をしっかりとやりたい。」といった仕事への意識を高め,目標に向かって,身に付けた力を発揮しながら作業に取り組もうとする姿を目指した。
 実践を通して,目の前の作業に正確に取り組もうとする姿や,良い製品を出荷しようと,繰り返し検品作業に取り組む姿が見られた。また,学年やこれまでのインターンシップなどの経験に応じて,働くことに対する自分なりの思いをもちはじめている姿が見られてきた。

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「教育実践」 
企業就労に向けた支援の在り方
県立村上特別支援学校
小柳 正樹

 

 当校は、障がいの特性上、人とうまく関わることができない生徒が多い。しかし、企業就労を目指すには、人と関わる「挨拶・報告・連絡・相談」の基本的なスキルは絶対必要である。そこで、人との関わりの場を意図的に設定し、場を意識した就労に必要な基本的なスキルを向上させたいと考える。

 従業員56人以上の企業は、総従業員数の2%以上の障がい者を雇用することが法律で定められている。そのため、全国的にも障がい者の求職者数は過去最高を記録しており、就労ニーズへの対応が関係機関に求められている。しかし、新潟県の2012年の雇用率は、全国で41位1.59%と低い水準である。

 改善のためには、事業主や行政の努力はもちろんであるが、事業主等のニーズに応じた力を学校で育成することも大切である。ニーズの中で一番多いのは、仕事の態度よりコミュニケーションに関することである。また、せっかく就労できても、勤続年数が全国平均6年10ヶ月という現実もある。この主な理由にも企業での対人関係がうまくいかなかったことがあげられている。

 私は、人と関わる基本的なスキルであり、作業学習の中で行っている「あいさつ・報告・連絡・相談」を主に取り上げる。そして、これまでの指導の経過から問題点や課題を整理する。そこから、企業就労を目指す生徒に、「挨拶・報告・連絡・相談」がうまくできるための効果的な活動を工夫する。

 大切なことは、生徒が自ら判断し会話することである。ともすると、活動に合わせたパターン化した言動が身に付くようになるが、もう一段階上の、場を意識して、相手を考えた関わりを少しでもできるようにさせたいと思い、以下の取組を行う。

①事前ミーティング・事後ミーティングで考える力を育てる。
 これまで作業後の振り返りとして反省用紙に自己評価と感想を書かせて、相手にきちんと伝える力を育ててきた。その成果を基に、ミーティングで事前に見通し(めあて)を考えたり、事後に活動の振り返りを評価したり、活動をその場で考えて発表したりして、考える力を育てる。

②トラブルスキルカードを活用する。
 作業場面では、いろいろなトラブルが生じる。そのために、トラブルを理解し、自ら判断し解決する力を育てることが大切である。そこで、「仕事で使う道具を壊してしまった。」「頼まれた仕事が時間内に終わらない。」など、生徒たちに想定されるトラブルを分かりやすいカードにする。そのカードを使ってロールプレイを行い、どのような行動をとるとよいか、また、どのように報告すればよいのかを考えて解決する力を育てる。


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「教育実践」 
聴覚障がいのある生徒に対する指導の工夫 
~理科の授業を通して~
県立長岡聾学校
 河本 康介

 

 長岡聾学校は、聴覚障がいの部門と知的障がいの部門(高等部のみ)から成り、聴覚障がいの部門は、幼稚部、小学部、中学部、高等部および専攻科まで、幅広い年齢の聴覚に障がいのある幼児、児童・生徒の教育を行っている。そして、教科学習とともに、語彙の習得、コミュニケーション方法、職業教育などの指導を行っている。通常の学校に準じた教育を行うとともに、聴覚障がいに対する専門的な指導が求められる。

 当校生徒の実態として、聴覚に障がいがあるために、日本語の習得の遅れや抽象的な概念の発達に遅れがある。そのため、教科指導においては、指導方法や指導内容の精選、教材教具、そして生徒への働きかけなど、様々な配慮・工夫が必要である。

 まず、その1つは、視覚的な支援などによる情報保障である。特に、パワーポイントを活用した視覚的・動的教材を作成することにより、音による情報の制約を視覚的に補い、聴覚障がい生徒の理解の手助けとなる。このことで、理科の教科学習に必要な概念や意味の理解など、教科指導上での生徒が感じる困難性を克服することができる。視覚的に理解が困難な抽象的な概念の操作が必要とされる内容について大いに活用してきた。

