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教育実践

「教育実践」
心の回復力を高める健康教育の工夫
新潟市立白根第一中学校
田村 憲子

  思春期は心身ともに成長が著しい反面、自分自身の様々な変化や周りの環境に対して敏感となる時期である。生徒たちは一見、この多感な時期に直面する困難や挫折に、自分なりの対処方法で適応しているようにみえる。しかし、「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(文科省、2017)によると、不登校児童生徒数の割合は増加傾向にあり、その要因の一つに「不安」傾向があることが明らかになっている。
 保健室においては誰もが抱きやすい「不安」に対し、日頃から個別に対応している。しかし、今後は「不安」への対処方法を相互に理解し、助け合える集団づくりを健康教育の視点から積極的に介入していくことが重要だと考える。その授業づくりに当たっては、認知行動療法の「その人のもののとらえ方(考え、認知)が、気分(感情)とからだの反応・行動に大きく影響する」という原理を応用するとともに、新学習指導要領で求める「学びに向かう力・人間性等」に着目し、自己の課題解決に前向きに取り組めるよう以下の点に留意した。
1 不安の予防段階で「辛い気持ち」になる場面を取り上げ、「辛い気持ち」を軽くする手法として、出来事をプラスに受け止めることの有効性に気付かせること。
2 悩んでいる友達へのアドバイスを考えさせることで、自分が他者の力になれることに気付かせること。
3 話し合い活動においては、一人一人が主体的に学びに向かえるよう自己評価を取り入れること。 
 今回、健康教育「心の健康づくり」を視点に授業づくりを試みた。その結果、生徒が「不安」への対処方法を身に付け「心の回復」を理解することが、今後直面し得る困難や挫折に自らの力を生かしてよりよく生き抜こうとする行動につながると確信し、その成果を発信する機会としたい。

<参考文献>「しなやかなこころをはぐくむ こころのスキルアップ教育の理論と実践」/大野裕・中野有美.大修館書店

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「教育実践」
マット運動における大きな前転の習得から発展技につなげる指導
~前転系の技の「回転力」に着目した指導を通して~
南魚沼市立八海中学校
堀 圭佑

  マット運動における前転系の技に着目し、五十嵐の「みかん型とバナナ型」を基に、基本的な技「前転」の回転力を高める指導を行う。回転力を高めることは、基本的な技から発展技まで共通したポイントであり、発展技でも起き上がることにつながると考える。そこで、前転の回転力を高めるために「大きな前転」の習得を目指す。(回転力は『自分の足で蹴り出し、腰角度を大きくした状態から一気に減少させ、順次接触する』ことで高めることができる。)
【みかん型】:身体をボールのように終始小さく回転する
【バナナ型】:身体を途中で伸ばし最後に小さく回転する
※「大きな前転」は五十嵐の「バナナ型」を指している。
 発展技は起き上がることが難しくなり、「できない」、「楽しくない」、「やりたくない」といった子どもたちの現状がある。「系統性を意識した段階的指導」、「付せんを用いたファシリテーション」、「タブレットの活用」、「落差法を用いた場の工夫」の四つの手だてを用いて、発展技に積極的に挑戦する姿や、技能向上を目指す。
1 手だての有効性
 仲間と話し合う活動を通して、回転力を高めるためのポイントを具体的に考えることができ、実践する姿が見られた。また、自分だけでは見付けられなかったことを仲間の意見からを見つけることができた。
 自分の技を見ることで改善点を見いだすことができ、技をよりよくすることができた。また、仲間からの助言がより効果的になった。
 難しいと感じる発展技でも、落差があれば起き上がることができた。「できた」という成功体験を得ることができ、「次は落差なしで成功したい」といった運動意欲の向上が見られた。
2 成果と課題
 マット運動における大きな前転の習得から発展技へつなげる指導を通して、技能向上の実感の喜びや仲間の技能向上を称賛し合う姿が見られた。
 回転力を高めることは前転に限らないので、他の技でも実践していく。
<参考文献>
「たのしいマット運動」 五十嵐久人 不昧堂出版 1997

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「教育実践」
仲間と協力してボールをつなぎ、ゲームを楽しむ児童の育成
~キャッチのルールを取り入れたソフトバレーボールの実践を通して~
新発田市立紫雲寺小学校
白井 裕貴

  本研究は、ソフトバレーボール(ネット型)のゲームの際に、チームの仲間で協力し合い、確実にボールをつなぎ相手コートに返したり、ラリーが続いたりすることをねらった研究である。児童の実態で、ゲームになると動き方が分からずに立ったままでいたり、ボール操作に困難さを抱え、うまくつなぐことができずに得点になっていたりしていた。そこで、ボールを持たないときの動き方について単元を通して児童に問い、考えさせていくことにした。ボールを持たないときの動き方を身につけていくことでゲーム中に動きが生まれたり、仲間とボールをつなぐ楽しさを味わわせることができたりするのではないかと考え、次の二つの手だてを講じた。
1 バレーボールの役割を段階的に学ぶ単元構成
 バレーボールはチーム内の連携が大事になるため、誰か一人ができてもボールがつながらず、返せないことを確認し、みんなで協力してつなぎ、返すことをはじめの目標として取り組ませた。そして、バレーボールには「レシーバー」「セッター」「アタッカー」の役割があることを伝え、それぞれのポジションの動き方やボール操作について考えさせた。動き方やボール操作のポイントを全体で共通理解しながら単元を進めた。
2 ファーストキャッチのルール
 レシーブの段階でキャッチをしてもよいというプレイ上の制限を加えた。プレイを簡素化することで技能差をできる限り少なくして、自分たちのチーム内で確実にボールをつなぐことができるようにした。また、レシーブの段階でキャッチできることで周りの人たちが迷わず動き出すことができることをねらった。
 その結果、児童はバレーボールの役割を理解し、チーム内で役割分担をしたり、得意な役割を考えたりしながらゲームに取り組むことができた。コート内を動きボールを追いかける姿が増え、攻防を楽しむゲームを行うことができるようになった。

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「教育実践」
自己の能力と守りの位置からねらう場所を選択し、攻撃につなげる子どもを目指して
新潟市立新津第一小学校
相田 洋輔

 〈研究の概要〉
 ベースボール型ゲームでは、ボールを「遠くへ飛ばす」、「広角に飛ばす」、「守りのいない場所に飛ばす」ことが得点につながる。
本研究では、「ねらう場所を選択し、得点を取ることができる」ことを中学年の攻撃の楽しさと捉える。そして、「空いている空間を見付けること」を中心に学習を展開する。「守りのいない場所」を視覚的に捉えさせることにより、ねらう場所を選択しながらゲームを行う児童が増えると考えた。また、自己の能力から、「前をねらうのか」、「(守りの)もっと後ろをねらうのか」など、自分の蹴り方を思考しながらゲームを行う児童が増えると考え、本主題を設定した。
 次の二つの手だてを講じて、授業を展開した。
1 技能向上と自分の蹴り方を自覚させるドリルゲームの設定
 遠くへ思い切り蹴る技能を向上させる「けっとばしゲーム」と、近くへ正確に蹴る技能を向上させる「ちょこっとゲーム」の二つを実施した。また、ドリルゲームの結果を基にして、自分の蹴り方を自覚させ、メインゲームでねらう場所を選択することができるようにさせた。
2 「守りのいない場所」を視覚的に捉えさせるための工夫
 ① 「守りのいない場所」を視覚的に捉えさせるためのコート図の活用
 ② 思考を振り返らせるためのタブレットの活用
〈成果と課題〉
  「けっとばしゲーム」、「ちょこっとゲーム」ともに得点や成功回数が増えたことから、ドリルゲームを通して、技能の向上が見られた。また、ドリルゲームの結果を基に、自分の蹴り方を自覚し、それを意識しながらゲームができるようになった。
 メインゲームの前半は、ほとんどの児童が「(守りの)もっと後ろ」をねらっていたが、後半は、「前」や「横」、「守りと守りの間」をねらいゲームをする児童が増えた。また、「○○に蹴った。」と振り返りを記述した児童が、「守りの位置が□□だったから、○○に蹴った。」と守りの位置を考えながらゲームを行うことができた。
 今後は、ドリルゲームで身に付けた技能をより生かせるメインゲームを行うために、ルール等を工夫していく。

<参考文献>
 学校体育実技指導資料 第8集 ゲーム及びボール運動 文部科学省 他

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「教育実践」
「学習課題」と「動きながら試す場」で技能を高める体育科学習指導
新潟市立青山小学校
熊野 昌彦

  ボール運動の学習において、児童が試行錯誤しながら、「フリーでシュートを打つ」技能を高めていってほしいと考え、ゲームとゲームの間に「動きながら試す場」を設定してきた。この「動きながら試す場」は、いわゆる「作戦タイム」とは異なり、話し合うだけでなく、それぞれのチームが相手のいない易しい条件で試したり、自分たちの理想とする動きを試したりできるよさがある。この「動きながら試す場」を効果的に設定し、ハンドボールのゲームで「フリーでシュートを打つ」技能を高めるにはどうしたらよいか、研究を進めた。
 本実践の手だては、次のとおりである。
1 練習内容を焦点化した学習課題を設定する。
 これまで「動きながら試す場」での動きがゲームにつながりにくかったのは、そこで練習すべき内容が分からないまま、練習する時間となってしまったためと考える。そこで、どんな練習をすればいいのかが分かる学習課題を設定し、練習内容を焦点化する手だてを講じる。
2 焦点化した練習内容を「動きながら試す場」で練習させる。
 何を練習するかが焦点化されたので、それに合わせて話し合ったり動きを試したりしながら練習させる。「フリーでシュートを打つ」ために、パスを出すタイミングを合わせたり、走り込むタイミングを繰り返し調整したりした。
 引き続き、ゴール型ボール運動のよりよい指導法について、研究を進めていきたい。

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「教育実践」
視点の明確化・口伴奏が思考にもたらす効果
~4年生「大の字回り」における深い学びへの一考察~
新潟市立早通南小学校
三宮 真澄

  器械運動の授業では、児童に「できない・難しい」という思いや「怖い・痛い」という恐怖感を抱かせないことが、運動に親しむ上で重要であると考える。特に、器械運動が好きではない児童が少なからずいる場合は、指導について工夫する必要がある。
 そこで、本研究では、マット運動が好きではないと答えた児童も主体的に学ぶことで、運動が「できた」と実感する姿を目指した。取り扱う運動は側方倒立回転につながる運動「大の字回り」である。目指す姿を実現するために、次の二つの手だてを講じた。

1 視点の明確化  
 大の字回りの動きを着手・回転・着地の三つの局面に分けた。また、三つの局面を「まず」「次に」「最後に」という言葉に合わせて絵と簡単な言葉で動き方を提示した。
2 口伴奏
 動きを見ている児童が、三つの局面に合わせて「(ギーコ、ギーコ)そ~おれっ!」とかけ声をかける口伴奏を取り入れた。口伴奏は以下のように行わせた。
  ①両手・両足を大の字のように広げて勢いをつける、準備の段階で「ギーコ、ギーコ」
  ②前の手から片手ずつマットに着手する「まず」の段階で「そ~」
  ③脚を高く上げて回転する「次に」の段階で「お」
  ④片足ずつ着地する「最後に」の段階で「れっ!」

 上記の手だてを講じたことにより、マット運動が好きではないと答えた児童が単元前の25%から9%に減少した。また、運動が上手にできると実感した児童の割合が向上した。アンケートより、がんばる(目標に向かって努力する)意識や決める(目標を自分で決める)意識が高まったことが分かった。児童は、口伴奏をしながら視点に沿って動きを見合い、アドバイスをしたり、アドバイスされたことを試したりしていた。学習カードには、自己の課題やその解決法についての記述が見られた。これは、児童の関わりの中から生まれた「思考」であり、がんばる意識や決める意識を高める結果につながったと考える。
 これらの結果より、視点の明確化と口伴奏は、思考しながら主体的に学び、運動ができたと実感させる上で有効な手だてであると考える。今後も、よりよい解決法に向けて友達と共に思考させる手だてを取り入れることで、主体的に運動に親しむ態度の育成を図りたい。

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「教育実践」
子どもが自ら運動の行い方を発見していく体育授業
~2つの場面での動画を基に思考させる学習過程を通して~
新潟市立万代長嶺小学校
鈴木 健太郎

  私は、子どもが自分の体の動きについて何がよくなかったのかを考え、試しながら新たな知識と技能を獲得する体育授業を実践したいと考えている。なぜなら、この体育授業を繰り返した子どもは、今後、様々な運動をする際に、自分の体に目を向け、動きの課題を解決しようと試行錯誤しながら上達していくことができるようになるからである。このことこそ、生涯スポーツに必要な資質だと考えている。
 そこで、単元で目指す姿を意識させたうえで、授業の課題設定と解決過程の二つの場面で動画視聴を基に思考させる学習過程を構成した。子どもは問いを持ち、その解決方法を見付けることができ、分かったことを意識して運動することができるのではないかと考え、本実践に取り組んだ。なお、動画内容は次の通りであり、見る視点を与えて視聴させる。
学習課題成立場面・・・単元で目指す姿(ゴール)に至っていない前時の不十分な動きが発見できる「問題と出合う映像」
解決場面・・・解決に至らない要因が分かる「問題に気付く映像」と解決に必要な姿・動きが発見できる「行い方を発見する映像」
 このように、2段階で動画視聴する学習過程の工夫で授業を行うと、子どもは自ら運動の行い方を発見し、分かったことを意識して運動し、技能を高めることができるだろうと考えた。
1 学習過程の工夫の有効性の検証(実践1年次)
 5年生、キャッチバレーボールの授業において、学習過程の工夫が有効であるかを分析した。学習課題成立過程で「問題と出合う映像」を基に話し合わせたことで問題点が明確になり、解決過程で「問題に気付く映像」と「行い方を発見する映像」を基に運動の行い方について思考させたことにより、分かったことを意識して運動し、技能を高めたと考える。しかし、運動の行い方を分かっても技能発揮できない子にはあまり有効ではなかった。そのため、「問題に気付く映像」と「行い方を発見する映像」を基に思考させた後に、分かったことをできるようにする手だてを講じる必要があると考えた。
2 学習過程の工夫に分かったことをできるようにする手だてを講じた(実践2年次)
 2年次は、6年生ハードル走で、実践1と同様な学習過程で授業を行った。また、解決場面で動画を基に思考させた後に、分かったことをできるようにする手だてを講じることを加えた。1年次と同様に、子どもが学習課題を生み出し、運動の行い方を発見し、その行い方を意識して運動することができた。また、技能を高めることもできた。
3 成果と課題
 学習過程を工夫した授業は、子どもが課題や解決となる運動の行い方を発見し、その行い方を意識して運動し、技能を高めることができた。学習過程の工夫が有効であったといえる。さらに、分かっていてもできない子に対して、分かったことをできるようにする手だてを講じることでできるようになることも分かった。今後も、他の種目で実践を積み重ね、子どもが自ら運動の行い方を発見する、課題解決できる子どもへの育成をしていきたい。

<参考文献>
「アクティブ・ラーニング実践の手引き」/田中博之 教育開発研究所

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「教育実践」
打つ技能を高めるティーボール指導の工夫
新潟市立五十嵐小学校
伊藤 秀樹

  ベースボール型ゲームは、児童の日常の遊びの質的な変化により、他よりも技能差の大きい運動である。特に打つ運動は、多くの児童にとって経験のない、もしくは少ないものであり、習得に時間がかかる技能である。ボールを遠くに飛ばすために必要なことは、スイングスピードを上げることと、ミート力を上げることである。しかし、二つの力の両立は難しく、特にゲームになるとその傾向は顕著となり、スイングスピードとミート力の両立が課題であった。これまでの私の実践でも、バットを速く振ることに力を入れるとミート力が落ち、ミート力を重視するとスイングが遅くなることが課題となっていた。
 そこで、スイングスピードを上げるために、打撃フォームを指導してスイングを一定にし、その中で体重移動を速くしていく指導を行った。また、ミート力の向上についても打撃フォームを一定にしていくことを重視して取り組んだ。
 本実践を進めるうえでの打撃理論については、プロ野球選手を中心に多くの支持を得ている手塚一志氏が提唱するダブルスピン打法にもとづいて打撃フォームの指導をした。
 研究の実際では、スイングスピードとミート力を向上させて、遠くに打てるようにするために次の手だてを講じた。

1 ダブルスピン打法にもとづいた技能ポイントの指導
 ・技能ポイントを獲得させるための指導
2 ミート力向上のために、ミニボールを使った飛距離の分かる場での打撃練習
 ・メインゲームと同じ場で、直径4.4cmのウレタンボールを使った打撃練習

 本取組の結果、児童の技能ポイント獲得数を、単元前と単元後で比較すると、すべての技能ポイントが高くなった。また、スイングスピードの平均も高くなり、ミニボール打ちやゲームの平均飛距離でも回を追うごとに向上が図られた。
 さらに児童が技能を高め、遠くにボールを打てるよう、今後も手だてを探っていきたい。

〈参考文献〉
「バッティングの正体」/手塚一志、ベースボール・マガジン社1999年

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「教育実践」
生物育成に関する技術における、より主体的で深い学びにつながる授業
長岡市立江陽中学校
加藤 尚徳

  現在技術分野で行われている生物育成は、実践的・体験的な学習活動を通して生物の育成や成長・収穫の喜びを体験させる内容である。しかし、栽培場所や時間の問題から、室内で行ったり手のひらサイズの小規模になったりと本来の農業とはかけ離れてしまう。人工的に栽培環境の条件を変えた生物育成は実験的な要素が多く、生徒が主体的に取り組みにくいと考えた。そこで、生徒を農業に携わる生産者に置き換えて生物育成の学習を進め、生産者の立場としての喜びと苦労を体験することで、生徒がより主体的に生物育成に取り組めるのではないかと仮説を立てた。
1 生徒が農業そのものを理解するための題材の設定
 生物育成については小学校でも経験するが、生物の成長の様子を観察することが目的であり、農業本来の生産性についての技術指導はあまり受けていないのが現状である。そこで、昨年度の学習の様子を写真等で見せたり、生物の成長の様子を順番に説明したりするなどして、全体の見通しをもたせた。特に農業の全体(土づくり~植物の片付け)を捉えているケースが事前のアンケートから少ないことが分かった。そこで、農業の1年間の作業を説明することで、不足していた作業や場面に気付かせることができた。実践後、アンケート結果より「これまでの生物育成とは管理技術が異なった」と答える生徒が約93%と多いことが明らかになった。具体的には、土づくりや摘芽、摘芯、誘引などの作業は初めて体験する生徒が多かった。これは生産性を上げるための管理技術であり、これまでの生物育成とは大きな相違点となった。
2 選択を増やす教師からの技術指導
 今回は育成する品種をミニトマト(アイコ)に限定し、栽培中に想定される状況を種類別に分けて指導した。特に、栽培時期の5月~8月は、天候によって様々な管理技術が考えられ、状況に応じた技術の施行が必要となる。教師側からはより具体的な状況を想定した技術指導を複数回行った。具体例として、葉に穴が開いているという問題に対して、①病気か害虫かの判断、病気の場合は、②その原因と③対処方法、害虫の場合は、④その害虫の特定と⑤駆除方法など場面の設定を明確にして指導を行った。実際、畑で作業する生徒の姿は植物に施す管理技術が明確で手際よく作業していた。特に今夏の猛暑は生物に大きな影響を与えたため、生徒たちの関心も一層高まったと推測できる。実践後「今後、ミニトマトを栽培するときに、どんなときにどんな作業が必要か判断することができるか」という質問に対して約98%の生徒が肯定的に答えた。
3 成果と課題
 1、2の手だてを用いて学習を終えた後、生徒からの感想には、育成に関する技術の大切さを体感した生徒が多数いたことが明らかになった。また、生産物は学校給食の材料として使用し全校生徒に振舞われ、生産者の喜びを実体験できた。以上の成果より、今回の生産者の立場として学習を行うことで、生徒がより主体的に生物育成に取り組めることが実証できた。課題としては2の手だてを行う際、生徒も膨大な知識が必要となってくる。経験不足を補うためにも、理科の学習内容や生活経験からの知識が集約できる教科横断的な事前学習が大切である。

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「教育実践」
生活をよりよくしようと工夫し創造する態度を育てる授業づくり
新潟市立小針小学校
小野 愛佳

 1 研究内容
 次期学習指導要領では、家庭科の目標が「生活の営みに係る見方・考え方を働かせ…資質・能力を…育成することを目指す。」となった。これまでの実践を振り返ってみると、児童の実態に合った学習課題になっておらず、課題意識が生まれない児童が多かった。児童の生活経験で知っていることを基に、話合いを通してよりよい生活を考えさせることが多かった。根拠が曖昧だったため、どの方法が効果的かを実感する実践的・体験的活動には到っていなかった。
 そこで、児童が課題意識をもち、科学的な意味付けを基に生活を工夫し創造する態度を育てるために、①「日常に目を向けるずれのある導入」、②「根拠を基にした思考場面」、③「生活の営みに係る見方・考え方の概念化」の三つの手だてを行う。小学校5年「じょうずに使おうお金と物」、小学校6年「暑い季節を快適に」の単元において実践を行った。
 
2 研究の実際と考察
 手だてを取り入れた授業において、児童のアンケートを分析した。消費生活の単元ではアンケートの結果、自分の家庭の状況に合わせて買い物をした児童が51.5%だった。商品の産地や原材料を見るようになった児童や、祖父が好む物、子どもが好む物を考えてお菓子を買っている児童が増え、生活を工夫し創造する姿が向上した。一方で33.3%の児童が賞味期限などの表示を見て買ったり、本当に必要かどうかを考えて買ったりすることを前から行っていたと回答していた。このことについては成果と課題で後述する。住生活の単元では、アンケートの結果各家庭の間取りや部屋に合わせて、学習したことを工夫している児童が82.4%だった。風の出入り口を考えて窓の開け方を変えたり、体感温度を考えて服の色を白にしたりと生活を工夫し創造する態度が向上したと考える。

3 成果・課題
 ずれのある導入や実験を通して課題を解決していったことで、学習の楽しさや、実感を伴った理解につなげることができた。その結果、生活に役立てようとする姿や使ってみようという思いになったと考える。授業後の生活に役立てているかの質問で「前から家庭で行っていたことだった。」という児童が多かった。その児童が授業後に、今まで児童がもっていた認識と授業で獲得した意味づけを結び付けて家庭で行っているかを検証することができなかった。

<参考文献>
「家庭科教育を学ぶ人のために」/堀内かおる.世界思想社
「平成29年版 小学校新学習指導要領ポイント総整理 家庭」/鈴木明子.東洋館出版社
「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 家庭編」/文部科学省.東洋館出版社