 2つ目は、教科指導の中での言語指導である。聴覚障がいのある生徒は、音や音声言語による情報を受け取りにくいので、結果として言語発達が遅れる場合が多い。発達段階で考えると、幼少期からの生活言語の習得の遅れにより、教科学習を十分に展開できる言語発達の段階に達していないことが学習の遅れの一つの要因になっていると考えられる。「9歳の壁」という問題があり、読書力・文章力が小3~4年程度で停滞してしまっている聴覚障がい者が多いことが報告されている。よって、体験的な活動ややりとりを通して内容を理解しながら、言葉を正しく理解したり表現したりする力、言葉で考える力、文章を正確に読んだり書いたりする力を育成することが大切である。体験と言葉が一体化するような支援が必要不可欠である。

 3つ目は、理科の学習と聴覚障がい理解とを関連付けた授業展開である。中学校理科の指導内容には、1年生「音」、2年生「感覚神経・聴神経」など、聴覚障がいによりなかなか体験的な理解に困難を示す単元がある。そのような内容について、指導方法や教材教具を工夫することで理解につながり、また自身の障がい理解にもつながるものと期待している。

 長岡聾学校に赴任して3年目。上記に挙げた支援の視点について、私が今までに行ってきた数々の実践を今回発表する。


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「教育実践」 
働く上で必要な力の育成
~生徒が職場で主体的に考え、意欲的に仕事に取り組む姿を目指して~
県立吉川高等特別支援学校 
帆苅 健

 1 実践テーマ設定の理由
 当校は、軽度の知的障がいのある生徒たちが多く学んでいる特別支援学校である。職業学級在籍の生徒が多く、卒業後の就労を目指している。
 生徒が現場実習先で働く中、一般企業先から次のような生徒像を求められている。
○素直で元気良く挨拶できる。
○やる気があって一生懸命働く。
○周囲の人とうまくかかわって、自主的に考えながら行動できる。
 これを受けて本実践では、作業学習や校内実習等での清掃活動を通して、「意欲的に仕事に取り組み、周りの状況を見極めながら行動できる生徒」を育てていきたい。
2 本校の作業学習や実習について
 本校の作業学習では清掃・接客・福祉・物流等の作業種があり、3学年の生徒はこれらのいずれか一つを選択履修している。水曜日を除く平日の午後、毎日作業学習がある。水曜日は企業内実習があり、生徒は終日企業で働いている。また、春と秋のそれぞれに校内実習と現場実習がある。校内作業では作業種ごとに分かれて2週間終日働き、現場実習では2週間一般企業や施設で働いている。
3 3学年の作業学習に求められる生徒像
 本校の研究推進計画を受けて、3学年部では次のような生徒の姿を期待し研究を進めている。
○仕事の手順や時間配分を考えながら、効率よく作業を進める。
○周囲の状況に注意を向け、協力し合ったりたり助け合ったりして作業をする。
○周りの人と好ましいコミュニケーションがとれる。
4 実践の構想
 本実践では実践テーマの姿に迫るため、指導内容や手立てに次の要件を考えている。作業の見通し、自ら考える場面と内容の設定、グループ構成の工夫、話合いの場面と内容の工夫、協力・助け合いが生まれる活動内容の工夫などである。
 その要件から、以下の4項目について活動や支援の工夫をしていく。 
(1) 打合せ会、作業場所での調整ミーティング、作業終了後の反省会など、話合いの場の設定や活動内容を工夫する。
(2) 打合せ会や調整ミーティング等で使用するホワイトボードの活用方法など、教材教具の工夫をする。    
(3) 作業場所に応じた仕事の段取りができるような場の保障と清掃活動の工夫をする。
(4) 自信や信頼関係が構築できるメンバー構成の工夫をする。
 1学期が終了した現在、こうした実践を通して、生徒たちには主体的にコミュニケーションする姿が増えてきた。また、作業に工夫が生まれるようになってきた。今後さらに取組を進めて、生徒たちを伸ばしていきたい。

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