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「教育実践」
よりよい音楽表現を求めて共に高め合う子ども
新潟市立新津第二小学校
佐々木 和香子

  よりよい音楽表現を求めて共に高め合う子どもを育てるには、音楽の授業の指導だけでは不十分である。音や音楽、仲間を受け入れ、それらと自然に関わることで、初めて思いや意図をもち、よりよい音楽表現を求めていくことができる。そこで、基盤となるのは学級経営である。学級経営の中核に音楽活動を位置付け、子どもの心を耕しながら、音楽授業と関連させていくことが必要である。
 日常の音楽活動として、学級開きや、席替えの後や、朝の会等を使って、友達と関わりながら音楽活動に取り組んできた。友達の表現のよいところを真似したり、誰とでも関わりながら楽しく学習したりする姿が見られた。
 また、表現を工夫する音楽授業に取り組んだ。日常の音楽活動を生かして、音楽や音、友達を受け入れながら、よりよい表現を求める姿が見られた。さらに、友達と自分との違いを認め、違いを受け入れながら新たな価値を生み出す姿も見られた。
 今後は、日常の音楽活動と音楽授業の関連性を他の領域でも生かし、実践を積み重ねていく。

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「教育実践」
即興で伝え合う力の素地の育成
~中学1年生における教科書指導の工夫を通して~
十日町市立吉田中学校
中川 大地

  これまでの授業で、与えられたテーマについて即興で伝え合う活動を継続的に取り入れたことで、生徒は徐々に間違いを恐れずに発話できるようになり、コミュニケーションへの意欲も高まった。しかし、表現したいことが増えるたびに、自身のもつ語彙や表現と意欲との間にギャップが生まれ、発話が途切れたり、日本語を使用したりしてしまう生徒が増えてしまった。
 そこで、本研究では、教科書指導のまとめ活動として「リプロダクション活動」を取り入れ、それに向けたインプットの工夫をすることで、「既習表現を含めて、身に付けている英語を用いて、同じような内容の表現を言い換えるスキル」の習得を目指した。
1 リプロダクション活動
 教科書をモデルに「説明」「やりとり」を行う活動を、各セクション、単元の終わりに行った。
2 インプットをアウトプットにつなげる教科書指導の工夫 
 教科書指導の「Oral Introduction」、「本文の内容把握」の方法、表現活動に必要な語彙や表現方法を工夫して、インプット活動を行った。
 これらを継続して行うことで、生徒は即興的に話す活動において、教科書をモデルにしながら、難易度を徐々に上げて表現の幅を広げ、伝え方のスキルを確実に習得していくことができた。また、既習表現を活用して言い換える姿が多く見られるようになり、沈黙なく会話を続けられる生徒が増えた。
 今後の課題としては、語彙力の向上をどのように目指すかである。言い換えるスキルを高めるための実践を継続すると同時に、表現に必要な語彙を身に付けていくために有効な方法を検討していきたい。

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「教育実践」
英語で表現する力を高めるための工夫
~英語の発音を理解し、自分で発音できる生徒の育成を通して~
佐渡市立高千中学校
本間 哲郎

  言語習得において、「音が分からない言語」は習得が困難である。日本語でも、私たちは「読めない言葉」を普段使っていない。思い出せるもの、使えるものは全て「その音が分かっており、自分もその音を出せる」はずである。さらに言えば、言葉を覚えるときに、「読み方」を必ず覚えるはずである。英語の単語はアルファべットの組み合わせで決まった音を出すものがほとんどである。文字が表す音を理解すれば、「読む」「音を聞く」「話す」の助けになる。そして、文字と音の関係が分かれば、書くべきアルファベットをイメージしやすくなり「書く」の助けにもなると考えた。
 そこで、英語学習において「単語の発音と文字の関係」の理解を重視した学習を繰り返し行うことで、「単語の定着や発音に良い効果をもたらすだろう」また、「4技能にも好影響が出るだろう」という仮説を立て、以下の方法で指導を行った。
1 「発音と文字の関係に注目しながら単語練習をするプリント」の使用
 授業のはじめ、15分ほどを使って、単語の発音をイメージし、正しい発音を聞き、単語を覚えて書く練習をし、自分で発音する、という流れのプリントを用いた学習を行った。
2 ICT機器の積極的な活用
 授業をコンピューター室で行うことを基本とし、パソコンやICレコーダーを積極的に用いた。具体的には、生徒が使えるパソコン内に、教科書の音声(会話文等)を入れておき、生徒たちが自分のタイミングで聞くことができるようにしたり、録音ソフトを使用し、生徒が自分の声で発音したものを記録しておくようにしたりした。ICレコーダーには、教科書の音声等、参考にできる音声を録音し、授業外でも聞くことができるようにした。
 以上の取組を通して、既習の単語を英語らしい音で発音できるようになってきている生徒が増えてきた。それに伴い、発音できる単語を正確に書けるようになってきている生徒も増えてきた。4技能については、英文を読む力(読解力)において、顕著な伸びを見せる生徒がいた。だが、すべての生徒がこのように発音の学習が成果に結びついている生徒がいるわけでなく、より効果的な指導の在り方を検討していく必要がある。

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「教育実践」
小学校段階における「書くこと」領域の指導のあり方について
~目的意識をもって自分の考えや気持ちを伝えることができる児童の育成~
見附市立上北谷小学校
山口 和之

  新学習指導要領では、外国語科が教科化される。これまで私は、音声で慣れ親しんだ語句について、単元終末部に書く活動を設定してきた。しかし、それでは、文字を書きたいという児童の学習意欲は継続しないという課題を抱えてきた。そこで私は、バックワードデザインにより単元構成を工夫することで、目的意識をもちながら英語を書き、自分の気持ちや考えを伝えることができる児童の育成を目指した。
1 手だての有効性の検証(研究1年次)
 単元構成の中に、段階的に書く活動を位置付け、実践を行った。私が実践した「書くこと」の段階的指導とは、次のとおりである。
 ①コミュニケーションを図るために必要な語句や表現について、音声で十分に【慣れ親しむ】。
 ②アルファベットの活字体を【書く】。
 ③最終的な活動で児童一人一人が使用したいと考える語句を【なぞり書き】する。
 ④例文を参考に、自分の気持ちや考えの単語を【書き写し】する。
 これらの「書くこと」の活動が、単元の中に段階的に設定されることで、児童は自分の考えや気持ちを書いて伝えようという目的意識を常にもち、学習を深めていく姿が見られた。
2 手だての有効性の検証(研究2年次)
 当校に勤務するALTの母国の小学校に、自己紹介の手紙を送る活動を単元に取り入れ、実践を行った。1年次の手だてに加え、2年次の研究では、特に英語特有の語順やきまりを気付かせるための手だてを導入した。視覚的支援を中核とした指導を行うことで、主語や動詞、目的語・補語といった文法用語を用いなくても、日本語と英語の語順の違いに気付く児童の姿が見られた。授業後のアンケートを分析すると、100%の児童が語順の違いに気付くことができた。また、ALTの母国の小学生に、自身のことを伝えようと目的意識をもって英語を書いたと答える児童も100%であった。
3 成果と課題
 本研究で、導入した手だては、児童が目的意識をもって自分の気持ちや考えを書く上で、有効であると立証できた。段階的に書く活動を設定し、英語特有の語順やきまりを指導する場面を設定することで、児童は確かに目的意識をもって学習を深めていた。しかし、自分の考えや気持ちを伝えるコミュニケーション手段として、小学校段階における「書くこと」の指導のあり方は、研究例も少なく、未知なる部分が大きい。今後も4技能との系統性を意識しながら、目的意識をもって自分の気持ちや考えを伝えることができる児童の育成を目指していきたい。

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「教育実践」
主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする意欲を高めるための単元構成のあり方と指導の工夫
新発田市立御免町小学校
村竹 繁

 課題
 H29年度全国学力・学習状況調査(児童質問紙)で肯定的評価の児童を見ると「外国人と友達になりたい、外国をより知りたい」で70%、「外国へ留学、国際的な仕事に就きたい」で33%であった。この乖離は興味・関心と4技能活用の差であると考える。その確実な指導はどうあれば良いかが問題意識となった。また私は配布教材を用い、指導計画どおりに実践をしてきた。学習調査結果の肯定的評価では「外国語科の学習は好き」83%、「関わり合いを通した学習が好き」97%だった。否定的評価児童(17%)に理由を聞くと、「教科書だけだと飽きる、言われたことならできる、一人だと間違いそうで怖い、正確に言えるか不安、聞くだけだと忘れる、読む方が好き、書いた方が覚えやすい」との回答を得た。ここに、児童が学習の主体者でない、学習に魅力や見通しをもてない、正確な英語を用いたい等、児童の切実な思いを感じた。また、「振り返り」の仕方にも課題を感じた。過去にも振り返りカードを用いたが、観点が曖昧で目的は教師の評価のためであった。児童が自己の変容や次の活動への意欲となるようなものに改善する必要を感じた。
構想 
 そこで本研究では、①単元末に魅力的なゴールを設定し、②そこに至る過程で効果的に4技能に触れる単元を構成し、③自己の変容を実感できる「振り返り」の活動を設ければ、児童は主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする意欲が高まるだろうと考え、次の3点の手だてを講じた。
手だて1 
 毎時間の導入時に行うTeacher talkを単元のゴールのモデルや理想的な発表者のモデルとして提示し、単元全体の学習に魅力と見通しをもたせる。
手だて2
 単元構成に4技能(聞く→読む→話す→書く)の活動を効果的に配置する。
手だて3
 自己の変容や成長を実感できるような「振り返り」を行う。
成果と課題 
 以上の手だてを6年生「Turn left」「My Summer Vacation」の二つで実践した。ゴールの活動が多くの児童にとって魅力的であると認識され、Teacher talkをモデルに4技能に触れる活動に取り組み、肯定的な自他評価を行えば、主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする意欲が高まることが分かった。一方で、”魅力的なゴール”の定義と個々の児童の認識にはズレがある点と、2実践のみで仮説を検証したり結論付けたりするには記録が不足していた点の2点は、授業者として上手く整理できず、課題が残る。外国語科の指導では特に、日々の信頼関係の基盤の上に成立すると感じた。担任としての魅力があるかどうかを、常に自ら厳しく問い続けていきたい。

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「教育実践」
根拠をはっきりとさせた考えをもち、考えを人に伝える生徒の育成
~知識や理科の見方・考え方を働かせ、課題に取り組む実践より~
阿賀町立阿賀津川中学校
長谷川 大輔

  現行の学習指導要領から新学習指導要領への改訂の項目の一つとして、見方・考え方が「目的」から「手段」として定義された。これまでの実践では、見方・考え方を「手段」として意識していなかった。また、本校生徒の実態をアンケートから分析すると、「考えをもつこと」「考えを人に伝えること」に苦手意識があることが分かった。この原因として、考えをもつための根拠となる知識や理科の見方・考え方の定着が課題であると考えた。
 そこで、考えの根拠となる知識や理科の見方・考え方を定着させていくための手だてとして,次の2点を考えた。「個人課題とグループ課題の設定」および「理科の見方・考え方を働かせるための段階的な支援」である。中学校3年「化学変化とイオン」の単元において、この手だてを用いて実践を行った。
1 個人課題とグループ課題の有効性
 単元の中の三つの学習内容の中で、個人課題とグループ課題を設定した。個人課題では、主にグループ課題で活用するための知識や理科の見方・考え方の獲得を目指した。グループ課題では、個人課題で獲得した知識や理科の見方・考え方の活用を目指した。また、グループ課題で他者と関わることによって、知識や理科の見方・考え方に対する理解が深まっていくことを期待した。
2 理科の見方・考え方を働かせるための段階的な支援
 理科の見方・考え方を最後は生徒自らが活用することができるようにするために、段階的に支援した。①ヒントカードを示す。②ワークシートに図を示す。③何もなし。最後は、教師の支援なしでも学んできた知識や理科の見方・考え方を活用して考えをまとめていくことができた。
3 成果と課題
<成果>
 獲得から活用を繰り返す中で、理解度が深まり、知識や理科の見方・考え方が定着していった。それを基として根拠のはっきりとした考えをもつことができるようになってきた。理科の学習が苦手な生徒も、少しずつ知識を得ていることを確認できた。学習アンケートの「考えをもつことができる」「考えを発表できる」の数値が上昇した。
<課題>
 グループ課題において、どのような過程で知識や理科の見方・考え方を活用し問題を解決させていっているのかを明確に見取ることができていない。また、個人課題とグループ課題がよりよく関連付けられるように検討することも必要である。

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「教育実践」
一元一次方程式の文章題における立式指導の工夫
~偽仮定法による立式と単位を意識させた指導を通して~
新潟市立鳥屋野中学校
長部 賢

  全国学力・学習状況調査の結果から、具体的な場面で、一元一次方程式をつくることに課題が見られた。また、今までの指導の中で、過不足に関する問題への苦手意識をもつ生徒が高いと感じている。
 本研究では、文章題の逆思考から順思考への転換場面において、そのギャップを埋めるため、偽仮定法を導入する。その後、真仮定法を導入することで、順思考で考えるよさを実感させる。また、表した式の単位を問うことで、その式がどのような数量を表しているか、そして、二つの式の数量関係を意識して立式することができると考えた。
 授業では、文章題の1時間目で偽仮定法の導入を行った。2時間目に過不足問題を取り扱い、偽仮定法を用いて式の検討を行った。また、式の単位を問い、たてた式の数量関係を意識させた。
 本研究で、生徒は過不足問題について正しい数量関係を捉え、立式できる力をつけることができた。今後も、偽仮定法が過不足問題の立式に有効であることを追究していきたい。

「教えたくなる数学 学びたくなる数学~思考力・判断力・表現力を育成する教材解釈・構成~」
 神林信之/風間寛司/星野将直/井口浩/小嶋修/渡部智和 考古堂書店 

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「教育実践」
社会的な見方・考え方を育む教師の「問いかけ」(問い返し)や「資料の工夫」
魚沼市立小出小学校
清塚 大暁

  新学習指導要領解説社会科の目標は、「社会的な見方・考え方を働かせ、課題を追究したり解決したりする活動を通して、グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す」である。
 この目標に照らして、私の授業を振り返ってみると、問題解決的な学習で資料を読み取る活動や子どもとともに「問い」をつくることは意識して行ってきたが、社会的な見方・考え方の育成を意識するものではなかった。また、社会的事象について考えたことを他者に伝え合う活動では、社会的事象を多面的に見る視点が少なかったため互いの思考の深まりが弱いと感じた。
 そこで、本研究では、社会的な見方・考え方を育むために、問題解決的な学習の中で、社会的事象を多面的に考察できるような「問いかけ」(問い返し)や「資料の工夫」を大切にした授業づくりを試みることとした。(子どもの発言の変化や振り返りの記述から見取る)
①社会的な見方・考え方に迫る問いかけ(問い返し)
 子どもの思考が働くように意図的に問いかけ(問い返し)をすることで、初めの見方から、再考し、考えを修正したり、深化させたりすることができると考える。そのために、子どもの認識や考えに「問いかけ」(問い返し)を行い、視点を与えながら追究していくことで、社会的事象に対し多様な見方ができるようにする。
②関係付けて考える資料の工夫
 実践1、2【3年 働く人とわたしたち】では、子どもの認識と関連付けられるように、見学や体験の際に見落としていた事象を資料として活用する。実践3【6年 新しい学問と文化】では、時代背景に迫られるように、時代の特色、人や物の動きがイメージできるような視覚的に分かりやすいビジュアル資料を自作加工して複数活用する。
 本研究において、授業の最初は1つの視点を基に考えていた子に対し、その子どもの思考を揺れ動かす問いかけ(問い返し)をしたり、自らの認識と関連付けられる資料を活用したりすることで、新たな視点をもとに、自分の考えを再考できた。授業の終末では多様な見方ができるようになった。解釈の仕方の一面性や弱さなどに気付かせ、新たな視点を得ることができ、社会的事象について深く追究することができた。
<参考文献>
「見方・考え方を身につける授業ナビゲート」北俊夫 明治図書 2017
「資質・能力と学びのメカニズム」奈須正裕 東洋館出版社 2017

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「教育実践」
子どもたちが、発見した情報を、点だけでなく線・面で捉える授業作り
新潟市立巻南小学校
内山 寬弥

  今年度社会科の授業を初めて担当する。これまでの私の授業では、社会的事象を部分的でしか捉えさせられなかったことが課題として挙げられる。自分と友達の意見を、比較・分類をする時間をあまりとらなかったため、事実を関連付ける経験が少なかったことが原因である。いわば、点と点が、線として結びつかない状態で社会的事象を考えていたのである。そこで、子どもたちが個別の事実(点)を関連付け(線)、関連付けられた複数の事実を、総合する活動(面)を授業の中で組み立てる。社会的事象の特色などを考えやすいようにするには、次の2つの手だてが有効と考えた。一つは、教師が、事実を関連付けて考えることを促す指示・発問を行うこと。もう一つはグルーピング・ラベリング活動を取り入れることである。
1 手だての有効性の検証
 手だて二点を取り入れた授業において、子どもの追究活動の様子と、課題に対する学習のまとめ方から有効性を検証した。まず、子どもたちにグルーピングをさせ、「似ている考え、グループになる考えはあるかな」とするよう発問する。個別の事実を関連付けさせる発問である。抽出児は、自分の考えを6枚付箋に書いた。全体的には3枚程度を書く子どもが多かったので、抽出児は多く付箋を書いたと思われる。ラベリングでは、意欲的に付箋を分類する姿が見られた。これらの手だてにより、子どもたちの考えがより視覚的に捉えられるようになった。そこで教師がわかったことを一言で表すように発問する。
2 成果と課題
 本研究で、導入した手だて2つは有効であった。グルーピング・ラベリングを指示することで、子どもは視覚的に友達の考えと自分の考えを関連付けることができた。しかし、授業の終末に向かう際、線を面にするための適切な指示・発問の仕方に苦労した。実践では、子どもの考えを一言にまとめさせたが、困難を感じていた子どもの姿が見られたからだ。また、「面」として関連付けられるのはあくまで「見聞きした事実」が根拠になくてはならない。資料から「考えたこと・予想」を点・線として扱うだけでは、社会的事象の特色を捉えているとは言えないからだ。社会的事象を理解させるためには、見学やインタビューなど、実際に見聞きする体験が必要であることが分かった。

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「教育実践」
自立した読み手を育てるリーディング・ワークショップの実践
新潟市立早通中学校
青田 美香

  中央教育審議会答申において「読書は、国語科で育成を目指す資質・能力をより高める重要な活動の一つである」とされ、読書指導が国語科において重要な役割を担っていることから、本研究は、中学校国語授業における読書指導の充実・改善を目的としている。
 生徒(中学1年生)は小学校での「図書の時間」を通して、かなりの読書量が確保されていた。子どもたちが生涯において、読書生活を充実させ、自立した読み手となるためには、中学校においても読書の授業を行う必要がある。そこで、リーディング・ワークショップの手法を用いた授業を行うこととした。
 リーディング・ワークショップとは、吉田(2010)によれば、「読むことをワークショップ形式で学ぶ」「読書家になる体験を読むことを通して学ぶ」ことである。まず、教師のミニレッスンを5~10分で行う。次に、生徒は30分のひたすら読む時間を確保する。最後に、班で読んだ本について話し合う。
 本実践は、リーディング・ワークショップのお試し読書において、次の2点の工夫をすることで、話合い活動の充実を図った。
  ① ミニレッスンで話合いのきっかけを作る
  ② 読書中の思考を可視化させる
 これらの手だてを取り入れた授業において、生徒の振り返りシートに書かれた感想から、話合いによって他者との違いを好意的に受け止めることができた記述が見られた。また、ミニレッスンで紹介した本と出合うことのできた喜びの記述も見られた。
 本研究を通して、取り入れた手だては学習者同士の話合いの充実を図る上で有効であると立証できた。他者と交流しながら今後も継続して実践することにより、生涯において読書生活を充実させることができる、自立した読み手になれるよう促していく。
<参考文献>
『「読む力」はこうしてつける』吉田新一郎.新評論
『読書家の時間 自立した読み手を育てる教え方・学び方【実践編】』プロジェクト・ワークショップ編.新評論

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「教育実践」
「主体的・対話的で深い学び」を促す授業展開の研究
~「2段階で問う」という発想を手がかりに~
新潟市立大形小学校
岩崎 直哉

 「主体的・対話的で深い学び」が実現されるかどうかは、「発問」という教師の授業行為にかかるところが大きい。しかし、発問一つの善し悪しを検討しても、実際の授業の中では子どもが十分に思考する姿を引き出せないことがあった。その原因は、次のものと考える。
 ・子どもに考える必然性がない(発問で問われることが、子ども自身の問題意識になっていない)。
 ・子どもに考える材料がない(発問に対して、何をもとにして反応すればよいのか分からない)。
 そこで、主発問に至るまでに、問題意識を共有したり、考える材料をもたせたりする1段階目の発問を設定することにした。1段階目の発問と2段階目の発問(主発問)による子どもの反応を基に検討することによって、授業展開論を構築したいと考える。
 研究領域を文学的文章の読みに絞り、次の2実践の事実から考察する。

・実践① 「ごんぎつね」
 →第6場面の語りの変化(視点の転換)について考えさせ、自分の読みを自覚させる授業。

・実践② 「走れ」
 →クライマックス場面の主人公の変化を捉えさせる授業。

 上記実践から得られた2段階の発問の要件を以下のように整理する。
 ・論理的に読ませるために、まず直観的な反応を引き出す発問をする。
 ・物語の深層を読ませるためには、まず表層に着目させる発問をする。
 今回の実践では、無意識を意識化すること→自覚的に物語世界を捉え直すこと(実践①)、対比により情報を整理すること→情報を統合して物語世界を捉え直すこと(実践②)という2段階の思考過程が観察された。今後は、2段階でどのような思考過程が想定されるか、類型化をすることでより明確な授業展開論を記述したい。

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「教育実践」
地域に愛着と誇りをもち、主体的に課題解決に取り組む児童の育成
~甘酒づくりを出発点として~
三条市立大島中学校
川上 綾子

 1 研究の概要 成果と課題
 他者から感謝されるような行動(向社会的行動)が増加すれば、様々なことへの意欲が高まるのではないか。そのための手だてとして、次の二つを考えた。一つ目は、向社会的行動を行おうとする意欲を高めるために、教師や周囲による称賛や承認を増やす取組。二つ目は、向社会的行動を意識させるために、生徒がその行動の良さや意義について考える取組である。
2 研究の実際
(1)教師や周囲による称賛や承認
 教師の言葉掛けを承認や称賛を意識したものに変えることと、学級の仲間からのありがとうメッセージの取組を行った。
 これによって最も変化したデータはASSESSの教師サポートの数値である。「担任の先生は私のいいところを認めてくれている」が肯定評価だった生徒は全体の7割で、4分の1の生徒の評価が上昇した。加えて、友人からの認める言葉掛けの取組によって学級の半数以上の生徒の友人サポートの数値が上昇している。また、教師の呼び掛けに応じて手伝いをしたり、困っている友達を助けようとしたりする姿も多く見られた。
(2)生徒がその行動の良さや意義について考える
 プロジェクトアドベンチャーでの異学年との課題解決活動や短学活での「今日のヒーロー紹介」の取組を行った。
 これによって「人を助けると周囲が見ていてくれる」「こういう声掛けをされるとうれしい」といったことを生徒は意識していくようになった。学校評価アンケートで清掃や係活動、地域ボランティア活動に意欲的に取り組んでいると回答した生徒も増えた。ASSESSの向社会的スキルの数値が7割の生徒で上昇し、また、学校生活生活満足度も向上した。
3 成果と課題
 取組を通して、生徒のボランティア等の向社会的行動が増加し、ASSESSの学校生活満足度も数パーセントではあるが上昇した。
 手だてが向社会的行動の増加にどのように作用したか、数値データで証明することができなかったことと、言葉掛けの内容や実践できた頻度等の記録がとれていないことが課題として挙げられる。今後も生徒との日々の関わりの中で有効だと思われる方法を実践し、効果を検証していく。

<参考文献>
『アセスの使い方・活かし方』栗原慎二・井上弥.ほんの森出版、
『アドベンチャープログラムトレーニングマニュアル』プロジェクトアドベンチャージャパン、
『いまどきの子を「本気」に変えるメンタルトレーニング』飯山晄朗.秀和システム、
『アドラー流一瞬で心をひらく聴き方』岩井俊憲.かんき出版
 

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「教育実践」
全校体制で推進する人間関係づくりを核とした社会性の育成
~燕市立燕南小学校での実践より~
新潟大学教育学部附属長岡小学校(燕市立燕南小学校での実践)
平出 久美子

  登校の生徒指導上の教育課題である自己肯定感の低さ、人間関係形成能力の低さの改善を図るため、人間関係づくりを核とした社会性の育成を目指した五つの取組を実施した。
1「社会性育成のためのカリキュラム」の作成
 社会性の要素と言われている「自己肯定感」「人間関係形成能力」の向上を目指し、人間関係づくりを中核とした「社会性育成のためのカリキュラム」を作成した。
2計画的・系統的なSGEの配列
SGEを中心とした人間関係づくりの活動を全校で実施するにあたり、実態を基に系統性をもたせて活動計画を立てた。学級の実態や学期ごとの系統性、発達段階に応じ、意図的・系統的に活動を実施することで、社会性を育成した。
3活動の振り返りを評価し、改善するシステム
実施後の児童・教師の感想や活動時の児童の様子を基に、改善策を検討し、内容の修正・改善を行うPDCAサイクルで活動を進めた。
4全校体制での取組
校内研修で検討した活動案を基に、各学級で毎月実践し、実施後アンケートをとった。学級全体と個人の実態、支援を要する児童を一目で把握できるようにデータ化して担任へフィードバックし、学級経営や児童理解に生かした。
5生徒指導部と連携した校内研修の実施
校内研修では、生徒指導部と連携し、ワークショップを通した目的の共有、活動案の検討、Q-Uを活用した学級経営の研修を実施した。
成果と課題
「社会性育成のためのカリキュラム」を全校体制で実施することで、社会性の要素である自己肯定感や自己有用感、人間関係形成能力が向上していくことが明らかになった。社会性を育成するためには、以下の4点が重要である。
(1) 自校の実態把握(児童・教師)を通して教育課題を把握し、社会性の要素の中から、児童に付けたい力を明確にする。
(2)学年の発達段階や学期の系統性をもたせ、人間関係づくりの活動を位置付けた「社会性育成のためのカリキュラム」を作成し、全校体制で推進することで、効果が上がる。
(3) PDCAサイクルで、活動の様子や振り返り(児童・教師)をもとに評価し、更に有効な活動になるように改善して次年度へ繋ぐ。
(4)校内研修を通して、児童の実態や活動の意図、効果的な指導法を共通理解し、教職員の意識向上を図る。
 今後、一層効果を上げるためには、各教科との関連を図った活動にしていくこと、幼保小・中学校との連携を取り、学校間のつながりをもたせていくことが重要である。

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「教育実践」
思春期の難聴生徒たちへの支援を考える
~自立活動と障がい理解授業の取組から~
新潟市立白新中学校
野住 明美

  通常の学校・学級で学ぶ難聴児は増えてきている。これは、新生児聴覚スクリーニング検査の導入による難聴の早期発見と早期補聴・療育の効果、そしてインクルーシブ教育システムへの潮流によるものである。当校には昭和50年開設の難聴学級があり、生徒たちは広く市内外から通学してくる。そこで、障がいの社会モデルを理念とするICF(国際生活機能分類)をもとに、聴覚障がいへの支援を整理し、中学校に在籍する難聴生徒への支援のあり方について検討した。
1 研究の実際
(1)ICFから聴覚障がいへの支援を考える。
 ICFモデルを用いて「聞こえにくさ(難聴)」による障がいを捉えると、その支援は次の①~③に分けられると考える。①活動と参加への支援や働きかけ、②環境因子への働きかけ、③個人因子への働きかけである。この三つの枠組から、中学校における難聴生徒への支援を整理した。
(2)支援の実際
① 活動、参加へのアプローチ
 情報保障について検討し、全校朝会や生徒会朝会などの集会では、スクリーンを立ててPCによる文字入力を投影することにした。
② 環境因子へのアプローチ
[障がい理解授業の実施]
 平成29年度の2学年2クラスの道徳の時間に難聴疑似体験を取り入れた難聴理解授業を、学級担任と連携して行った。
[難聴への理解・啓発活動]
 全ての学年の学年朝会において難聴理解・啓発の講話を実施することにした。
③個人因子へのアプローチ
[自立活動の指導の工夫]
 自立活動の指導のうち1時間を集団での活動とし、ファシリテーションの手法を用いて自分たちの日常生活での困難をどうやって解決していくかを考えていった。また、7月には難聴である大学院生の方から自身の経験を語ってもらう「先輩と語る会」を行った。
3 成果と課題
 全校朝会や集会などでのスクリーンによる情報保障は、当校では当たり前になりつつある。スクリーンによる文字の情報保障は、難聴児だけではなく、聞くことに困難をもつ生徒にも、話をうっかり聞き逃した場合にも便利なものであり、視点を変えるとユニバーサルデザインの支援にもなると考える。
 今年度入学してきた難聴生徒3名は、徐々にではあるが興味のあることに積極的に取り組み、自身に必要な支援を周囲に伝えることができるようになってきた。
 安定した人間関係があるからこそ、人は自己実現に向かっていけると考える。「難聴があるからできない」とあきらめるのではなく、「難聴がある自分だから○○したい。こうなりたい」と自己実現していける生徒の力を育てられるように、試行錯誤しながら日々の支援を充実させていきたい。

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「教育実践」
学級の課題解決に向けて、児童の主体的な活動を引き出す指導の工夫
~児童の思いを広げる働きかけと合意形成を図る効果的な話合いの場の設定を中心に~
村上市立神納小学校
小柳 輝

  特別活動は日常生活において、課題を見いだし、各教科で身に付けた知識・技能、思考力・判断力・表現力を統合的に活用して、課題解決に向かう活動である。また、児童の主体性を養う活動でもある。
 しかし、本校児童の実態は、教師の指示を待つことが多く、主体的に活動に取り組むことが少ない。また、特別活動は計画から話合い活動、そして実践活動まで、授業時数を多く必要とする運営面の難点がある。
 そこで、児童が主体的に活動に取り組むため、かつ時数を抑える観点から、特別活動の一連の流れを「児童自身が活動を『したい』と思う」「一緒に活動する仲間を作る」「効率的に合意形成を図る話合いカードを活用する」という手だてを講じて、小学校6年生において「先生方に感謝の気持ちを伝えよう」の実践を行った。
1 手だての有効性(児童の主体性の面から)
 児童が心に秘める「学級へ対する思い」と「こんなことをしたい」という思いを教師が把握した上で、児童に勇気付けをし、共感してくれる仲間と出会わせることで、児童は見通しと自信をもって活動に取り組んだ。教師の指示は必要とせず、仲間とともに児童たちがプロジェクトチームを立ち上げ、活動の時間・場所・流れ等の準備・運営に関することを主体的に計画及び実行する姿が見られた。
2 手だての有効性(時数の面から)
 児童自身が「したい」活動であるため、児童たちが休み時間や放課後の時間などを使って計画や打合せ、準備を行った。準備段階で出てきた困っていることへの合意形成を図るために、自分の考えを可視化する話合いカードを活用した話合い活動で1時間、実践活動のリハーサルで0.5時間を費やした。本実践に当たって、計画から話合い活動、そして実践までにかかった時数は1.5時間であり、少ない時数で特別活動を展開できた。
3 成果と課題
 本研究で講じた手だては児童が主体的に活動に取り組むこと、また、少ない授業時数ながらも実践活動を通して児童に達成感を味わわせることに有効であった。今後は、他の学年でも、題材が異なっても、今回の手だてが有効かどうかを検証していく。

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「教育実践」
テーマ発問によって促す児童の多面的・多角的な思考
~道徳的価値に関する一つの言葉から作る道徳科授業を通して~
見附市立見附小学校
加藤 聡史

  「特別の教科 道徳」のキーワードは、「多面的・多角的」である。この言葉は、道徳科授業の発問や評価の観点としても重視されている。そこで、私はテーマ発問を授業の中で意図的に取り入れた。①導入場面で道徳的価値に対するイメージを共有する問い②教材を通して児童間の道徳的価値に対するイメージにズレを生む問い③道徳的価値に対するイメージを見つめ直すことを促す問いの3点である。
1 手だての有効性の検証
①自分の考えをもつためのベースとなった。授業で何を考えればよいのかが明確になり、このイメージを基に考えの変容を実感していた。
②「本当にそうか」「他にはないか」という問いを生み、追求意欲を高めていた。また、道徳的価値には多様な側面があることに気付いた。
③教材文の中心となっている道徳的価値について吟味していた。また、既にもつ道徳的価値観を揺さぶり、様々な見方や考え方を獲得した。
2 成果と課題
 本研究で、導入した手だて3点は多面的・多角的思考を促す上で有効であると立証できた。今後、他の内容項目の授業でも実践していく。また、児童の多面的・多角的思考を促すためにはどのような働きかけが有効なのかを更に追求していく。
<参考文献>
『これからの道徳教育で特に求められること―道徳教育の改善と充実―』新潟県立教育センター平成29年度豊かな心を育む道徳教育講座 講話・演習用補助資料/永田繁雄
『学習指導要領解説 特別の教科 道徳編』/文部科学省
小学生白書Web版『小学生の生活・学習・人間関係等に関する調査』/学研教育総合研究所

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「教育実践」
ONE FOR ALL、ALL FOR ONE
~仲間とともに目標に向かって努力する生徒の育成を目指して~
新潟市立南浜中学校
渡辺 光

  中学校学習指導要領に特別活動の目標として「自主的、実践的な集団活動の姿」とある。この姿を私なりに「仲間とともに目標に向かって努力する生徒の姿」と定義し、部活動に真剣に取り組む選手の姿と競技力向上を目指し次の実践を行った。
1 選手の「その気」にさせるために(自主的、実践的な集団を目指して)
 (1)集団としての指導方針の明示と部の規律の徹底
    指導方針と単純明快な部の規律を定め、徹底する。
 (2)サッカーノートを活用した日常のPDCAチェック
    長期目標(plan)・行動目標(do)・振り返り(check/action)をサッカー
   ノートに記入し、目標に向かって努力する態度や考え方を育てる。
 (3)開始30分間のルーティン化
    部活動開始30分間のメニューをルーティン化し、選手同士で切磋
    琢磨しながら練習に取り組むことで自主性や自律性を育てる。
2 競技力を高めるために
 (1)トレーニングの効率化
    ボールを使ってフィジカル・テクニック・戦術的理解のトレーニン
    グを効率的に行う。
 (2)「理想の試合」をイメージした練習
    全中優勝チームの試合を映像編集し、理想のプレーを共有すること
    で練習や試合の質の高まりを目指す。
 (3)リーダーの育成
    リーダーが部員全員を気に掛けることで「ONE FOR ALL、ALL FOR
    ONE」の意識や雰囲気をチームに育む。
 これらの実践を行うことで選手一人一人の態度が変わり、競技に対するモチベーションの高まりが見られた。日々の練習や試合に全力を尽くすことで着実に選手は力を付け、その結果県大会準優勝、北信越大会8位という結果を収めることができたと考えている。

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「教育実践」
人とのかかわりを中核とした系統的・計画的な同和教育の実践
新発田市立東豊小学校
五十嵐 俊一

  平成30年度、県の学校教育の重点が大きく改訂された。その中では、自他を大切にして行動できることを目標として、「生きる」を活用し、人権教育の中核に同和教育を位置付けている。こうした目標に迫るためには、自他の大切さを認め、それが具体的な態度や行動に現れるようにすることが必要である。これを具現するためには、二つの課題(①自己有用感の向上 ②人権についての学習)を柱にした指導計画を構想する必要があると考える。
 また、当校の児童の実態として、無気力で消極的な児童や、絶えず他の児童とトラブルを起こし、時には大きな生徒指導上の問題を起こしてしまう児童がいる。
 これらの課題に対し、あらゆる教育活動の中で自己有用感を高めていくこと、さらに他者を思いやること、「差別をしない、許さない」という態度や実践力を育てていくことを課題解決のための視点として据えた。
 そのために、全校体制で構成的グループエンカウンターや縦割り班活動を中心として児童同士の関わりを深め、まずは全校児童が関わり合うための共通の土台をつくっていく。そのうえで、「差別をしない、許さない」という態度や実践力を育てるために、同和教育の視点に立った授業実践に取り組み、被差別者の思いを他人事ではなく、自分事として考えさせることが大切である。その手だてとして、「学年の発達段階に即した系統的・計画的な人と関わり、人や地域に学ぶ授業」としてゲストティーチャーと関わる場を意図的に設定することを提案する。
 本研究から、縦割り班活動やSGEに計画的に取り組み、行事や活動後に、同じ縦割り班や学級、学年の友達にメッセージカードを渡し、互いのよさを認め合うことは、望ましい関係づくりに有効であると考える。また、人と関わることで、資料だけでは理解しにくい状況や思いが自分事となり、実感や共感を伴って学習することができた。
 人や資料から教師が何を学ばせたいのか、はっきりと決めておかないと授業の焦点が定まらない。教師がこれを学ばせたいという強い思いをもつことが大切である。

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「教育実践」
「主体的・対話的で深い学びのある授業づくり」
~校内研修の活性化を目指した研究主任としての取組~
新発田市立第一中学校
今野 由紀子

  教育基本法はじめ各種の法令にあるように研修は教職員の必須事項であり、特に校内研修は教職員の研修の中核を担うものである。当校においては、平成26年度に「共に学び合う授業の創造」を研究主題に、生徒同士の学び合いを全教科で成立させるために授業のスタンダード化を図ってきた。そして、新学習指導要領の全面実施をひかえ、平成29年度より「主体的・対話的で深い学びのある授業づくり」を研究主題に、これまでの校内研修の在り方を見直し、活性化を図ってきた。研究主任としての取組は次のとおりである。
1 校内研修活性化のための手だて
(1)モデル授業の提示
 「主体的・対話的で深い学びのある授業」といっても、各教科や領域で受け止めが異なり、具体化に困難が生じる。そこで、研究推進部が自教科で「主体的・対話的で深い学びのある授業」の一例をモデルとして授業公開し、その公開授業に基づいて、研究協議し、理解を図った。
(2)思考ツールの紹介
 「主体的・対話的で深い学びのある授業」の実現のためには、必要な思考のためのツールが必要である。研究主任として、ホワイトボードやワークシート等の各種の思考ツールの使い方を紹介したり、教具を用意したりした。
(3)プロジェクトチームの編成
 中学校においては、教科の壁があり、教科を越えて検討することに苦手意識がある。そこで、道徳の授業において、「主体的・対話的で深い学びのある授業」の具体化に向けて、学年を単位としたチームを編成し、公開授業に向けて検討を進めた。
(4)情報提供の工夫
 情報の共有化に向けて、定期的に研推だよりを発行し、他教科の実践を学ぶことができるようにした。また、職員室の一角に「研究コーナー」を設け、授業実践の様子や最近の研修に係る情報を掲示した。
2 成果と課題
 教職員へのアンケートにより、上記の手だてが研修の活性化に効果があったことが分かった。課題としては、研修のための教職員の時間の確保が挙げられた。「働き方改革」の一層の推進を図りながら、部活動休止日の有効利用や研究推進委員会の効果的な活用が今後の課題である。

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「教育実践」
地域とかかわる学校行事への主体的な参加による子どもたちの郷土愛の育成
柏崎市立鯨波小学校
渡邊 正博

 本校では平成27年度に、学校・地域・保護者で、【鯨波小の目指す子ども像】を協議した。そこでは「たくましさのある子」「大人になっても地域行事にかかわる子」「地域とかかわれる子」の3点が共有された。
 そこで、地域とのかかわりをさらに強く、太くするために、地域とかかわる学校行事「自然体験活動」の見直しに取り組んだ。地域と協議した結果、子どもの自然体験を重視した、ダイナミックな活動を学校・地域が協働して実施することとなった。
 平成28年度、29年度の自然体験活動では、地域の方々と学校・子どもの距離が今まで以上に近くなったことは間違いない。しかし、地域と学校職員が用意し実施する活動であったため、子どもは地域の自然に触れ、地域の良さを感じるにとどまっていた。【鯨波小の目指す子ども像】につながる「郷土愛の育った子(将来、大人になって地域に貢献したいと考え、行動できる子)」になるには、地域の思いを知り、地域の方々と一緒に活動をつくっていくことが必要ではないかと考えた。
 そこで、郷土愛の育った子の育成を目指し、地域とかかわる学校行事や活動の計画段階から高学年の子どもを参画させ、行事に対する思いや願いを共有させていくことにした。そのために教務主任として、下記の二つの取組を行った。
1 学校・地域・保護者の意識をつなぐ「鯨波小学校を語る会」を通して、学校行事の見直しを図る。
2 地域と関わる学校行事や活動において、高学年の子どもが企画立案の段階から主体的に参加できるように地域との交渉や調整をする。
 取組の結果、高学年の子どもたちは、地域の自然に対する愛着だけでなく、地域の方に対する関心を高めた。また、地域への関心も高まり、地域行事に進んで参加しようとする子どもも増えた。地域の方の学校行事への参加人数が増え、子どもとの関わりを楽しむ姿も見られるようになった。さらに鯨波地区と上米山地区の地域住民の交流も図られつつある。

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「教育実践」
教育ビジョンの共有による学校づくり
~信頼される学校づくりのための七つの戦術~
新潟市立小須戸小学校
渋谷 徹

  全ての学校には教育目標がある。そして、これらを実現するために校長が描くのが教育ビジョンである。校長の描いた教育ビジョンは共有されなければならない。職員とである。子どもとである。保護者とである。
 校長は、シンプルかつ明確な教育ビジョンを示すべきである。そして、それを職員、子ども、保護者で共有するための戦略と戦術を立てるべきである。このような考えに立ち、次の七つの戦術で学校づくりに取り組んだ。

【戦術1】ミッション(理念)をキーワード化する
【戦術2】職員にプレゼンテーションを行い、理解と共感を得る
【戦術3】児童にプレゼンテーションを行い、全校のめあてを共有する
【戦術4】保護者にプレゼンテーションを行い、理解と共感を得る
【戦術5】校長室通信等により、方向性や修正点を示すと共に職員をモチベートする
【戦術6】HP(Facebook)を通して、日々の情報を公開する
【戦術7】実感を伴った学校評価を行う

 七つの戦術により、職員、子ども、保護者の三者で教育ビジョンを共有することができた。その結果、それぞれが進むベクトルが一致し、校長の目指す信頼される学校づくりは加速した。
  「社会に開かれた教育課程」が求められている。学校の舵を取る校長は、子どもたちがどのような社会の中で生きていくのかを見据えながら教育ビジョンを示さなければならない。激変する社会の中で、学校の在り方も教師の在り方も変わらざるを得ない。校長として、職員に意識改革を促しながらもしっかりとモチベートし、迷いない舵取りを行っていきたい。

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「教育実践」
小中一体型校舎における教頭としての取組
~小中連携の一層の充実・発展に向けて~
小千谷市立南中学校
佐々木 一夫

  当校の一体型校舎の出発は新しく5年前である。1981年に統合された当中学校に32年後の平成25(2013)年4月、4小学校が統合し、乗り入れる形で小中一体型校舎となった。来年度中学校へ入学する生徒は、1年生から一体型校舎に入学した生え抜きの児童として、中学校へ入学する。小中一体型校舎で過ごしている当小中学校は新たな局面を迎えようとしている。
 「小中共に活動する」小中連携から、小中の違いを踏まえ、小中職員の一人一人を基盤とした活動を展開することを通して「児童生徒共に成長できる質の高い小中連携」への転換が児童生徒数の更なる減少を迎える今後の当校の小中の連携の方向であると考えている。
 小中連携活動の過程で、互いの文化を理解する場(ミーティング)を組織し、違いを踏まえ、児童生徒の育成のための協調した小中連携活動を展開することが、活動を充実・発展させより質の高いものにするための道筋となると考え実践を行った。
1 課題解決のための教頭としての方策
 ア 小中連携活動のスタートにおいて、小中教頭・担当者でミーティングを組織する。
 イ ミーティングでは、児童生徒の発達段階の違いや状況、職員の考え方、学校の状況等を明確にして、共有する。(活動の過程で適宜、ミーティングを取り入れる。)
 ウ 活動終了後には振り返りの記録を考察し共有する。
 エ 小中合同研修会で生まれたアイデアの具現化に向けて、組織を整える。
2 成果と課題
 例えば、小中合同避難訓練では、小中職員の考えを十分引き出し、互いに考えを受け入れ、「先ずは、避難する“型”を定着させることを優先」の考えを共有できた。反面、ミーティングに想定より時間を費やしたため連携活動のスムーズさにやや欠けた。
 小中文化の違いは、児童生徒の発達段階の違いから生じるものであると考えている。小中職員両者の考えや違いを十分に引き出すこと。共有することが不足していると判断される場合は、前述の例のように、多少時間を費やすことになったとしても、ある程度まで行う事が必要である。しかし、時間を費やせばいい訳でもない。ミーティングに費やす時間、人数、参加者の意識等のことを勘案しながら、組織を編成し、小中の職員各々の質の高い連携を図る必要がある。
 今後も、小中の橋渡(教頭)として、小中文化の違いを、職員が互いに認識し、協調して連携活動を一つ一つ丁寧に展開することで、ボトムアップを果たし、小中連携活動の充実・深化と質の向上を目指していきたい。

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「教育実践」
自己の学びを自覚する児童の育成
~「深い学び」を促す振り返り~
新潟市立巻北小学校
阿彦 翔大

  新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」が重視されている。「深い学び」を実現させるためには、児童が主体的に学習に取り組み、対話的な学習を通して学んだことを、児童自身に自覚させる必要がある。
 これまでの自分の授業では、振り返り作文を記述させることを通して学びの自覚を図ってきたが、振り返りの内容を次の授業の内容とうまくつなげることができない児童の姿が見られた。そこで、本研究では、算数・数学科において、「学習課題」とそれに正対した「まとめ」のある授業をベースに、適切な場面での「振り返り」を授業の中に位置付け、「これまでに学習した、どんなこととつながっているのか」を書かせることにより、児童に学びを自覚させることができるかどうかを検証した。
 自分の学習の過程や変容を自覚させる「振り返り」の時間を大切にした授業を行うために、以下の手だてを講じて実践に取り組んだ。
1 児童に自覚させたい学びを位置付けた単元指導計画表の作成
2 学びの足跡を確実に残すための板書の工夫
3 「これまでの学習でつながったこと」を書かせる振り返りの工夫
 その結果、児童が既習と未習を関連付けて振り返り作文を書けるようになり、自己の学びを自覚するのに有効であることが分かった。一方で、関連付けた内容を基に考える活用問題において、正答を導くことができない児童もいたことから、今後は「分かる」学びと「できる」学びとを両立させる指導の工夫についても考えていきたい。

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「教育実践」
ボール運動領域における学習過程の工夫
~運動有能感の視点を取り入れ、主体的・対話的で深い学びの実現を目指して~
三条市立裏館小学校
姉﨑 謙

   平成32年度から全面実施される新学習指導要領では、「体育や保健の見方・考え方を働かせ、課題を見付け、その解決に向けた学習過程を通して、心と体を一体として捉え、生涯にわたって心身の健康を保持増進し豊かなスポーツライフを実現するための資質・能力を育成すること」と述べられている。つまり、問題解決型の学習過程を組織する中で、運動の価値や特性を味わわせたり、他者との対話を通してよりよい解決策を見いだしたりしながら、生涯スポーツの実践者の基礎を育成することが求められている。
 そこで、ネット型ゲームにおいて、どのような学習過程を、どのような視点で組織すれば、児童が運動の特性を味わい、生涯スポーツの実践者の基礎をはぐくむことができるのか検証した。
1 研究内容(手だて)
 1単位時間を、ゲームで挟んだ学習過程で組織し、その中に「運動有能感を高める視点」「学習問題を児童が内発的に生み出す視点」を取り入れて実践した。実践は、小学校4年「キャッチバレー」の単元において行い、以下の四つの視点から、授業の有効性を検討した。
 ①形成的授業評価を毎時間測定し、その変容を分析する。
 ②「運動有能感測定尺度」を用いて、単元前後の変容を分析する。
 ③授業VTRによって学習者の技能の向上を分析する。
 ④チームでの関わりの様子をICレコーダーに録音し、発言内容を分析する。
2 有効性の検証
 手だてを取り入れた授業において、形成的授業評価は右肩上がりに得点が上昇していく傾向が見られた。単元前後の運動有能感の各因子と合計について、対応のあるt検定を行った。すると、すべての因子で有意な向上が見られた。この結果より、児童が運動の特性を十分に味わい、主体的に学習を進めている様子が明らかになった。他者との関わりにも変化が見られ、よりよい解決策を見いだす姿が多く見られた。また、技能レベルの向上も見られ、本単元で実践した学習過程の有効性は立証できた。
3 成果と課題
 本研究で、取り入れた学習過程は、児童の主体性や他者との関わりの質を高めたりすることに有効であると立証できた。運動に対する意欲や肯定感を高めることができれば、生涯スポーツの実践者の育成の基礎につながるだろう。今後は、他の単元でも、実践を積み重ね、「主体的・対話的で深い学び」を目指して実践していく。

<参考文献>
「運動有能感の構造とその発達及び性差に関する研究」 岡沢祥訓・北真佐美・諏訪祐一朗

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「教育実践」
仲間と共に思考を深め、課題解決に向かう子どもの育成を目指した体育授業
燕市立燕東小学校
神田 洋志

  新学習指導要領 体育編では、子どもたちが運動への興味・関心を高め、自ら課題を見付け、課題解決に向けて仲間と話し合い、試行錯誤を重ねながら練習に取り組むことで思考を深め、よりよく解決できるようにするといった主体的・対話的で深い学びへの授業改善を進めていくことが求められている。これまでの私の体育授業において、子どもたちが目指す動きに近付くための考えを話し合っていると、情報量が多くなり、考えを整理しないまま練習するグループが見られた。そのために、話し合ったことを練習に生かすことが困難になってしまい、思考が深まらなかった。
 そこで、本研究の手だてとして、思考ツールの一つである、イメージマップを課題解決に向けた話し合いの場面で取り入れた。課題解決に向けた話し合いの場面でイメージマップを取り入れることで、子どもたちが獲得した知識・技能を活用して、仲間と試行錯誤を重ねることができるようになった。また、思考を深め、技能を高めたり、身に付けたりすることに有効であり、また、教師が効率的にポイントを絞って働き掛けができると考えた。
 成果として、イメージマップを取り入れることで、子どもたちが獲得した知識・技能を活用して話し合い、課題を設定することで、見通しをもって練習に取り組めるようになった。試行錯誤することで思考を深めることができ、技能を高めたり身に付けたりすることができた。しかし、それには、授業導入時や終末時において、課題を焦点化させる教師の働き掛けが必要であることが分かった。今回の実践では各グループでイメージマップを作成したが、個別のイメージマップを作成すると、より深い学びや指導者の見取りができると思われる。また、動きの目標設定がイメージマップの出発点(マップ中央の〇)となるので、考えが広がりやすいように事前の教材研究が大切である。

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「教育実践」
思考力を高めるボール運動の指導
~オフ・ザ・ボールの動きに主眼を置いて~
見附市立今町小学校
草野 大樹

  ゴール型ボール運動においては、単元の導入段階から半ばごろまで、技能の高い児童がドリブルを駆使して一人でボールを運ぶ場面が多く見られる。グループ内で動き方の共有を図ったり、チーム内で役割分担を行うといった協働する様相に高めるためには様々な工夫が必要である。
 そこで、局面を限定したり守備側のプレーを制限したりすることにより、攻撃しやすく、また得点が入りやすくなるような簡易化されたゲームを行う。そのことによって、児童の思考力が高まると考え2年間実践を行った。
 1年次では、バスケットボールでオフ・ザ・ボールの動きを身に付けるタスクゲームの有効性について研究した。単元の終末では「友達を助けるために、近寄ったり遠ざかったりする動きが大切」「止まったままだとボールをもらえないから、動きながらボールをもらうと良い」といった児童の気付きがあった。このことからオフ・ザ・ボールの動きに焦点を当てたタスクゲームを行うことは、動きを身に付けるために有効であることが分かった。
 2年次は、サッカーでタスクゲームの実施とボールの修正を行うことでオフ・ザ・ボールの動きを身に付ける事ができるかどうかを研究した。
 手だては次のとおりである。
 手だて1 タスクゲーム(アウトナンバーゲーム)の設定
 オフ・ザ・ボールの動きを身につけられるように、簡易化されたゲームを行った。攻守の切り替えのないアウトナンバーゲームを取り入れ、攻撃側にスペースが多くある状態で、児童がどのように判断すれば得点できるかを考えさせた。
 手だて2 円盤型ボールの使用(通称 パック)
 体育館の床を滑るように移動し、バウンドせず、触れるとすぐに止まるパックを使い、ボールの保持を容易にした。
 実践を通して、授業前のアンケートでサッカーが苦手と答えた児童を対象児とし、単元が進むにつれて気付きや動きがどのように変化したか、検証を行った。単元の第1時では、味方がボールを保持していても、止まっているだけだったが、単元の後半では、味方からボールをもらうために、ゴール方向に向かって動き出しをする姿が確認できた。
 局面を限定し、簡易化されたゲームを行うことは、児童に思考を促すことができることが分かった。サッカーにおいては、簡易化されたゲームとボールを扱いやすいものに修正することが、児童の思考力を高めることに有効であることが分かった。

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「教育実践」
ゴール型ゲームにおけるパスコースの変容を促す授業
新潟市立小針小学校
真柄 貴幸

  今までの私の授業は、ゲーム(ゴール型ゲーム)を行う際、全体の学習課題を設定し、作戦・ゲームを通して全体でまとめて解決に導いてきた。しかし、パスコースを変容させ、自陣からパスをつないでシュートに結び付ける攻撃をさせることができなかった。
 そこで本研究では、第4学年のポートボール単元において、全体で学習課題を設定した後、各チームの実態に合った課題を見付けさせ、それぞれが解決に導いていくいくことで、パスコースの変容を促し、自陣からパスをつないでシュートに結び付ける攻撃ができるよう、単元を構成し授業展開を工夫した。
1 広い学習課題を帯状に設定した単元構成
 本単元では、帯状に設定した課題1「シュートを決めるために、ノーマークの場所にどう動けばよいか」によって、ゴールに近い場所に動くこと、課題2「どのようにボールを運べばよいか」によって、縦のパスと横のパスを使い分け、ディフェンスが来る前にパスを出す動きを習得させることを核とした。この2つの広い学習課題から各チームの実態に応じた攻め方へと落とし、チームそれぞれが改善策を見つけられるような単元を計画し進めた。みんなに共通の学習課題・まとめを受けて、各チームの実態に合った攻め方を考えさせ、修正・改善を繰り返させることで、思考を深めていく授業を目指した。自チームの実態を踏まえた攻め方を考え、改善しさらに動きを焦点化し高めるために練習と試しのゲームを繰り返すことで、技能の高まりを目指した。
2 MTMの手法を用いた授業展開
 「マッチ→トレーニング→マッチ」を繰り返す授業展開をシステム化する。ゲーム①から見出したチームの攻め方についての改善方法を思考し、修正する動きを繰り返させた。ゲーム①後に学習課題に対してのまとめをすることで、本時で改善すべきチームの攻め方を焦点化し明確にさせる。この際のT(トレーニング)時では攻め方の修正をさせ、自チームの実態に応じた改善策を思考させる。MTMの手法を用いることで、前時での学びを生かした攻め方でゲームを展開させ、ゲームでの気付きを生かして次のゲームを展開させる。それにより、前時の学び(攻め方の確認)から本時の攻め方へ、ゲーム①の攻め方からゲーム②の攻め方へ、ゲーム②の攻め方からゲーム③の攻め方へ、本時の学び(攻め方の確認)から次時の攻め方へと、既習を生かした学びの連鎖を起こさせ、「できて・分かる」姿を目指した。
3 成果と課題
 本研究では、ポートボールにおいて、学習課題を帯状にした単元構成とMTMの手法を用いて授業を展開したことで、パスコースの変容が促され、ディフェンスに奪われないようにゲームを展開し、自陣からパスをつないでシュートに結び付ける攻撃ができるようになった。今後、他の単元でも実践を積み重ね、各チームの実態に応じた課題の解決を促す授業を目指していく。

<参考文献>
「体育の教材を創る」2012 岩田 靖 大修館書店
「ボール運動の教材を創る」2012 岩田 靖 大修館書店
「サッカー指導教本」2012 日本サッカー協会

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「教育実践」
主体的・協働的に技能を高めるマット運動
~シンクロマットとジグソー法を関連させながら~
新潟市立白山小学校
宮本 俊

  私のこれまでのマット運動の実践では、楽しさに気付き進んで取り組む主体性と仲間と対話し協力して課題解決する協働性を両立させることが難しかった。
 そこで、集団の一体感を味わう楽しさに触れられるシンクロマットと、局面別に教え合い重点的な練習ができるジグソー法を単元計画に組み込んだ。単元序盤では、易しい技を中心にしたシンクロマットの時間を多めに取ることで、楽しさに触れたり、教え合ったりする土台を築く。単元中盤では、側方倒立回転を4局面に分け、局面別の運動ポイントや練習方法に習熟させた後、班に戻って教え合うジグソー法を中心に据えて、技能向上を目指す。単元終盤では、高めた技能をもとにシンクロマットの演技を工夫し、発表する。
 単元を通じて、この二つを関連付けて取り組むことで、両者の良さがそれぞれの課題となる部分を補完し、主体的・協働的に技能を高めることができることが分かった。
1 手だての有効性の検証
(1)主体性・協働性の観点から
 児童の主体性・協働性の高まりを形成的授業評価における「意欲」「協力」で自己評価させた。毎時間の5段階評価の内容を分析すると、単元内において、次のことが分かった。
 ①単元序盤(1~4時間目)は、1・3・4時間目で「意欲」が「協力」を上回っていた。
 これは、易しい技を中心にしたシンクロマットの学習が中心だったためと考えられる。
 ②単元中盤(5~8時間目)は、全ての時間で「協力」が「意欲」を上回っていた。
 ジグソー法を行ったので、局面別に責任をもって教え合って課題解決したためと考えられる。
 ③単元終盤(9・10時間目)は、全ての時間で「意欲」が「協力」を上回っていた。
 シンクロマットの演技構成を工夫させたり、発表会を行ったりしたためと考えられる。
(2)技能の高まりから
 教師の見取りによる技の習得状況の変化とともにカード記述や事後アンケートにおける内容を分析した。これらの結果より次のことが分かった。
 ①ジグソー法を取り入れた側方倒立回転は、習得人数が39%⇒74%へ増えた。
 ②カード記述から、ジグソー法の効果は、「教える視点の焦点化」「(エキスパート活動時の)課題の重点的練習」が確かめられた。
2 成果と課題
 ○シンクロマットとジグソー法を単元計画に関連・位置付けることで、両者のよさがそれぞれの課題を補完することが分かった。それは、次のような関連性でまとめることができた。
  ・シンクロマットで築いた「楽しさや演技工夫による主体性・協働性の土台」は、ただの練習になりがちなジグソー法を有効に働かせた。
  ・「視点が絞られ教え合いやすく、課題を重点的に練習できる」ジグソー法により、苦手な児童も主体的・協働的にマット運動に取り組み、技能を高めることができた。技能の高まりが望めず、できる児童からの一方通行になりがちなシンクロマットの課題を補った。
 ▲クラス全体の技能の習得率は高まったが、もともと技能が高かった児童のさらなる技能向上が少なかった。技の取り上げ方が今後の課題である。

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「教育実践」
自ら進んで踊る児童を育てる表現運動指導
~表現運動における「ジグソー学習」を中心にして~
新潟市立牡丹山小学校
長谷川 順哉

  これまで自分が行ってきた表現運動の授業では、技能の習得を優先した教師主導の授業であったため、児童は表現運動本来の楽しさを味わうことができず、できない児童は恥ずかしさから進んで踊ることができずにいた。
 そこで、本研究では、児童に表現運動の楽しさを感じさせ、自ら進んで踊ることのできる姿を目指した。そのための手だてとして「ジグソー学習」と「四つのくずし」を取り入れ、実践を行った。
1 「ジグソー学習」を取り入れた授業
 ジグソー学習は、主に知識や技能の習得を目的として用いられることが多い。児童たちが自ら進んで踊ることができるようになるには、技能の向上は不可欠であることから、本研究では技能の向上に有効であるとされるジグソー学習を用いることとした。
2 「四つのくずし」の設定
 表現運動の核となる動きとして「四つのくずし」の動きを以下のように設定した。
・空間のくずし:踊る方向や場を変化させ、同じ場所だけでなく、場を広く使って踊る。
・体のくずし:ねじったり、回ったり、跳んだりするなど、体の状態をはっきり変える。
・リズムのくずし:すばやく、ゆっくり、急に止めるなどの動きのリズムを変化させる。
・人間関係のくずし:離れたり、くっついたり、からんだりするなど、いろいろな友達と関わり合いながら踊る。
 それぞれの動きのポイントを示したカードを作成し、各グループに配布した。カードには、それぞれのくずしの動きと、動きからイメージできることを書けるようにし、グループの友達同士で自由に動いたり、動きからイメージできることを考えたりできるようにした。

 授業を実践した結果、ジグソー学習を取り入れたことで、児童同士の関わりが自然と生まれ、友達同士で教え合いながら技能を向上させていくことができた。また、技能が向上したことで、自ら進んで踊ろうとする児童が増えた。今後は、ジグソー学習がもたらす協調性、達成感、自尊心等の効果についても検証していき、ジグソー学習の有効性をより明確にしていくとともに、児童が進んで表現運動以外にも取り組むことのできるような授業づくりを目指していく。

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「教育実践」
既習を活かして運動する児童の育成
~6年「ハードル走」を通して~
新潟市立関屋小学校
鈴木 亨

  これまで、私の体育授業では毎時間新しい技術を教えようとするあまり、前時とのつながりや単元のつながりを意識していないことが多く、児童に既習を意識して考えさせることが少なかった。その結果、前時までの動き方を本時で活用させたり、バスケットボールやハンドボールの動き方をサッカーで意識させたりすることができなかった。
 他の教科と同様に、体育の学習も既習の積み重ねで行われている。それを教師が意識して、児童に本時の課題を解決させるために、児童に既習を意識させてペア活動で活用させる。そのことにより、既習を活かして運動し、技能も高まるのではないかと考えた。
 昨年度の研究で、2年生「ボールゲーム」において児童全体の思考の変化を追ったが、教師の主観による評価になりやすく、また、思考の評価が難しかったりした。そこで本年度の研究では、抽出児童の動きの変化と、そのときの授業の様子やノート記述等から、既習を意識させる教師の働き掛けと、児童の変化の関係を調べた。
 既習を活かす手だては以下の通りである。
①既習を意識させる手だて
・「意識させる既習の動き」を入れた単元計画
・課題設定場面での問いで既習を想起させ、見通しをもたせる
・これまでの既習を掲示して蓄積し、児童がいつでも見られるようにする
②ペア活動
 既習を活かすための学習形態の工夫として、第2時以降にペア活動を設定した。既習を意識することができれば、既習の言葉がペアでのアドバイスに表れるはずである。
 ①と②を組み合わせることで、児童が本時の課題を解決するために既習を意識し、見通しをもって運動する姿を目指した。

 これらの手だてで得られた成果は以下のとおりである。
①個人の変化
・ペア活動で、既習を用いたアドバイスをする姿が見られた。
・練習の際、アドバイスされたことを意識して練習の場を工夫する姿が見られた。
・アドバイスを意識して、技能を向上させる姿が見られた。
②全体の変化
・第1時と第5時の50mハードル走のタイムでは、平均で0.8秒以上も速くなった。
 以上より、これらの手だてが、児童が既習を活かして運動し、タイムを向上させることにつながると考えられる。既習を活かすためには、教師が動きの系統性を知っていることが重要である。

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「教育実践」
動きの自覚を促しながら動きを高める授業づくり(2年次:共同研究)
~「鉄棒運動」後方支持回転の実践を通して~
新潟市立大形小学校
三上 賢二

  1年次「前方支持回転」の実践では、タブレットPCを活用し思考を焦点化させることにより動きの自覚が図られた。また、回転ボードを操作せることで、思考を焦点化させることが可能になり、動きの自覚が図られ、動きの修正の見通しをもつことにつながった。その結果、子どもの動きが高まった姿が多く見られ、手だての有効性が明らかになった。しかし、思考を焦点化させることが、子どもたちにどのような思考を促したか、思考の傾向を明らかにするまでには至らなかった。それを受け、それぞれの手だてによりどのような動きの自覚が促され、動きの高まりにつながったかを明らかにしたいと考え、2年次は2校の実践を比較した。
1 手だての有効性の検証                                             
<手だて>                                                       
①タブレットPCの活用
タブレットPCをグループに1台ずつ使用させた。お互いの動きの動画を横から撮影し合わせた。撮影後、動画を見ることにより自分の動きを客観視させ、動きの自覚を促した。                
②回転ボードの活用
回転ボードをグループに一つずつ使用させた。動画を見て明らかになった個人の課題を、回転ボードを操作しながらどのように動きを修正すればいいのか考えさせた。※回転ボードとは円を8等分に分けたものに、人間の形をしたものが間接で動くようにしたボード                       <有効性>                                                      
①診断的・総括的授業評価の事前・事後の比較                                
 本研究の柱である「学び方(思考・判断)」関わる二つの項目を比較すると「工夫」「めあて」ともに数値が向上した。                                                      ②動きの高まり(教師の作成した指標によって教師が評価したものによる)
 技の達成率は11.8%→47.1%に向上 動きの高まりが見られた児童94.1%                                      ③抽出児の様子                                                    
 鉄棒運動に苦手意識をもっていた児童。3時間目からタブレットや回転ボードを活用した学習が始まり、動きが確実に高まっていった。タブレットで自分の動きを確認する場面では、自分の課題を的確に捉えることができた。また、回転ボードを使う場面では「技の完成形」をイメージしながら動きの修正について思考していた。技を試す場面では、思考したことを意識しながら練習を重ね、単元の最後には、ひざを伸ばした後方支持回転をすることができた。
3 成果と課題                                               
 後方支持回転において、タブレットPCを活用し自分の動きを客観視させることにより、体の部位に着目した課題把握ができた。課題把握が行われた上で、回転ボードを活用させることで、目指す姿を具体的にもち動きを修正し、動きを高めることができたと考える。共通の課題が達成できていた児童に対して、その子に合った課題をもたせられるような手だてが必要であった。また、二つの実践を比較したことにより、タブレットPCは「自分の動きを客観視でき、体の部位を細かく具体的に意識させながら思考させることができる。」、回転ボードは「目指す動きをイメージさせ、体の使い方を意識させながら思考させることができる。」という思考の傾向が見えてきた。                                                       <参考文献>
1)鈴木聡 岡田和雄(1994)新・絵で見る鉄棒運動指導のポイント 日本標準
2)金子明友 吉田茂 三木四郎(1996)教師のための運動学 運動指導の実践理論 大修館書店
3)木下光正 (2013)できたー!を共有 指導のポイントがわかる器械運動の授業 明治図書
4)藤﨑敬 後藤一彦 中川一(2002)小学校体育楽しい学習カード5・6年 体つくり運動・器械運動・水泳 東洋館出版社

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「教育実践」
「主体的・対話的で深い学び」を目指す図画工作科の授業
~児童相互の対話を重視した授業で見方や感じ方を深める~
三条市立嵐南小学校
横山 拓貴

  新学習指導要領における図画工作科の課題として、感性や想像力等を働かせて、思考・判断し、表現したり鑑賞したりするなどの資質・能力を相互に関連させながら育成することが求められている。子どもが自分の思いで表現をする際、学級の人間関係、教師の感覚やスキルも表現に大きく関わる要件となる。実際、指導方法は様々にあり、教師の指導で子どもの表現が偏る場合も少なくない。一人一人の思いを大切にしつつも、教師の意図が先に立ち、見栄えのする絵を求めて指導することもある。図画工作科も、他の教科と同様に学校全体で授業改善に取り組み、豊かに表現したり鑑賞したりする力や、他者と豊かに関わる態度を育むことが喫緊の課題である。
 そこで、表現及び鑑賞の実際の授業実践において、児童相互の対話による言語活動を充実させ、児童が様々な対象と関わることを通して、新しい見方を手に入れ、考えを深めたり広げたりできるか、以下の実践で表現と鑑賞を関連させる手だてを講じ、その成果を検証した。
(1)「見えないものを見てみよう」鑑賞5年生H27(美術作品をファシリテーションの手法で鑑賞する)
(2)「名前でアート」平面6年生H28(少人数グループで児童作品を対話しながら鑑賞する)
(3)「一瞬の形から」立体6年生H28(思考ツール「同心円チャート」で表現と鑑賞を関連させる)
(4)「お気に入りの風景」平面6年生H28(表現における言語活動)
(5)「名画の世界を取り入れよう」版画6年生H28(アートカードで鑑賞と表現をつなぐ)
(6)「大すきなものがたり」平面3年生H29(鑑賞タイムで鑑賞と表現をつなぐ)
(7)「すてきなひまわり」平面3年生H29(中学年児童による対話での鑑賞会)
(8)「自然物アートにチャレンジ」造形遊び3年生H29(小中一貫の異年齢交流で対話を生む)
(9)「いろいろうつして」版画3年生H29(鑑賞による友達の影響を考える)
(10)「まぼろしの花」平面4年生H30(2段階の表現で対話による鑑賞を生む)
(11)「大すきな物語」平面4年生H30(表現における言語活動)
 これらの実践を通して、対話によって他者の目線に立って鑑賞したり、自己の表現の幅を広げたりする姿が見られた。児童は、自分の作品を見つめ直したり、他の児童やその作品と関わったりすることで、見方や感じ方を広げたと言える。また、その広がりを児童自身が自覚することもできた。
 本研究では、まずは児童相互の対話によって、どの学級においても見方や感じ方を広げられる可能性を見出した。そして、その児童の思いをつかむことで、児童の思いに寄り添った助言をすることができるようになる。対話的な学習で認められる喜びやつくりだす喜びを味わい、主体的に取り組む態度を育み、教師との対話によってさらに深い学びへと向かうのである。今後は、さらに地域の人々との対話を仕組むなど、授業自体の広がりの可能性を探っていきたい。

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「教育実践」
郷土の音楽に憧れをもち、思いをもって子ども盆踊りをつくり、伝える児童の育成
~松浜盆踊りの音楽的な特徴や仕組みを生かした音楽づくりの指導~
新潟市立松浜小学校
米山 陽子

  音楽科の学習の中で、子どもたちになじみが薄い傾向にあるのが「郷土の音楽」分野である。そこで、子どもたちになじみのある松浜盆踊りを題材とすることにより、郷土の音楽に憧れをもち、思いをもって子ども盆踊りをつくり、伝えるようになるのではないかと考え、その効果を検証するために三つの手だてを講じ実践を行った。
1 郷土の音楽に憧れをもつための働き掛け
 題材の最初に、盆踊り保存会の方を招いて、踊りと太鼓を体験する活動を行った。盆踊り保存会の演奏を生で聴き、太鼓打ちを体験したことで、郷土の音楽をもっと知りたい、やってみたいという憧れが生まれた。さらに「松浜のよさを子ども盆踊りにして保存会の方に伝えよう」という題材を貫く学習課題ができた。
2 思いをもって子ども盆踊りをつくるための働き掛け
 子ども盆踊りをつくるために、既存の盆踊りを教材化した。松浜のよさを出し合い、子どもたちの手で歌詞をつくったことで、郷土のよさを再発見し、子ども盆踊りで保存会の方に伝えたいという気持ちが高まった。また子ども盆踊りを一つにするために、何度もCDを聴き直し、曲全体のイメージを共有した。太鼓の拍に合わせる活動を通して「歌は拍に合わせて伸ばす音を気に付けて歌おう」「笛は祭りの雰囲気を出してお客さんが寄ってくるように吹こう」と工夫をすることができた。「集う人を楽しくさせるための盆踊りをつくりたい」という願いをもち、クラス全体で音楽づくりをすることを通し、パートの学びを深める姿が見られた。            
3 伝える場の設定
 中間発表会で、学年の子どもたちに子ども盆踊りを楽しんでもらい、満足感を得ることができた。アンケート記述より改善点にも気付くことができた。さらに盆踊り保存会の方に子ども盆踊りを聴いてもらう活動を通して、自分たちの盆踊りを喜んでもらえたことで、達成感を感じることができた。
4 成果と課題
郷土に伝わる盆踊りを題材とし、生の演奏に触れ、人から学ぶ活動を行ったことで、その歌が生まれた背景や伝承する人の思いを感じ取ることができた。また松浜盆踊りを正確に再現するのではなく、盆踊りを形作っている要素を選択し、子ども盆踊りとして再構成することで、歌詞をつくる面白さや笛の旋律が醸し出すよさに気付くことができた。さらにクラス全体で協同して音楽づくりをする楽しさを味わうことができた。今後も郷土の音楽を題材にして、自分の学んだことがどう社会の中の音や音楽とつながっているのかに気付かせながら実践を積み重ねていきたい。

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「教育実践」
即興的に身の周りのものを説明する力を向上させる授業
~知識・技能の不足を補完するインプットを通して~
新潟市立東新潟中学校
水島 太一

 1 主題設定について
 学習指導要領改訂により、「話す」技能が「やりとり」と「発表」に分かれる。「発表」では、準備した原稿を暗記して話すのではなく、即興で身近なことについて話すことが求められている。また、生徒に実施したアンケートの中で、生徒が最も高めたいと思っている力が「即興的に説明する力」であった。以上のことを踏まえて、本研究主題を設定した。
2 手だてと研究仮説
 本研究では、身の周りのものを即興で説明する表現力と、「もっと多く表現したい。知りたい。」という意欲の、両面の向上をねらっている。講じた手だてと研究仮説は以下のとおりである。
①その場で指定されたものを相手にクイズ形式で説明する活動(Guessing Game)を、各授業の帯活動として行う。4回のGuessing Gameの後に、得てきた表現を駆使して、指定された県について即興的に紹介する帯活動(Mini Speech)を設定する。ここまでを1サイクルとし、これを4月から7月までに3サイクル行う。
②各活動をアウトプット(表現)から行わせ、うまく言えないモヤモヤ感や疑問を生じさせた上で、様々な形で必要とされる表現のインプット(表現の導入)を行う。
【研究仮説】
 「指定されたものを即興で説明する活動と、そこで不足していた表現の提示を継続的に行うことで、英語表現に対する知的好奇心と表現力が高まり、即興的に身の周りのものを紹介する力が向上するであろう。」
3 仮説・手だての有効性の検証
 4月最初と7月最終日に、「新潟県の名所名産のパンフレットを見ながら、新潟がどんな場所かを海外からの観光客に紹介しよう。」というMini Speechと同様の評価用のタスクを与えた。その様子をタブレットに保存し、4月~7月までの手だての有効性と、即興的な表現力の向上を見取った。7月時には英語の使用量(総英文数)が平均で4月の10.4文から13.24文に上昇した。3秒以上のpause(間の長さ)に関しても4月の12.4秒から8.3秒に減り、良好な結果であった。また、生徒の活動の様子、事後アンケート、振り返りシートから生徒の意欲的な様子や向上心、知的好奇心を見とることができた。
 7月の評価タスクにおける発話スクリプトの分析より、30人中29人の生徒がこれまでインプットした表現をアウトプットしていた。以上のことより、手だての有効性と仮説を検証することができた。
4 成果と課題
 英語の使用量・間の長さ・インプットしたものがアウトプットできているか、の3観点で個々の生徒を数値化・記号化すると、97%の生徒がA、B評価であり、表現力の向上が見られた。反面、即興的な部分に焦点を当てていたため、英文の正確性を欠く表現が多く見られた。

<参考文献>「新学習指導要領の展開・外国語編」 /金子朝子・松浦伸和、明治図書

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「教育実践」
まとまりのある英文を主体的に読む生徒の育成
新潟市立亀田西中学校
間 美和

  新学習指導要領では、「コミュニケーションの目的を理解し、目的を実現するために、簡単な情報や考えなどを能動的に読み取ることができる資質・能力」の育成を目指している。
 生徒の実態から、「長文を読むことに意欲がもてない」という点と、「読み取り方が分からない」という点に着目し、まとまりのある英文を主体的に読む生徒を育てるため、三つの手だてを講じた。

(1) ジャンル準拠指導をフレームワークとする。
読み取る際にヒントとなる英文の構造・言語を、①教科書本文で理解し(学習タスク)、②本文と形式的・内容的に似た文章の読み取り(練習タスク)で理解を深め、③テスト(評価タスク)でその定着を見取る、という指導過程を踏む。
(2) コミュニケーションを目的とするプロジェクト型の単元構成とする。
単元のゴールにコミュニケーションを図る表現活動を設定する。単元の最初に目的を生徒に明示することで、読む活動に生徒が目的意識をもって取り組むことができるようにする。
(3)「読みを助けるスキル」を取り入れる。
まとまりのある英文を読む手順・手だてを「読みを助けるスキル」としてあらかじめ提示し、生徒に読み方を意識させる。さらに「振り返り」でそのスキルの活用について生徒に振り返らせることで、生徒がスキルの活用を自分で意識して行えるようにする。

 以上の手だてを用いた結果、まとまりのある英文を読むことに生徒の意欲の向上が見られた。成功経験を積み、英語を読むことに自信をもち、意欲的に英語を読むことに取り組むようになった。
 同時に、生徒が英文を読み取る方法を身に付けることができた。一文ずつ訳す訳読式でなく、文章全体→段落→文と、構成をおさえた上で読み進めることができるようになり、概要把握の力が伸びたのは大きな成果である。

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「教育実践」
初めて出合う英単語を進んで読もうとする子どもの育成
~シンセティック・フォニックスの指導を取り入れて~
新潟市立上所小学校
渡部 香世子

  新学習指導要領では、小学校でも、新たに「読むこと」「書くこと」の2技能が加わった。外国語活動で英語でのやりとりに慣れ親しんだ英単語でも、文字として初めて見たときに児童が読むことは難しく、書くことも難しい。「読むこと」「書くこと」に対する不安を無くし、英語の学習への意欲を持続させ、中学校につなげるのが小学校の役目である。
 そこで、私は文字の音一つ一つに着目して学ぶ「シンセティック・フォニックス」の指導をしたいと考えた。その中でも、お話や文字の動作化などを取り入れ、視覚だけに頼らない、多感覚を用いたジョリーフォニックスが小学生に適しているのではないかと考えた。その1回の指導時間は15分間。当校の時程表に週3回設定されている「モジュールタイム」で実践することにした。
1 研究の実際 (研究1年次)
 外部指導者と連携した英語指導力向上事業を当校が受けた経緯から、文科省から出される年間指導計画例(暫定版)を参考に単元計画を作成した。モジュールタイムを活用し、担任する4年生児童に対して、アルファベットの小文字の学習を終えてから3回、ジョリーフォニックスの指導を行った。
 児童は、絵本の読み聞かせやアクション、いずれの活動にも反応が良かった。アルファベットには名前と違う音があることに驚く姿が見られた。文字に対するお話と動作化により、文字の音が強く印象に残ることが分かった。
2 研究の実際 (研究2年次)
 文科省より年間指導計画が出され、指導内容が明確になった。新教材We can!の音と文字の教材が単元学習の内容と関連性が薄いと感じたため、45分の流れと切り離して、音と文字の指導をジョリーフォニックスの教材を使って集中して行い、新教材の音と文字の内容に差し替えることとした。担任する6年生の自学級で実践した。多感覚を用いた学習で、子どもたちは音の読み方をよく記憶し、未習の文字も、音の読み方を組み合わせて読もうとしたり、音から文字を推測できるようになってきた。また、一文字ずつ読める文字が増えるごとに、組み合わせて読める英単語が増え、子どもたちの学習意欲の向上にもつながっている。
3 成果と課題
 10個の文字を学習した後で、未習の英単語を見せて読めるか調査した。学習した文字の音を思い出しながら、調査した全員が英単語を読もうと試み、60~70%の児童が読むことができた。ジョリーフォニックスの指導を続けていくことで、子どもたちは未習の英単語の読みが推測できるようになることが分かってきた。
 課題は、「書く」場面でローマ字指導の影響が表れたことである。また、3年生のローマ字指導との関連も考え、校内全体で文字指導の系統性について考慮する必要を感じた。今後も実践を重ね、「読むこと」「書くこと」への不安を無くし、英語の学習に意欲をもち続ける児童の育成について研究を続けていきたい。

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「教育実践」
自信をもってコミュニケーションを図る児童の育成
~リアクションワードの活用と指導過程の工夫を通して~
新発田市立東豊小学校
安倍 友司

  考えや気持ちを伝え合う際に、話し手は自分の気持ちや考えがきちんと伝わっているか、聞き手は自分がしっかり話し手の内容を理解していることが伝わるか、不安な心情が生まれる。その互いの心情の不安を解決する方法がリアクションであると考えた。そこで本研究では、「話すこと(やりとり)」の中で、リアクションを取り入れ、その良さを感じさせる指導を行うことで、話し手も聞き手も安心してやりとりに取り組むことができ、自信をもってコミュニケーションを図る力を獲得することができると考えた。そこで、以下の二つの手だてを考え実践を行った。
(1) リアクションワードを活用する活動を、単元を通してゲーム活動やコミュニケーション活動の中に取り入れていく
(2) 指導過程の工夫(リアクションの良さを感じられる過程)をする

成果と課題
 リアクションは様々な活動に取り入れやすいことが分かった。ゲーム活動では教師が積極的に使い、児童に手本を見せたり使わせたりすることができる。また、コミュニケーション活動では相手に自分の思いを表すツールとして使うことができる。よって、リアクションは便利なツールとして児童に獲得させることが良い能力の一つと考えられる。また、①段階的にリアクションワードを取り入れる②コミュニケーション活動に向けた練習と実践を行うという過程は、リアクションの良さを感じさせることに有効であることが分かった。
 課題として、言語材料とうまく融合した学習内容を考えていかなければならない。また、リアクションの良さを感じさせるためには一単元だけで定着はしないため、継続的な指導が必要である。

〈参考文献〉
・田中千絵(2014)「小学校外国語活動・英語と教科としての中学校英語の在り方」
・秋田喜代美(2014)「対話が生まれる教室 居場所感と夢中を保証する授業」(教育開発研究所)
・直山木綿子(2014)「小学校外国語活動・英語のツボ」(教育出版株式会社)
・文部科学省(2008)「小学校学習指導要領解説 外国語活動・英語編」(東洋館出版)
・文部科学省(2017)「小学校学習指導要領解説 外国語活動・英語・外国語編」

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「教育実践」
自分事として地域の課題を捉え、相手意識・目的意識を明確にして課題解決を図る児童の育成
新潟市立関屋小学校
滝澤 隆幸

  本研究は、観察及び体験活動から児童が自分事として地域の課題を捉え、その課題に関わって相手意識・目的意識を明確にして解決を図ることができるように、総合的な学習の時間の授業改善をすることを目指した研究である。授業改善の手だてとして、以下の二つの手だてを講じた。
(1) 探究の過程を「サイクロンスパイラル」で構成し、解決すべき課題を設定させることで、地域の事象について自分事として捉えさせる。
(2) 「課題の設定」及び「整理・分析」の場面で、KJ法的手法を用いて、得た情報や各思考した解決方法について、児童・保護者・地域それぞれの立場からの考えを、比較、分類、関連付けを行って解決方法を話し合う。そうすることで、相手意識・目的意識を明確にして課題を解決させる。
 これらの手だてを講ずることで、児童が自分事として地域の課題を捉えたり、児童・保護者・地域・学校それぞれの立場にとっての最適解を検討・合意形成をして課題解決を図ったりする姿が確認できた。
 一方、地域の方や保護者からの協力を得るときに、探究の過程のどの場面で行えば学習活動により効果的であるかということが、課題として見えてきた。

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「教育実践」
多面的に「自分自身の成長」に気付かせる指導の工夫
~自分の取組を整理し、友達との自分のよさを認め合う「振り返り活動」を各単元で取り入れた実践~
佐渡市立前浜小学校
後藤 洋子

  これまでの実践を振り返ってみると、自分自身の成長の気付きについては、最後の単元を中心に取り組んできた。そのため、できるようになったかのように一面的な成長の気付きが多かった。さらに、自分自身の成長を目に見える表面的なものと、目に見えない内面的なものの両面から具体的に実感させるためには、年間を通して継続的に自分のよさについて気付き、自己肯定感を蓄積していくことが必要であると考えた。
 そこで私は、試行錯誤しながら課題を達成できた自分に気付かせたり、その頑張りを友達から認められて自信につなげたりするため、「自分の取組を整理(手だて1)」したり、「友達と交流する「振り返り活動」(手だて2)」を各単元で設定したりした。この自分のよさに気付き、自覚させる取組の蓄積が、最後の単元では多面的に成長した自分自身に気付くことにつながると考えた。
1 手だての有効性の検証(研究一年次)
 手だて1では、以前の自分と今の自分の姿が分かるように教師がワークシートに写真を添付した。その結果、子どもたちは全員がマイワークシート(自分の取組を整理するワークシート)に自分の頑張りを書くことができた。しかし「できなかったことができた」の記述が多く、取り組んだ過程が見えなかった。また、活動初期の写真を添付したため、本人の頑張りとずれが生じたものも見られた。写真を添付したことで自分の思いや願いが有効に働かない場合があることが分かった。
 手だて2では、友達の頑張りを3種類のシールを使って「努力して頑張った自分」「協力したことでできるようになった自分」「以前できなかったことができるようになった自分」を選んだ。選ぶ際、「努力して頑張った自分」や「以前できなかったことができるようになった自分」については友達同士で見つけることができた。しかし「4月の頃は」「2学期になって」という言葉のみに注目して「自分のよさ」を見付ける様子が見られた。
2 手だての有効性の検証(研究二年次) 
 手だて1では、各単元で書いたマイワークシートを見返しながら1年間の活動を想起し、自分の頑張り、変化をマイワークシートにまとめた。その際、根拠も分かるように書くことを声掛けした。挿絵は、自分でかかせた。自分が変わったところ等、友達からアドバイスをもらいながらまとめていた。子どもたちは全員がマイワークシートに自分の頑張りの根拠も書くことができた。
 手だて2では、振り返り活動で自分ができるようになったことを発表した子どもも見られた。また、2年間一緒に成長してきた仲間だから伝えられる言葉も多く見られ、他者から認められることが、自分に自信をもたせ、更に頑張ろうと意欲がわくことも分かった。3種類のシールから選ぶ際、文章を何度も読み友達と吟味して貼られた分類シールの方が価値があると実感する子どもも見られた。継続してきたからこそ分かる2年間の成長の過程であった。
3 成果と課題
 これらのことから、手だて1、2を継続して取り組んだことで、目に見える表面的なものだけでなく、目に見えない内面的な自分のよさを含めて、多面的に自分のよさをまとめられることが明らかになった。各単元で自分の取組を整理し、友達との「自分のよさ」を認め合う「振り返り活動」を行えば、「自分のよさ」の自覚を蓄積させて自己肯定感を高め、自分自身の成長に気付くことができる。
 今後、自分自身の成長には「身近な人々の支えがあったこと」を実感させるにはどのようにするか等を明らかにしていく。

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「教育実践」
科学的思考力を高める工夫
~結論シートを用いた分析・解釈能力の向上~
小千谷市立小千谷中学校
菅家 佑介

  新学習指導要領理科の目標(2)には、「観察、実験などを行い、科学的に探究する力を養う」とある。そのためには、「思考力、判断力、表現力」を育成することが重要である。
 当校の実態として、実験観察から結果を導いた後、その結果から考察して結論を導くことが苦手な生徒が多い。その理由として、①課題に対して見通しをもって観察、実験を行っていない②得られた結果に対し自信がもてない③分析・解釈する力(思考力、判断力、表現力等)が十分身についていないことなどが挙げられる。実験や観察を行ってその現象面のみを捉えただけでは、真に理解したことにはならい。
 本実践では、実践1として、実験を行う前に、何を調べるのかを明確化し、仮説・検証計画を導きやすくするために「4QS(フォークス)」(※1)という指導法を用いた。そして、生徒が課題解決のために考えた条件と予想される結果との因果関係を見通せるようにした。
 また、実践2として、実験結果から結論を導く力を向上させるために、実験結果を可視化し、ピラミッドストラクチャー(※2)の手法を取り入れた結論シートを活用し、結果から結論を導き出ように工夫した。結論シートを使うことで実験データの解釈の仕方や結論の導き方を知ることができ、新たな解釈や実験の検証についても、情報を共有できた。また、結果の妥当性を吟味することで、実験から得られた実験データの信頼度に対する不安をなくすことができた。

※1:「The Four(4つ)Question(問題)Strategy(戦略・戦術)」の略称でCothron、j.hらが2000年に提唱した「子どもの疑問を科学的に検証可能な問題に高めるための指導方略」のことであり、日本では、上越教育大学 小林辰至教授が研究を進めている。
※2:自身が伝えたい主張とその根拠となる事実を図式化したもの。ピラミッドを床に横に分割したような形となるため、ピラミッド構造とも呼ばれている。

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「教育実践」
「理科の見方・考え方」を働かせた授業の工夫
~協調学習を通した科学的思考力・表現力の育成~
南魚沼市立塩沢中学校
山田 幸平

  私はこれまでの理科の授業では、授業に無気力な生徒や理科があまり得意ではない生徒がきちんと授業に参加することを目的として、映像資料やパワーポイント等のICTを活用したり、考察などを班で協力して考える時間を多く設けたりしてきた。しかし、班活動を行ったとしても、自分の意見をもっている生徒に任せ、それ以上話し合いがなく、考えや意見が深まらない場面が見られたり、教師が答えを言うまで待っていて、考えるのを放棄してしまったりする場面がある。 
 その理由として、科学的思考力・表現力が育成できていないからだと考えた。そこで本研究では、問題解決的な課題のもと、一人一人の分かり方、考え方の多様性を生かす協調学習に着目した。そのための手法としてジグソー活動を活用し、「理科の見方・考え方」を働かせることで、「得られた結果を分析して解釈するなど、科学的な根拠を基に表現する力」である科学的思考力・表現力が育成できると考え、以下のように研究を進めた。
1 班で協力し合う必要がある課題の設定
  一人の生徒で解決する課題ではなく、班で協力する必要性がある課題を設定して、全ての生徒が話し合いながら考えるようにする。
2 ジグソー活動を組織する(多角的な追求)
  協調学習の方法としてCoREFが提案している「知識構成型ジグソー法」を活用する。班ごとに課題を解くための鍵となる資料を学習する。そのときに実際に実験を行ったり、班内で話し合ったりしながら、理解を深める。ジグソー活動の特性を生かし、多角的な追求となるように支援した。またホワイトボード等を利用し、思考の過程が見えるように発表の仕方を工夫させた。学習は、以下のような流れを基本とした。
(ア)提示した課題に対する解答を、個人で考える。(イ)資料ごとに、グループに分かれて理解を深める。(エキスパート活動)(ウ)理科の活動班に戻り、話合い活動を行う。(ジグソー活動)(エ)班で話し合った結果を発表する。(クロストーク)(オ)個人で課題に対する解答をまとめる。
上記の方法で研究を行い、実践前後の生徒のアンケート結果、ワークシートの記述内容の変容、班活動時のまとめの内容を検証した。その結果、以下のことが明らかになった。
(1) 授業実践から
① 自分の意見をもっている生徒は、最初より深く納得するために、無気力な生徒は自分の役割を全うするために、積極的に考え、授業に取り組む場面が多くなった。
② 各領域で必要となる「理科の見方」や集まった資料を比較したり自分の資料と班の他の人の資料を関連付けたりすることができた。また、「理科の考え方」を働かせて、課題を説明し、まとめることができた。更に、決まった道筋で話し合うことで思考することができたため、普段は友達の考えをノートに写していた生徒も自らの言葉で課題をまとめることができるようになった。そのため得られた結果を分析して解釈するなど、「科学的な根拠を基に表現する力」が身に付き、科学的思考力・表現力が向上したと言える。
(2) アンケートから
①生徒アンケートの結果では、全ての項目において肯定的な回答をした割合が上昇した。特に実践前に苦手にしていた「科学的思考力・表現力」に関する項目は大きな上昇が見られた。
(3) 抽出生徒の変容
 始めの段階では自分の考えを文章で表記していた生徒が、実践を重ねていくうちに絵ときちんとした文章で表現することができるようになった。
 以上の(1)、(2)、(3)の成果より、問題解決的な課題のもと、 一人一人の分かり方、考え方の多様性を生かし、課題を多角的に追求することにより、「理科の見方・考え方」を働かせて、科学的思考力・表現力を育成するには、ジグソー活動を活用した協調学習は効果があると考えられる。

 <引用・参考文献> 
 幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の 学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(平成28年12月21日中央教育審議会答申)
 協調学習授業デザインハンドブックー知識構成型ジグソー法の授業づくりー(東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構 CoREF)

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「教育実践」
生徒の目的意識を醸成するための問題提示の工夫と、自己の変容の自覚を促す「振り返り」の充実による深い学びのある授業の実現
新潟市立上山中学校
青木 健

 本校生徒の理科における実態は、定期テストから分析すると知識・理解を問う問題については高い正答率を得ている。一方で、科学的思考力を問うものについては知識・理解を問う問題よりも低い正答率である。これまでの授業では、知識注入型の授業に偏ることなく、問題解決型の授業も展開してきた。しかし、この生徒の実態を受け、さらなる授業改革を行う必要があることを実感した。改めてこれまでの問題解決型の授業を振り返ると、解決した結果に主眼を置いていた。また、ややもすると教師主導の問題解決型の授業となっていた。そこで次の2点の手だてを講じることで深い学びをのある授業を実現し、知識・理解の定着を図り、思考力についても育成していくこととした。

(1) 問題提示を工夫することで生徒の目的意識を醸成する。
 ・ 導入時、事象や現象を提示する前に、生徒の素朴概念や既習事項を問題提示により引き出した。
 ・ 事象・現象の仕組みについて、素朴概念や既習事項と関連付けさせ、多様な仮説を挙げさせた。
 ・ 授業毎、または単元毎冒頭に「問題提示」を行い、授業の見通しをもたせた。

(2) 解決に至る過程を大切にし、振り返りを行うことで思考力を育成する。
 ・ 課題を解決する前と解決後の変容が見えるワークシートのレイアウトにした。
 ・ 学習過程を可視化した。
 ・ 解決に至った過程における「各自の考え方」について、自覚させるための振り返りの言葉を提示した。

成果と課題
(1) 成果
 問題提示と振り返り時の生徒の考えを併記させることで、自己の表現の変化を自覚し思考力の高まりを実感することができた。振り返りの言葉を提示することで、自分の思考の流れを客観的に見ることができた。

(2) 課題
 振り返りの活動で、課題が知識・理解を問う内容であったり、思考の流れを導く支援が不十分であったりした場合は、生徒の変容や思考の深まりが見られない。課題の精選と、生徒が思考の流れを示す事が困難なときの支援の方策を複数用意しておかなければならない。

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「教育実践」
理科における、事物・現象のより深い理解を目指して
~課題の自覚化と考えの視覚化による学び合いを通して~
加茂市立加茂西小学校
茂呂 祐亮

  児童が自ら問題を見付け、主体的に問題解決に向かう姿勢を育て、事物・現象について確かな理解が促されるよう授業を展開することが理科では強く求められている。
 そこで、電流のはたらきの学習において、磁石と電磁石の比較を通して、児童が問題を見いだし、実験の目的が明確化されるような場を設けた。これにより、主体性をもち実験に取り組む姿が見られるとともに、その実験から「電磁石をもっと強くしたい」という新たな問題を見いだすという、学びのスパイラルが生まれた。
 また、電流によって引き起こされる現象をイメージ図で表させ、それを用い交流活動を行う場を設定した。
 これら二つの手だてを繰り返すことで、児童は電流に対するイメージ図を科学的により妥当なものへと変容させ、電流と磁力の関係を捉え、現象を説明することができるようになった。

〈参考文献〉
日本初等理科教育研究会(2016)『小学校理科 アクティブ・ラーニングの授業展開』東洋館出版
井口 尚之 蛯谷 米司 (1991)『 新理科教育用語辞典』初教出版

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「教育実践」
二つの実験から自然の決まりを理解するための活動構成
~6年理科「てこ・水溶液の実践」を通して~
聖籠町立亀代小学校
高野 和明

  理科の学習では、言語活動の充実や、見方・考え方を働かせ、見通しをもった観察・実験の充実が示されている。理科の見方・考え方を働かせるためには、実験の見通しをもつことと、実験結果から考察し、説明することを主眼においた対話的な活動を取り入れることが必要だと考えた。先行研究では、個別よりもグループで実験を行うと、実験方法を長期的に記憶できるという成果も出ている。また、児童は予想と違っても自分たちの実験結果から結論付ける実態が明らかになっている。しかし、この実態では、正しい論理的思考を促すことができない。
 そこで、実験結果について同じ予想をした児童同士を一つのグループにし、実験方法と結果の見通しを話し合わせることとした。グループごとの実験①後、実験の結果と考察を説明させ、課題をより確実に解決できる実験②を再度行わせることとした。このような活動構成により、自然の決まりをより理解することができると考え、実践を行った。
1 てこのしくみとはたらき(単元名は学校図書に準じる)
 まず、大きなてこ実験器を用いて、それぞれ両腕に内側から1~3までの番号を付け、①おもり1個(10g)②おもり2個(20g)③おもりを2か所に1個ずつ(合計20g)という三つの方法が挙がった。同じ予想をした児童同士をグループにして実験①を行わせた。グループごとに再実験させ、作用点1の方が軽いことが分かった。実験用てこの片方の腕の3の位置に20gのおもりを吊るし、つり合わせるには、どこに何gのおもりを吊るせばよいかを考えさせた。3つのグループに分けて実験方法を考えさせ、実験②後にグループごとに結果を考察させた。そこで、「てこの番号(距離)とおもりの重さをかけて両方が同じになる時につり合う」という決まりを確認することができた。最後は、片腕の2の位置に40gのおもりを吊り下げたものとつり合う条件を個別に考えさせ、実験を行わせた。91%の児童が、条件を説明し、実験を行うことができた。
2 水溶液の性質
 水に溶けているものを見えるようにする実験方法を考えさせたところ、水溶液を①蒸発させる②冷やす(再結晶)③濾過するという三つの方法が挙がった。三つのグループに分け、実験方法を考えさせた。実験①後、それぞれのグループの結果を共有した。そして、①蒸発させる実験を全員で再実験し(実験②)、全員が考察に蒸発について記述することができた。単元の後半には、ラベリングされていない4種類の水溶液を実験で確かめる活動を行った。今まで学習したことを見直しながら、蒸発させたり気体検知管を使ったりして、全ての班がどの水溶液かを実験で確かめることができた。最後は、個人で「炭酸水」と「アルミニウムを溶かした塩酸」を見分ける実験方法を説明する活動を行った。77%の児童が正答を記述することができた。
3 成果と課題
 二つの実験を行うことで、多くの児童が決まりを理解し、活用することができた。複数の実験を並行して行うため、時数に余裕ができる。また、その時数を使って再実験を行ったり、説明活動を取り入れたりすることができた。
 しかし、実験効率が悪いことがある。一つのグループの人数が多すぎると、積極的に動かない児童が出る。1グループは4人程度にした方が有効であるかを明らかにすることが課題である。また、同じ結果を予想した児童同士をグループにしたため、結果の見方・考え方が偏ってしまったおそれがある。これをどのように解決するかが課題である。

<参考文献>
「「わかったつもり」に自ら気づく科学的な説明活動」/森田知良.学事出版
「実験グループの人数が理科学習に与える影響」/清水誠 大山亨 中村友之郎
「実験の結論付けにおける児童の実態」/岩切信二郎 中山迅
「5年生「振り子の運動」における仮説設定に影響された思い込み」/植木幸広 久保田義彦

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「教育実践」
多様な気付きを促し問題を見いだす子どもを育む理科指導
~第4学年「空気と水」の実践を通して~
長岡市立阪之上小学校
坂井 一

  新学習指導要領4年理科では、関係付ける考え方を使って根拠のある予想や仮説を発想する力を育てることを目指している。そのため、事象の因果関係を子ども自身で発見できるような手だてを講じ続ければ、児童は根拠のある予想を立て追究し続けるであろうと考えた。そこで本実践では、ペットボトルロケット(以下、PBR)を用いる。空気と水の性質を学習しながら、PBRを遠くに飛ばす方法を探していくことで、空気と水の性質を関係付け、根拠のある予想や仮説を立てることができると考え、本実践を行った。

手だて1 単元を通した追究課題の設定
 PBRをより遠くに飛ばす方法を考えることを、単元を通した追究課題とする。PBRは、「空気のみで飛ぶか」や、「空気と水の最適なバランスはどれくらいか」等、子どもから出た問題を予想して確かめる。その際、学習経験や既習事項を根拠にして結果を予想させる。このことにより、予想と実験結果のつながりを意識したり、空気と水の性質を対比的に捉えたりするよさを感じる姿が期待できる。
手だて2 根拠を自覚するための予想・実験シートの活用
 PBRを飛ばすために、空気と水の性質を学習していく過程で、「何が」「どうなっていたので」「こうなると思う」という形式で予想・実験シートを繰り返し用いる。このことにより、自分の予想やその根拠を自覚し、友達の予想と比較する姿が期待できる。
手だて3 思考を助けるための現象の視覚化
 空気や水を圧した時の様子、水の入ったPBRに空気を入れていく様子、PBRが発射するときの中の様子を視覚化できるように図や視聴覚機器を使用する。その際、子どもが注目したい要素がつかめるように空気や水を粒子で表したり、動きを遅くしたりして示す。このことにより、自然の事物・現象が起きた順番を理解しやすくなり、PBRが飛ぶとき空気と水の関わり方について根拠をもって説明しようとする姿が期待できる。

 実践を通して、これまで生活経験のない「空気や水」を圧した時に起きる事象や、PBRの飛距離と空気や水の分量、性質を、因果関係として整理して捉えることができる児童が増えた。また、PBRを遠くに飛ばすという共通の目的の中で、空気と水の性質を統合的に理解することができた。一方、実験に入る前に、今回は個人で予想を立て、その後グループで交流して実験を行った。根拠のある予想や仮説を立てられていたかをグループ内で、自分たちで判断して実験内容を決めていく過程には課題がある。また、PRBが飛ぶ仕組みについては、4年生で扱う空気と水の性質より発展的な内容も含むので、提示には工夫がいる。

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「教育実践」
対話を通して合理的な実験方法を計画する児童の育成
長岡市立栃尾東小学校
牛膓 真澄

  新学習指導要領では、「プログラミング的思考」を働かせ、論理的に意図した活動を組み立てる力の育成が求められている。論理的に活動を組み立てる力を育むために、小学校6年理科「水溶液の性質」の学習では、水溶液を正確かつ効率的に見分けるための実験計画を立てる活動が行われてきた。これらの活動では、フローチャートを使用させ、グループで考えた実験の手順を可視化することで、よりよい計画の検討を促す指導が行われてきた。
 どの児童も話し合いに参加し、正確で効率的に水溶液を見分ける実験手順が考えらえるように、本研究ではフローチャートに改善を加え、3点の手だてを導入した。「フローチャートを継続的に活用する単元構成」、「フローチャートの修正のしやすさを高める工夫」、「実験にかかる時間を可視化する工夫」である。
手だて1 フローチャートを継続的に活用する単元構成
 実験結果を表現するときや、予想を考えるときなど、学習の様々な場面にフローチャートの活用を位置付けた。使用場面を増やすことでフローチャートの活用能力を高め、児童が自由に考えを表現する姿を目指した。
手だて2 フローチャートの修正のしやすさを高める工夫
 これまでの指導に用いられてきたフローチャートは、紙やホワイトボードに書き表す形態であったために、書き手が特定の児童に限定される様子が見られた。そこで、実験手順を「付箋」に書いて、貼ったり剥がしたりする操作を行えるようにした。付箋による手順の移動を可能にすることで、順序の組み換えに関わって自分の考えを表現することを容易にし、グループでよりよい実験計画について話し合う姿を期待した。
手だて3 実験にかかる時間を可視化する工夫
 実験手順を書いた付箋の「縦方向の長さ」で「実験にかかる時間」を表現した。溶液の温度上昇に時間がかかる「蒸発実験」は長い付箋、すぐに溶液の様子が捉えられる「においの観察」は短い付箋など、手順に応じて付箋の縦方向の長さを変えることで、実験の効率を視覚的に捉えられるようにした。長い付箋に書かれた実験の頻度を少なくし、効率的な計画を立てる姿を期待した。
 本研究で導入した手だて3点は、グループの対話を促し、合理的な実験方法を計画させる上で有効であると立証できた。今後、他の学習での活用場面を検討し、児童の対話的な学びを深めていく。

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「教育実践」
実験計画を立案する力をはぐくむ理科指導
燕市立吉田小学校
橋本 直信

 【研究の概要】
 問題解決場面において、自力で実験計画を立てて進められる児童を育てたいと考えている。そこで、私は大学院で実験計画を立案する力に関する研究を行った。実験計画と一言で言っても様々な要素が含まれていることから、実験計画の立案に必要な力を①仮説を設定する力、②測定方法を決定する力、③条件を制御する力、④実験器具を選定する力、⑤実験装置を図で表す力の五つの力に分けて、研究を進めていった。
 その結果、①仮説を設定する力の育成については、一定の成果が見られたものの、その他の力についてはあまり成果が見られなかった。これは、その他の力については、これまでの経験や知識をどう活用するかが求められる力であるため、1単元だけでは効果が認められなかったことや実験計画を立案させる際、実験全体を可視化して検討する手だてが弱かったことなどが原因として考えられる。
 そこで、現場に戻ってからも引き続き研究を続けることにした。本研究では、実験装置図の描き方を児童に示し、計画の妥当性を検討させることに力を入れて指導に当たった。つまり、実験計画を立案する力の五つ目の力である実験装置を図で表す力に重きを置いて指導に当たり、実験装置図を思考ツールとして活用した。そうすることで、実験が視覚化されるとともに、妥当性を検討する視点が明確になり、②測定方法を決定する力、③条件を制御する力、④実験器具を選定する力が伸びていくのではないかと考えた。実践は、第5学年「ふりこの運動」、「種子の発芽と成長」の2単元で行った。
【成果と課題】
 実験装置図の描き方を児童に示し、計画の妥当性を検討させることにより、②測定方法を決定する力、③条件を制御する力、④実験器具を選定する力をはぐくむことができる可能性が見えてきた。また、実験装置図を描くことやその図を検討することに対して肯定的に捉えている児童が多いことが分かった。しかし、今回の研究は実験群、対照群を作って検証したわけではないこと、「条件を制御する力」や「実験装置を図で表す力」に関して、3割から4割の児童には定着が図られていないことから、引き続き研究を続けていく必要がある。

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「教育実践」
学び合いながら文章題に取り組むことで自力解決する生徒の育成
~「方程式の利用」で説明し合う活動を通して~
長岡市立南中学校
大橋 潤

  文章題を苦手としている生徒は多く、工夫した授業展開と個別に支援していくことの必要性を感じている。そこで、文章題を解く際に、班で説明しあう学び合いの場を設定し、「三つの視点(問題文の理解、既習内容の復習、数量関係の整理)を意識した取組」と「より分かりやすく説明するために図表を活用した取組」を行った。
1 取組の有効性の検証(実践1「一次方程式の利用」)
 4人班で活動し、説明が可視化できるようにFB(ファシリテーションボード)を活用して説明を書き込めるようにした。最初は、分かっている人が分からない人への一方的な説明だった。しかし、三つの視点を確認し、図を使いより分かりやすく説明するように働き掛けた。その結果、授業の中でFBに書かれた線分図を基にして4人の中でAはBへ説明し、Bはそこで教わったことをさらに分かりやすく生徒Cや生徒Dへと説明する姿があり、二つの取組の有効性が実証された。
2 説明し合う活動の充実(実践2「連立方程式の利用」)
 本実践の前に、小学校の学習内容を「既習内容の復習」として扱い、文章題を解くために必要である内容を班でまとめ、それを拠り所とした。さらに、どの文章問題でも対応できる汎用性が高い表で数量の関係を整理することを確認した。そして、二つの取組により知識を基にして表に整理できれば文章題が解けることから、表の作成について説明することが目標となり意欲の向上に繋がっていた。その結果、表を媒介しながら「・・・だから~になる」と生徒が活発に説明し合う姿が見られた。
3 成果と課題
 本実践では、方程式の文章題に「分かりやすく説明する」ことを意識して取り組み、「3つの視点」「説明するための図表」が有効であることが分かった。本実践での学び合いの場は、意見交流、比較・検討が行われ、この過程を経験することが自力での文章題の解決へと繋がった。文章題を解くために他者に「分かりやすく説明する」という経験は、1次方程式から連立方程式、二次方程式を利用することだけでなく、他領域にとっても応用可能なことである。そのため、他領域でも実践し「主体的・対話的で深い学び」を実現していく。

< 参考文献 >「学びの数学と数学の学び」/金子忠雄監修井口浩・小田暢雄・風間寛司・星野将直・宮宏之・神林信之.明治図書
「対話と探求を求める数学科授業の構築」/金子忠雄監修酒井勝吉・長谷川浩司.教育出版
「南研16」長岡市立南中学校

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「教育実践」
論理的に説明する力を伸ばす方程式指導の工夫
~解決の手順をフローチャートにまとめる活動を通して~
県立佐渡中等教育学校
梶原 敦

 1 主題設定の理由
 これまでの授業の中で生徒たちに物事を論理的に説明したり、記述したりする力を付けてやれなかった。このことを反省し、応用や活用の場面のみならず、計算などの場面においても、なぜその方法を使うのか理由を明らかにし、説明したり記述したりできるように授業を展開していきたいと考えている。
 そのためには、様々な問題においてその問題の特徴を的確に捉え、どの解法が適しているのかを判断することが必要であり、そこにフローチャートが有効なのではないかと考えた。生徒同士の対話的な学習の中で、自分自身の手でフローチャートを作成することができれば、計算方法についての理解が深まり、その過程で物事を論理的に説明したり、記述したりする力が伸びると考え、本研究主題を設定した。
2 研究仮説
 方程式の指導において、様々なパターンの問題を解く方法を事象に応じて整理し、解法の手順をフローチャートにまとめることができれば、説明したり記述したりする力が高まるであろう。
3 研究内容と手だて
(1)実践を行った単元
 計算領域においてもフローチャートは有効であると考え、第1学年「式の計算」、第1学年「方程式」、第3学年「2次方程式」において実践を行った。
(2)手だて1 【質問カード】を使った説明練習
(3)手だて2 フローチャートの作成
4 成果と課題
(1)成果
① 手だて1 「質問カード」を使った説明
○聞き手はカードを使いそびれることがないよう、相手の説明をよく聞いて活動していた。
○説明側は、聞き手が出したカードに対して戸惑いを見せつつも根拠を示して論理的に説明しようとする様子が見られ、意欲も高まったと考えられる。
○使う枚数を「○種類以上」とすることで、説明を聞いてそれで終わり、上手だったねとはならず、関わり合いをもたせるツールとして有効である。
② 手だて2 解き方をフローチャートにまとめる
○アルゴリズムを視覚的にフローチャートにまとめることは、理解を深める上で有効である。
○問題を解く上で、なぜこのような処理をしなければならないのかが明確になるので、根拠を明らかにしながら論理的に説明したり記述したりする力が高まると考えられる。
(2)課題
 「質問カード」について、今後はカードがなくても根拠が明らかでなかったり、説明が不十分でなかったりしたときに進んで質問できる生徒になるよう目指していきたい。
 また、フローチャートを作成することが目的ではなく、フローチャートを使って課題解決ができることが目的である。実際にフローチャートを使いながら問題を解かせ、根拠を明らかにしてどのような処理をする必要があるかを説明できるようにしていきたい。

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「教育実践」
統合的な考える力を高めて、基礎的・基本的な内容の定着を図る指導
~乗法公式を利用した展開及び因数分解の学習を通した実践~
三条市立第一中学校
仲村 健一

  今回の学習指導要領の改訂で、中学校数学科の、「数学的な見方・考え方」とは「事象を、数量や図形及びそれらの関係等に着目して捉え、論理的、統合的・発展的に考えること」となっている。今回はこの「統合的な考え方」を授業に取り入れていこうと考えた。
 「統合的な考え方」とは、多くの事柄を個々ばらばらにしておかないで、より広い観点から、それらの本質的な共通性を抽出し、それによって、同じものとしてまとめていこうとする考え方である。
 3学年の式の計算の分野で「統合的な考え方」のアプローチの仕方を工夫することで、公式を構造的に理解させることにより、基礎基本の定着を促し、苦手意識がなくなり、意欲的に課題に取り組むことができると考えた。
1 研究の概要
 統合的な考え方を取り入れる方法として、テストの無答率が高いクラスには、暗記する内容を減らせるように一つの公式を教えそれが変化していく方法で指導した(アプローチa)。もう一方にはそれぞれの公式を教え、最後にまとめる指導の仕方で指導した(アプローチb)。
2 有効性、変容の検証
 確認テストや、基礎学力テスト、定期テストの正答率や無答率、考え方などそれらの変容を見て今後の指導に生かしたいと考え、二つのアプローチの仕方を設定し、実践を行った。
3 成果と課題
 成果
 「アプローチa」では展開から因数分解に変わっても一つの公式を継続的に使っていたので、点数が大きく下がらず、無答率も低いことがわかった。
「アプローチb」では展開、因数分解の覚える公式が増えるにつれて、点数が下がる傾向にあった。最終的に統合的な見方を取り入れることで、点数も「アプローチa」に近づいた。
 課題
 「アプローチa」ではxに係数がついた因数分解の正答率が低かった。一般の形とxに係数形を関連付けて考えさせる、定着させる工夫が必要である。
 「アプローチb」では、公式の共通性に気付かせ、関連付けて、考えさせる工夫が必要であった。公式と問題、公式と公式を関連付ける場面を工夫することが正答率を上げることになると思われた。
4 今後の指導
  統合的な考え方は、『関数』、『図形』の分野でも活用できると考える。関数では、比例、反比例と同じような考え方でy=ax²を考えることができる。他の分野でも、統合的な考え方、それを 関連付ける工夫を行い、基礎基本の定着を目指していきたい。

〈参考文献〉 (1) 「数学的な考え方の具体化」 /片桐重雄 
         (2) 中央審議会 (平成28年度) 

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「教育実践」
問題解決型学習における思考力・表現力を育む学習指導法
~ワールドカフェ形式の協働学習を通して~
新発田市立本丸中学校
五十嵐 正明

  平成19年度から実施された全国学力・学習状況調査の数学B問題の結果を分析すると、毎年、選択式・短答式の問題に比べて記述式の問題の正答率が低い。また、無答率も高いことから、事象を数学的に捉え、数学的に考察する力が不足しているのではないかと考えた。
 新学習指導要領の改訂のポイントは、平成28年8月の中央教育審議会答申では「主体的に学び続けて自ら能力を引き出し、自分なりに試行錯誤したり、多様な他者と協働したりして、新たな価値を生み出していくこと」の必要性が提言され、「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業改善の視点が取り上げられている。
 そこで、各単元の指導に問題解決型学習を取り入れ、その学習を「ワールドカフェ形式」の学習指導法で行うことにより、数学的な思考力や表現力等を育成しようと考えた。この「ワールドカフェ形式」の学習の特徴は、話し合う班のメンバーを入れ替えながら、課題解決を行い、特に生徒に役割を持たせず、必ず全員が2回は考えを説明する場面を設定しているという点である。
 実際の実践では、初めは課題を解決できなかった班も話し合い活動を通して課題を解決しており、どの班も一つの解決方法にとどまることなく、複数の解決方法に言及できていた。本研究の学習活動を通して、生徒が自然と複数の解法を探ったり、新たな見方を習得したりできるようになったと考えられる。これは、自分たちの班が気付かなかった見方に触れ、その根拠も確認することで思考力が身に付いたと考えるからである。また、他者の説明を通してその根拠や解答の妥当性について班で吟味したり、交流活動において考えを比較・検討したりする中で、根拠が不十分なものや誤答については修正を加えることで、数学的な思考力や批判的思考力の育成につながったと考える。
 本研究の3年間の実践を通して、生徒に数学的思考力・表現力を身に付けさせるためには課題が重要であることが分かった。特に、多様な解決方法が期待できる問題解決場面や複数の手順を踏む課題、条件が含まれる課題解決場面において、有効な指導法であることが明らかになった。更に、この活動の根底には、「忌憚なく、誰とでも対話できる雰囲気(学級)づくり」「生徒同士が認め合う雰囲気(学級)づくり」を普段から意識しておかなければならないことも課題として明確になった。

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「教育実践」
数学好きな生徒を増やす工夫
新潟市立新津第一中学校
古川 智子

  中学校では、数学が嫌いな生徒が多い、というイメージがある。実際 に「数学が好きか?」と生徒に聞くと、「証明があるから嫌い」「分からなくてつらい」という声があった。自分の担当クラスでは数学が嫌いな生徒が多く、授業改善の必要を感じた。
 そこで、「数学が好き」と関連することを実行しようと、H30年3月に生徒のアンケートから実態を把握、参考文献等で研究されている項目をもとに問題点と仮説を考えた。
 嫌いな理由のほとんどは、数学が分からなくて授業に参加できないこと、難しそうで面倒くさそうと感じること(数学ができる生徒も含む)であった。自分の指導を振り返ると、問題点は、その授業の目標が不明確であること、特定の生徒が発言するだけで、意見交換が少ないこと、生徒が達成度を実感できる機会が少ないこと、生徒の興味・関心を引き出すことが出来ていないこと、生徒が「分からない」を教師に伝えられないことだと感じた。
 以上のことから、「数学の授業において、興味・関心を促しながら達成感を持たせる授業を続ければ、数学が好きになる生徒が増えるだろう」という仮説を立てた。
 手だては以下の3点で、中学1年生の2クラスの好きの割合の変化と、抽出生徒の変容を調べた。
① 授業ごとに目標を決め、振り返りと自己評価を付ける。
② 興味・関心を促す授業実践を行う。
 正の数・負の数の単元で、トランプを使った正負の計算ゲームを行った。複数のカードの合計を求めるときに、簡単に求められるように工夫した様子が見られた。また、「中学校の最初の計算がぱっとできて嬉しかった」という感想もあった。
③ 意見交換が活発にでき、達成感が得られる授業実践を行う。
 文字の式の単元で、1列n個並んだ碁石の数を表す式を考える授業を行った。解答が何種類かあり、すべて見付けようとする生徒や、見付けた解答を班のメンバーに嬉しそうに説明する生徒の姿が見られた。
成果と課題
 中学1年生の、「数学が好き・少し好き」と答えた生徒の割合は、4月63.9%から7月84.3%に上昇した。抽出生徒も「嫌い」から「少し好き」、「少し好き」から「好き」に変化した。このことから、手だては有効であったと考える。しかし、今後、関数や図形の分野に進むため、苦手分野がある生徒の好きの割合が下がることが予想される。それぞれの単元で実践②③のような授業を今後も行っていく。

<参考文献>「算数・数学教育学会誌『パピルス』第7号」/岡山理科大学 洲脇史朗 
「教科の好き嫌い」/ベネッセ教育総合研究所

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「教育実践」
小学校との接続を視野に入れた関数指導の工夫
~思考ツールを活用した学び合い活動を通して~
五泉市立五泉中学校
石田 勇弥

  関数指導は数学教育の中核である。しかし、関数領域の学習に対して困難を抱える生徒は多い。現行の指導において、小学5年から中学1年にかけてスパイラルに「比例」の単元を学習する。また中学2年では一次関数の学習が始まり、関数を深く学習する入口ともなっている。本研究では、関数指導における小学校と中学校の現状を分析し、小学校から中学校への接続における子どものつまずきを、「変化と対応」の関係から明らかにした。そのつまずきに対するアプローチを一次関数の導入場面で具体化し、実践を行った。変化の割合に焦点を当て、生徒の学び合いを促進する思考ツールを活用し、生徒自ら考え方を見出す過程を経ることから小・中の接続をスムースにするという提案である。
1 変化の割合を自然と見出す課題の設定
 小数値や離散値を扱った表を用い、変化の割合の考え方を用いなければ解決できない課題を設定した。比例的推論では解決できないため、生徒自らが変化の割合の考え方に行きついた。変化の割合は変化と対応を同時に見なければ考察できないため、小・中の接続に効果的に働いたと考える。
2 思考ツール「おでん型チャート」の活用
 本実践では、自作の思考ツールである「おでん型チャート」を用いた。根拠や論拠を書くフレームワークを用いることにより、他者との考え方の共通点や相違点を見えやすくした。生徒自らが変化の割合を見出す展開に効果を上げた。
3 成果と課題
 二つの手だてを用いることにより、生徒自らが変化の割合を見出し、小・中の接続をスムースにする授業展開を構成することができた。しかし、思考ツールについては、さらに学び合いを促進する活用方法を再考する必要がある。
<参考文献>
田村学、黒上晴夫(2017)田村学・黒上晴夫の「深い学び」で生かす思考ツール
礒田正美(1987)「関数の思考水準とその指導についての研究」『日本算数・数学教育学会誌』
礒田正美(1998)「関数領域のカリキュラム開発の課題と展望」、産業図書.
三輪辰郎(1974)「関数的思考」『Ⅴ 算数・数学における思考と教育』

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「教育実践」
子どもの問いから始まる授業への挑戦
~数学的活動を促進させる仕掛けに着目して~
新潟市立青山小学校
本間 大樹

  私は算数授業において、子どもたちの「できた!」「分かった!」という感激を大切にしたいと考えている。この体験の積み重ねこそが、子どもたちの主体的・対話的に学ぶ意欲を高めていく。
 この感激を生み出すためには、子どもの問いから始まる授業を展開していく必要がある。授業中にたまたま子どもが問いを抱いたり、たまたま考えを発展させていったりしたという偶然ではなく、日々の算数の授業において確実に子どもの中に問題意識が生まれ、解決に向かって突き進んでいく授業を目指したい。そのためには、毎時間簡単に使えるような手だてが必要となる。
 そこで、私は授業における意図的な仕掛けに着目した。仕掛けとは、本時のねらいに結び付く学習活動を呼び起こすものである。その仕掛けは次の3段階となる。
仕掛け(1) 共通の数学的知識の確認 → 子どもの思考を共通の土台に乗せる。
仕掛け(2) ずれを生み出す → 子どもに問いをもたせる。
仕掛け(3) 数学的知識を捉え直す → 子どもの数学的知識をつなげたり、統合したりする。
 本研究では、深い学びの鍵となる数学的な見方・考え方を働かせ、数学的活動を促進させるための授業における仕掛けの有効性について考察を進めた。
 3つの仕掛けにより、子どもの問いが生まれ、解決の中で既習の数学的知識の捉え直しが行われていった。この既習の数学的知識の捉え直しこそ、深い学びの姿であると考える。授業中、子どもの「えーっ!」という疑問の声や「あっ、そういうこと!」「分かった!」という喜びの声が聞こえてきた。今後も毎日の授業において、子どもの主体的・対話的な学びを促す、より有効な仕掛けについて考察し、実践を重ねていく。

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「教育実践」
自分の考えを再構築して理解を深める指導の工夫
~考えを可視化する活動を通して~
三条市立西鱈田小学校
中山 光太

  本研究では、児童の計算の意味理解をより深めるために、自分の考えが仲間に見えるように工夫して話合いの場を設定した。特に、協働場面におけるホワイトボードの効果的な活用を探ることで、児童の理解が深まり筋道立てて表現する力がはぐくまれるかを検証した。
 小学校第4学年「小数のかけ算・わり算」と第5学年「小数のわり算」の単元において、実践を行った。「自力解決場面」「グループ・全体場面」で考えを可視化し交流したことで、自分の考えを確かなものにしたり新たな視点を得たりする姿を目指した。
〈実践の実際・考察〉
 グループでボードに記入する活動をしてから1人1枚でボードに考えを記入する活動を通した。さらに全体の場で可視化されたいろいろな考えと交流を図った。
 ボードを用いて考えを可視化したことで、考えの交流がスムーズになるだけでなく、お互いの考えの共通点を捉えやすくなった。自分の考えと比較しやすくなったことで、小数の計算において新しい視点を得る、考えを確かにするという点で有効であった。グループで1枚のボードに考えをまとめる場面では、お互いに意見を交流すると同時にボードに意見を加えたり修正したりしながら考えを深める様子が見られた。ボードに考えを表現する場面では、どの児童も意欲的に取り組む様子が見られ、その後の交流でも主体的に学習に臨む姿が見られた。自分の考えを伝えたいと交流を活性化することにつながった。
〈成果と課題〉
 本研究の成果から、ホワイトボードを活用し、自分の考えを可視化して他者と交流する学習活動は有効であるといえる。今後、他の単元でも実践を積み重ね、「主体的・対話的で深い学び」を促していく。

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「教育実践」
見通しをもち筋道を立てて考察する力を育成する算数・数学指導の工夫
~既習事項との比較検討を重視して~
胎内市立黒川小学校
今井 雄一郎

  授業の質的な改善による、「主体的・対話的で深い学び」の具現化が求められている。「主体的・対話的で深い学び」の実現のためには、見通しをもち筋道を立てて考察しながら問題を解決する資質・能力を育成することが必要である。本研究では、既習事項と比較検討する過程を通して、児童の思考を可視化させたり共有させたりすることにより、見通しをもち筋道を立てて考察する児童の姿を目指す。
 そこで、次の二つの手だてを導入することにした。
1 自力解決の見通しをもたせる場面において、類似する問題や解決に必要な既習事項の想起を促す発問をする
2 児童の思考をふきだしを用いて表現させ、全体で共有する
 小学校5学年「小数×小数」「分数(1)」の単元において、この二つの手だてを講じた実践を行った。
 解決方法の見通しやその理由を可視化させたり共有させたりしたことによって、これまで自分の考えをもつことができなかった児童が、それを手掛かりとして課題解決に向かうことができた。
 今後も授業改善による実践を重ね、「主体的・対話的で深い学び」の具現化を目指していく。

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「教育実践」
学びを自覚させる指導の工夫
~1年 算数・数学の解き方説明書作りを通して~
新潟市立下山小学校
井畑 悟

  主体的・対話的で深い学びのために、学びを自覚させることが大切である。学びを自覚させる手だてとして、授業後に振り返りを書かせることが有効である。これまで授業の終末で振り返りを書かせてきたが、時間的、内容的に振り返りを毎時間書かせることは難しかった。そこで、単元を通して何ができるようになったかという振り返りを行うこととした。
1 手だて
 一つ目の手だてとして、単元の終末に、自分の学びを振り返るために「解き方説明書」作りを行う。「解き方説明書」作りは、数と計算領域で4単元連続で行うこととした。二つ目の手だてとして、これまで自分が作った説明書と比較し、自らの成長を振り返らせた。長期的な視点で「何ができるようになったか」ということを捉えさせ、学びを自覚できれば、次への学びに向かう力となると考えた。
2 振り返り記述の検証
 1回目の説明書と2回目の説明書を比較して振り返りを書かせると、「説明を自分で書けるようになった」「絵のところに数字を書くようになった」という技能面での成長を感じている児童が71%いた。4回目まで説明書を書いて、自分の書いた四つの説明書を比較させると、「図に数字や矢印を書いて、迷ったらもう1回問題を読む」「右左を書いたり、言葉を付けたり、違う色で囲んだりした」というように、技能面での成長をより具体的に記述する児童が増えた。そして、解き方説明書を4回繰り返したことで、88%の児童が技能面での成長を自覚することができた。
 意欲面での記述に目を向けると、「図を描けるようになって楽しかった」「説明の言葉ができるようになってうれしかった」「もっといろいろな問題をやりたい」など、79%の児童が意欲面について記述していた。4回継続して説明書作りに取り組んできたことでより成長を感じることができ、意欲の高まりにつながったと考えられる。
3 成果と課題
 本研究で、単元終了後「解き方説明書」作りを行い、自分の作った説明書を振り返ることによって、具体的な自分の成長を記述できた。ほぼ全員が技能面での成長を自覚することができ、学習意欲向上に関する記述も非常に多くの児童から見られた。よって、学びを自覚させるのに有効であったといえる。
 今後は、学びの自覚が学習意欲の高まりにつながり、さらに学力向上につながる方法を考える。

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「教育実践」
比較や関連付けによって多角的に社会的事象の意味を捉える子ども
長岡市立十日町小学校
鶴巻 洋祐

  新学習指導要領では、社会的事象の見方・考え方を働かせ、社会的事象の意味を多角的に捉えることが求められている。そのためには、ある視点に着目しながら社会的事象を見いだし、比較・分類、統合したり、関連付けたりし、それを用いて考察・構想する学習が必要である。しかし、これまでの私の授業では、終末に学習してきた社会的事象について、子どもたちがまとめを記述する際に、説明が不十分であり、教科書に書いてある言葉をそのまま記述している児童もいた。
 そこで、6年生の社会科「天下統一を目指した戦国武将」において、比較や関連付けといった視点や方法を用いなければ解決することができない問いを子どもと共につくる。そして、その解決の過程において、考えを整理しやすくするワークシートを活用したり、自他の考えを深めるために友達同士の関わりを組織したりする。そうすることで子どもたちが社会的事象の意味を多角的に捉えることができるようにした。本実践では具体的に以下の二つの手だてを講じた。
1 事象の比較から子どもと共につくる学習問題
  子どもたちにとって身近であり、愛着や誇りがもてるように、新潟の武将である上杉謙信を取り上げた。そして、位置や空間的な広がり、時期や時間の経過に着目しながら、織田信長の領土の広さと比較していった。そうすることで、事象と事象の間の違いに気付き、「上杉謙信は領土を広げられなかったのに、どうして織田信長は領土を広げられたのか?」という学習問題を子どもと共に作った。そして、学習問題の解決に向けて、比較しながらさらに詳しく調べていくことで、新たな問いが生まれていった。その問いをもとに、新たな学習問題を作っていった。連続する問いを解決していくことで、多角的な視点で事象を捉えることができるようにした。
2 事象の関連付けに向けた小グループでの話合い活動の組織
 自他の考えを聴き合う中で、自分の考えを確かにしたり、事象と事象のつながりの新たな視点に気付けたりするようにするために、小グループでの話合い活動を組織した。それぞれの考えの相違点を確認したり、より筋道立ててつながりを説明するために言葉を吟味したりしていった。また、その前段階では、自分の考えを整理することができるワークシートを活用した。一人一人が自分の考えをしっかりもち、可視化することによって、互いの考えをつなげやすくしていった。
 以上の手だてを行うことによって、子どもたちは社会的事象の意味を多角的に捉えていった。今後は、他の単元での手だての有効性を検証していきたい。

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「教育実践」
複数の社会的事象を関連付けて考える力の育成
五泉市立五泉南小学校
菊田 薫

  現在の子どもたちが社会で活躍する頃は、生産年齢人口の減少、AI等をはじめとする技術革新、グローバル化の急速な進展など予測困難な時代が訪れると言われている。このような時代を生き抜くためには、複数の社会的事象を関連付けて考えることで、多くの情報を取捨選択し、自分が進むべき方向を正しく判断できる力が重要である。そこで、私は、社会科における深い学びを実現し、激動する社会の担い手としての資質・能力を育成するために児童に複数の社会的事象を関連付ける力を身に付けさせたいと考えた。

(1) 単元の導入で、単元の目標となる学習活動を設定する。
(2) 単元の終末に学級全体で調べたことを共有し、思考ツールを活用する。

(1)を行うことで、児童は学習活動への目的意識をもつ。また、学習活動の成果を地域や他者へ発信する。その活動を組織することで、より分かりやすく相手に伝えるために、複数の社会的事象を関連付けて考え、表現する必要性が生まれると考えた。
(2)では、単元終末に思考ツールを活用し、学習内容の可視化を行った。これまで学んできたことを伝え合い、社会的事象の分類や関連性を考える活動を行った。

 二つの実践を通して、多くの児童が複数の社会的事象を関連させて記述することができた。単元の目標となる活動を設定したことで、児童に必要感を与え、思考ツールを用いたことで、複数の社会的事象の関連性に気付かせることができたのは大きな成果である。
 実践を通して、複数の社会的事象に目を向けることができても、記述が羅列的な児童や、関連性に気付けない児童もいた。社会的事象の分類だけでなく、関連性を吟味する時間の設定など、新たな手だてを工夫して児童に力を付させていきたい。

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「教育実践」
地域における社会的事象の意味についての「深い学び」を実現する指導の工夫
~第3学年社会科における地域教材と他地域教材とを比較する活動を通して~
佐渡市立八幡小学校
仲田 一雅

  本研究は、地域教材と他地域教材とを比較・総合し、地域における社会的事象の意味についての「深い学び」を実現する指導の研究である。地域教材とは自分が住む地域の教材であり、他地域教材とは自分の住む地域以外の教材である。
 平成29年度学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の実現が求められている。そして、社会科の「深い学び」の実現には、「社会的な見方・考え方」が鍵である。
 これまでの実践を振り返ると、地域教材だけを扱った実践によって、地域固有の学習となってしまい、社会的事象の一般的意味理解に課題があった。また、地域固有の社会的事象の意味を知るだけでは、問題解決に向けた視野が狭くなり、「社会に見られる課題の解決」法にまで至らなかった。
 そこで、本研究では、地域教材をじっくりと学習した後、他地域教材を集中的に学習し、両者をベン図により比較・総合する活動を行う。それにより、地域固有の社会的事象の意味だけでなく、一般的な社会的事象の意味理解が進む。さらに地域に対する誇りと愛情、地域社会の一員としての自覚が養われる「深い学び」に至ると考えた。
 本研究では「社会的な見方・考え方」として、次の2点に着目して、実践を行った。
1 「位置と空間的広がり」に着目(第1実践)
 地域の伝統野菜と教科書教材の野菜とを比較・総合をさせた。地理的条件は異なっても農家は「おいしい野菜を食べてもらうことで、地元の野菜のよさを知ってほしい」と願っていることに気付かせることができた。
2 「時期や時間の経過」に着目(第2実践)
 地域の祭りと他地域の祭りを比較・総合させた。人口減や後継者不足などによる祭りの継承問題は地域でも他地域でも見られる問題である。祭りを受け継ぎたい、残したいという思いは同じである。そこで、継承の仕方に着目した。他世代や他地域の人々を取り込むことで、祭りの継承問題を解決しようとしていることを捉えることができた。児童は地域の先人の保存や継承のための工夫や努力を重く受け止めた。また継承の方法に誇りをもち、地域の伝統はその地域の人が責任をもって受け継ぐことの大切さに気付かせることができた。
 以上、二つの実践を通して、社会的事象の地域固有の意味理解が一般的な意味理解まで進んだ。地域に対する誇りと愛情、地域社会の一員としての自覚が養われる「深い学び」が実現した。

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「教育実践」
説明的文章の構成を明確にし、主張を捉えることができる生徒の育成
~ピラミッド型思考ツールの活用を通して~
胎内市立乙中学校
佐藤 峻資

  これまで自身の実践では、文章作成のための「構想メモ」は、全員が同じ形式のプリントに時系列に思いついたエピソードを書く程度の構成で内容をまとめさせるものが多かった。しかし、そのような「曖昧な構想メモ」では、生徒が意欲的に活動し、見通しを立てて文章の執筆に臨むことはできなかった。
 そこで、説明的文章の構成を「主張」「小見出し」「例示」の要素で階層別に可視化することのできる思考ツール「ピラミッド型構成図」を説明的文章の単元において用い、実践を行った。
1 手だての有効性の検証
 1年時は、説明的文章を要約する際に、次の流れで授業を展開した。 
  ① 筆者の主張を要約し、構成図の頂点に記入する。
  ② 意味段落に「小見出し」を付けて構成図の上から2段目に記入する。
  ③ 意味段落ごとに「例示」を要約し、構成図の上から3段目に記入する。
  ④ ①~③の手順を行った後に筆者の主張に立ち返る。
 以上の流れで説明的文章の単元を行い、生徒記述の振り返りからの結果を見ると、文章を「まとめる」「統一する」機能として、「ピラミッド型構成図」が活用されたことが分かった。
2 手だてを活用した説明活動の充実
 2年時は「ピラミッド型構成図」を用い、「主張文」の構想メモとして活用し、次の流れで授業を展開した。
  ① 主張文の結論をまず決定し、構成図の頂点に配置する。
  ② 主張文の意味段落に「小見出し」を作成し、上から3段目に配置する。
  ③ 小見出しから「序論」「本論」に分類し、上から2段目に配置する。
  ④ 小見出しから80字で「例示」を作成し、上から4段目に配置する。
 以上の流れで主張文の構想を立て、その後原稿用紙に執筆を行った。
3 成果と課題
 前年度の主張文との比較等、実践の分析を行った結果、多くの生徒が昨年度より充実した内容で、かつ短い執筆時間で主張文を記述することができた。本研究から、可視化によって構想段階で文章構成を確立し、本論の吟味を充分行うことが質の高い文章を作成するために重要であることが明らかになった。今後は様々な文章ジャンルにおいても構成図活用の機会を設定し、汎用性が高められるよう、実践を積み重ねていきたい。

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「教育実践」
文章の内容や表現の仕方に注意して読む学習形態の工夫
~ジグソー学習を取り入れた文学的文章の指導を通して~
魚沼市立入広瀬中学校
村山 大樹

  本校生徒の国語科授業に対する実態を各種テスト結果やアンケートから分析すると、「文学的文章への苦手意識」が強く、「グループ学習への意欲」が高いということ明らかになった。
 「グループ学習への意欲」の高さを活用して「文学的文章への苦手意識」という課題を解決するために、「知識構成型ジグソー法」を取り入れた授業を行った。様々な視点から教材を読み解き、生徒一人一人が自分の意見を仲間に伝える場をつくることができる「知識構成型ジグソー法」を行うことで、学習意欲を高めながら、文学的文章への苦手意識をなくし、読解力の向上を図ることができると考えた。
 「知識構成型ジグソー法」を取り入れた授業展開については、東京大学CoREF「協調学習授業デザインハンドブック第2版―知識構成型ジグソー法を用いた授業づくり―」を参考にして、具体的には次の五つの学習場面を意識した授業実践を複数回行った。
1 課題について各自が自分で考えを持つ学習場面
2 小グループ(エキスパートグループ)に分かれて、課題解決につながる部品について学び、一人一人が「私には言いたいことがある」という自覚をもたせる学習場面(エキスパート活動)
3 それぞれ異なる部品を持ったメンバーでグループ(ジグソーグループ)を作り、それぞれの持つ異なる視点を出し合い課題を解決していく学習場面(ジグソー活動)
4 それぞれのジグソーグループがジグソー活動で作り上げた考えを教室全体で交流する学習場面(クロストーク)
5 課題について、最後にもう一度自分で答えを出す学習場面
 成果としては、「知識構成型ジクソー法」には「自分の意見を誰かに伝えたくなる、仲間の意見を聞きたくなる主発問」の設定が重要であり、小説教材においては様々な視点から文章を読み直す必要がある主発問が効果的であることが明らかになったことが挙げられる。課題としては、今回の実践が二つの教材に留まってしまったことだ。どの文学的文章にも対応できる効果的な「知識構成型ジグソー法」の要件は何なのか、今後あらゆる教材での実践を通して整理していきたい。
〈参考文献〉
エリオット・アロンソン(2016)『ジグソー法ってなに?』丸善プラネット株式会社
三宅なほみ、東京大学CoREF、河合塾(2016)『協調学習とは: 対話を通して理解を深めるアクティブラーニング型授業』北大路書房
三宅なほみ 飯窪真也 杉山二季 齊藤萌木 小出和重(2015)『自治体との連携による協調学習の授業づくりプロジェクト 協調学習 授業デザインハンドブック –知識構成型ジグソー法を用いた授業づくり-』東京大学CoREF
白石始 飯窪真也 齊藤萌木 三宅なほみ (2017)『自治体との連携による協調学習の授業づくりプロジェクト 協調学習 授業デザインハンドブック 第2版 –知識構成型ジグソー法を用いた授業づくり-』東京大学CoREF
友野 清文(2016)『ジグソー法を考える―協同・共感・責任への学び 』丸善プラネット株式会社
難波博孝、 尾道市立因北小学校(2010)『ジグソー学習を取り入れた文学を読む力の育成 』明治図書

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「教育実践」
多角的・多面的に読む力を高める文学教材の授業づくり
~「知識構成型ジグソー的手法」を取り入れた指導を通して~
新潟市立内野小学校
渡邉 裕矢

  新学習指導要領改訂の方向性の一つである「思考力・判断力・表現力等」について、「これからの子供たちには、創造的・論理的思考を高めるために『情報を多角的・多面的に精査し構造化する力』がこれまで以上に必要とされる」と述べられている。そして、「情報を多角的・多面的に精査し構造化する力」は、「既有知識・経験によってテクストにない内容を補足・精緻化するなどして推論する力」と説明されている。これらのことから、叙述や既習事項などの情報を整理し、関連付けていくことで多角的・多面的に読む力を高めていくことができるのではないかと考えた。
 そこで、私が着目したのが、東京大学CoREFが提唱する「知識構成型ジグソー法」である。立場の異なる視点をもった者同士が考えを交流することで、叙述を関連させながら読みを深めていくことができると考えた。また、佐藤佐敏(2017)は、物語を分析する観点として、「対役が、中心人物(主人公)にどういった影響を与えたかということを考えると作品に流れる一つのメッセージが見えてくる」と対役と中心人物の関係について読んでいくことが大切であると述べている。
 以上をふまえ、本研究では、文学教材の授業において「登場人物の立場別の知識構成型ジグソー的手法」を取り入れた読解指導を試みることとし、次の2つの手だてを講じて実践を行った。
(1)「知識構成型ジグソー的手法」で、複数の登場人物の立場から読みを交流する活動の組織
 複数の登場人物の立場から読みを交流する「知識構成型ジグソー的手法」を組織した。子どもたちは、様々な登場人物の立場から根拠となる叙述を読み取り、それらを交流することによって中心人物の心情の変化の理由を数多く見つけ出すことができた。しかし、グループ交流がただの意見交換で終わってしまい、読みの深まらない子どもたちもいたという課題が浮かび上がった。
(2)多角的・多面的に読む力を高めるための発問の工夫
 上述の課題を受け、それぞれの立場で読みを交流した状況で追加発問を投げかけ、話し合っていく活動を組織した。「中心人物が変化したことに最も影響を与えたのは誰か。」という発問を投げかけ、最も影響が大きいと考えた立場同士でジグソーグループを作り、叙述を根拠として読み取ったことをもとに全体交流を行った。すると、自分が考えつかなかった立場からの意見を取り入れ、新しい読みの気付きを生み出す子どもたちが数多くいた。影響度のレーダーチャートを作り、全体交流の前後で比較すると、数値が変化し新しい読みの気付きを生み出した子どもは88.9%であった。このことから、影響度についての発問をし、ジグソーグループを作って話し合ったことは多角的・多面的に読む力を高めるうえで有効であったと捉える。
 様々な登場人物の立場で読みを交流することにより、多くの叙述を関連させて新しい解釈を導き出し、読みを深めていくことができた。しかし、この手法を学習に取り入れていくためには、物語の設定の条件などが必要となってくる。どんな教材文でこの手法を生かしていくことができるのか、どんな発問をすると子どもたちの考えを深めていくことができるのかを、これからも研究していきたい。

〈参考文献〉
「国語ワーキンググループにおける取りまとめ」文部科学省 2016.8
「協調学習 授業デザインハンドブック 第2版」東京大学CoREF 2017.3
「国語科授業を変えるアクティブ・リーディング」佐藤佐敏 明治図書 2017.9

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「教育実践」
友達との関わりの中で読みを深める子ども
長岡市立川崎小学校
伊丹 穂香

  国語の物語教材において、物語をより多面的に捉え、想像を膨らませながら読むには、友達と解釈を共有することが大切であると考える。しかし、1年生の発達段階では、解釈を言語化し、表現することに難しさがあるため、解釈の共有が困難である。
 そこで本研究では、1年生の発達段階に合わせ、解釈を表現する手段として「朗読」を用いる。友達と朗読の表現の仕方を考える中で共有が図られ、自分の解釈を明らかにしたり新しい解釈を作り出したりすることができると考え、実践を行った。
1 単元・教材との出会い
 単元の導入時、教師が作成した平坦に読まれた朗読を聞かせた。子どもたちは、人物の気持ちや場面の状況が表れない読み方に違和感を覚えた。その後、子どもたちの朗読を録音したものを聞かせ、友達の読み方の工夫を探させた。すると、声の大きさを変えたり、読む速さを変えたりすることで、人物の心情や場面の状況を表すことができるということに気付くことができた。
2 音声表現化と学びのメタ認知
 その後、グループに分かれて朗読を紹介し合った。その活動の中で、児童Aは、友達に朗読の良さを認められたり、友達の朗読を聞いたりしたことにより、最初になかった言葉を付け加え、自分の解釈を説明した。児童Eは、最初は解釈が曖昧で、うまく言葉で言い表すことができなかった。しかし、友達の朗読の工夫を見付けたり、その工夫をした理由をについて考えたりする中で、今まで自分の中にはなかった新しい解釈を見付け出すことができ、それを言葉で説明することもできた。
3 成果と課題
 抽出児の発言や朗読の変容から、解釈を共有する手段として「朗読」を用いたことで、自分の中にあった解釈がより確かなものになったり、今まで自分の中になかった新しい解釈を作り出したりすることができると分かった。解釈を音声表現する経験を積むことで、今後は文章表現できるように促していく。

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「教育実践」
プログラミング的思考の育成への取組
~コンピュータを用いたプログラミング体験を中心とした指導法の試行~
新潟市立亀田東小学校
水越 泰宏

  「情報活用能力」育成の端緒として、小学校ではプログラミング体験を通した学習活動(プログラミング教育)が必修となる。しかし、プログラミング教育は外国語や道徳のように教科化されない。取り上げる教員も少ないため、子どもたちはほぼ知らないという現状にある。本研究では、児童にプログラミング的思考を育成するために、どのような授業の在り方が効果的かを探ることとした。
1 プログラミング的思考を行っている子どもの姿の明確化
 プログラミング的思考を育成するのであれば、どのような姿を目指すのかを明確にする必要がある。小学校学習指導要領解説にあるプログラミング的思考の定義を受け、「どうなれば課題解決したことになるのかが分かる児童」「課題解決に必要な手順を考える児童」「考えた手だてを検証し、修正や改善を考える児童」という三つの姿を設定した。
2 プログラミング的思考育成のための手だて
 子どもたちにプログラミング的思考を育成するために、三つの段階に分けて実践を行った。「プログラムの存在に気付く」段階では、視聴覚教材を視聴し、身の回りにプログラムが存在することに気付かせた。「児童用プログラミング言語の使い方を知る」段階では支援サイトや児童用プログラミング言語を使用し、基本的な操作方法を学ばせた。「児童用プログラミング言語を使って思考する」段階では身に付けたプログラミング言語の操作法を生かし、課題を解決するためにどのような指示をコンピュータに出せばよいのかを考え、操作させた。こうした活動を重ねることで、子どもたちは目指す姿を実現するためにどのような手だてがよいのかを試行錯誤するようになった。
3 成果と課題
 子どもがプログラミングに触れる環境を整え、教師が目指す姿を明確にした手だてを打つことで、子どもたちは進んで思考を行った。その姿はプログラミング的思考の定義と重なることから、この指導法は有効であったと考えている。

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「教育実践」
幼児教育と小学校教育の円滑な接続を目指した連携の取組について
~幼児期の終わりまでに育みたい姿を視点にした実践の見直し~
長岡市立黒条小学校
小出 洋介

  幼小の接続について教育課程の接続という点に課題がある。学習指導要領や幼稚園教育要領では、幼児期の終わりまでに育みたい姿(10の姿)が示された。
 そこで、今年度の1年生の実態から表出した10の姿を見取り、幼児期に育まれた資質・能力の発揮の様相を捉える。そこで得た知見を基に、過去の小学校1年生の授業実践を振り返える。10の姿を視点に幼児期に育まれた資質・能力を踏まえることで、児童期に育成を目指す資質・能力の設定やそれを育むための手だてを検討することができると考えた。
1 小学校での活動における10の姿の表出
 平成30年度の第1学年の3学級の生活科の実践の中で、子どもたちは、各単元における課題解決のために、幼児教育で育まれた資質・能力を発揮しており、それぞれの10の姿は重なり合っている形で表出している。幼児期に育まれた資質・能力は、個々によって様々であり、小学校の実践においては、各教科の資質・能力が育成できるように、子どもの気付きや思考を、学習集団である学級全体に共有していく必要がある。
2 平成29年度第1学年算数・数学「ひき算(2)」の授業についての分析 
 本単元においても、いくつかの10の姿の表出を見取ることができた。生活科での見取りと同様に、子どもたちは、課題解決に必要な資質・能力を働かせている。算数・数学の本実践においては、それまでの小学校での学習の中で身に付けた既存の知識・技能を活用していることから、幼児期に育んだ資質・能力と共に、それを受けてこれまで小学校で伸ばしてきた資質・能力を発揮していると考えられる。
3 成果と課題
 本研究の成果として、10の姿を視点に幼児期に育まれた資質・能力を踏まえ、目標となる資質・能力まで伸ばすことやそのための手だてを検討することが可能であると分かった。しかし、対象全体に関わる客観的なデータが十分とは言えないことが課題として残った。今後は、10の姿を想定して目指す資質・能力やそれを育むための手だてを設定した実践を行い、資質・能力に対応した評価を行い、資質・能力の伸びが見られたかについて検討できるようにしたい。

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「教育実践」
将来の夢の実現に向けて、現在の自分をよりよく生きる指導の工夫
加茂市立七谷小学校
藤田 幸男

  教育の一つとして、子どもが大人になったとき社会的・経済的に生きていけるようにすることも大切である。そのためには基礎的な学力とスキル、コミュニケーション能力と人間としてのモラルが必要となる。新潟っ子プランでもキャリア教育に求める資質・能力を「郷土愛」「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」としている。漠然と将来の夢をもつのではなく、将来の夢の実現に向けて、今の自分を見つめ、よさを伸ばし、課題を克服していくことが重要だと私は考える。そこで、キャリア教育を単元化し、家族と対話する機会をもたせ、様々な職種を知らせ、将来設計図を描かせることにした。自身の将来に夢や希望をもち、それらを実現させるためには、現在の自分を磨いて生きなければならないことに気付かせることができると考え、実践を行った。単元構成は以下のとおりである。
(1) 夏休み「家族との対話」
(2) 図画工作「12年後のわたし」(夢の具現化)
(3) 夢サポートDVD視聴(様々な職種を知る。)
(4) 冬休み「家族との対話」
(5) 将来設計図の作成
(6) 単元の振り返り
(7) 中学校職場体験へのつながり(小中連携)
<成果>
①家族との対話を通して、身近な大人の仕事への思いを知るとともに、自身の職業選択のアドバイスをもらうことで、自分の将来に真剣に向き合うことができた。
②キャリア教育DVDを視聴し、様々な職種とやりがい、工夫や苦労を知ることにより、職業選択の幅を広げることができた。
③キャリア教育DVDを視聴したのち、自分の将来に生かせそうなことを記述することにより、今の自分に必要なことを考える機会を生むことができた。
④シートの項目に「今の自分がしておかなければならないこと」を加えることで、自身を見つめ、高めようとする意欲をもつことができた。
⑤将来設計図を作成することで、具体的な年数と高校、大学、就職の進路先を客観的に見ることができた。
<課題>
①施設訪問や地域人材、外部講師等を活用することができず、授業と家族の対話にとどまった。見聞だけでなく、体験することによって得られるものがあったはずである。
②卒業後も中学校と連携し、職場体験に行く前に子どもたちのこれまでの学びや意識について情報交換を行い、実りある職場体験となるように支援していきたい。

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「教育実践」
地域に愛着と誇りをもち、主体的に課題解決に取り組む児童の育成
~甘酒づくりを出発点として~
阿賀野市立分田小学校
川口 弘泰

  地域の連帯感や人間関係の希薄化が課題となっている中、社会全体で子どもを育てることの重要性や個性豊かな活力ある地域社会の育成が話題にあがって久しい。新学習指導要領において「子どもたちに求められる資質・能力とは何かを社会と共有し、連携する社会に開かれた教育課程の実現を目指すこと。」、「これからの予測困難な社会の変化に対応し、たくましく生き抜いていくためには、物事に対して主体的に関わり、自分の力でよりよい社会や人生を創り出そうとする思いと実行力が大切である。」と記されている。
 これらの背景を踏まえ、学校を核として地域と連携・協力し、魅力ある地域づくりを目指すことを題材とした総合学習を計画した。そこに、児童の主体性の向上に有効だと考えられる手だて3点を導入することにした。
①地域の課題を自分たちの課題として捉えさせる
②課題解決の意識を継続させる
③課題解決のきっかけとして、児童が自信をもてるような活動の足掛かり(甘酒づくり)を提示する
という3点である。
1 手だての有効性の検証
 手だて①の具体的方策として、「地域の良さを振り返る」「大人の考えに触れさせる」という二つの活動を行った。児童の振り返りには、自分と大人の考えとのギャップにショックを受け、「何とかしたい」という意思をもったと判断できる記述が多く見られた。
 手だて②に関わり、活動ごとに活動自体の振り返りと、目標に向けての到達度の確認を行ってきた。一つ一つの活動に価値付けをすることで、「地域活性のために大切な活動をしている」という自覚をもち、意識を継続させることができた。
 手だて③では、甘酒づくりという足掛かりを提示した。児童は様々なアイディアを出し、準備・活動する姿が見られた。自らの力で計画を立て、それらを全て実行することができた。
2 成果と課題
 本研究を通して、導入した手だて3点は、主体性の高まりに有効であった。今後は主体性の高まりを判断する段階や基準をより明確にし、主体性の度合いを数値化できるようにしていく。

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「教育実践」
ローカルアイデンティティ形成のための取組
~学校行事・全校ふれあい遠足と360度評価を通して~
新潟市立上山小学校
杉山 克也

  昨今の子どもたちは様々な体験不足、経験不足を一要因として自己肯定感が低いことが言われている。そのような子どもたちに自信をもたせるには、様々な活動の中での成功体験や生活の中で周りの大人から認められること、そして、人格形成のバックボーンとして、ローカルアイデンティティの形成が必要であると考えた。
 ローカルアイデンティティとは、個人の地域に対する帰属意識であり、個人のアイデンティティを構成するローカルな要素である。ローカルアイデンティティを形成することによって、子どもたちに地域への参画意識やこれからの所属集団への帰属意識、人との関わり方が高まるであろう。当校の子どもたちにとって、小学校時代に地域の風景や人、歴史や文化等の地域性に触れ、それらを一要素として、個人のアイデンティティの形成をゆるぎないものにすることができるのではないかと考えた。
 本研究では、地域と連携した学校行事の全校ふれあい遠足を通して、子どもたちが身に付ける資質・能力を明確にし、子どもたちの自己評価と全校ふれあい遠足に関わった職員、保護者・地域ボランティアが子どもたちの姿を評価(360度評価)した。
 子どもたちの自己評価と360度評価から、子どもたちは「地域に関する体験知」「異年齢集団における協働性」「地域に関する思いの表出力」を身に付け、ローカルアイデンティティ形成の一助となったことが分かった。

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「教育実践」
「見る力」に弱さがある児童への小学校早期での指導と支援
~通常学級における一実践とその考察~
五泉市立五泉東小学校
鈴木 千緒里

  通常学級に在籍する小学校1年生のA児は、入学当初平仮名の読み書きがほとんどできなかった。また平仮名の学習を進めてもなかなか読み書きが定着しなかったり、教科書の音読の際にどこを読んでいるのか分からなくなってしまったりする姿が度々見られた。これらの読み書きの困難さは「見る力」の弱さからくるものだと推測された。そこで「見る力」に弱さがある児童に対して、小学校早期の段階で適切な指導と支援を講じることで、「見る力」を高め、読み書きの学習につなげることができるのではないかと考え、以下のことを実践した。
1 50音表の活用
 国語の教科書に載っているものを印刷し、表に50音、裏は幼捉音の平仮名とイラストを一覧にした。イラストと結び付けて平仮名を読んだり書いたりできるように、一斉指導の中でも適宜言葉を掛け、一人でも活用することができるようにした。また授業中でも家庭学習でも手掛かりや確認が必要な時にいつでも利用することができるようにした。
2 アセスメントの実施と分析
 見る力を視覚にかかわる様々な観点から検証し、学びの困難さがどこにあるのかを把握するために、ビジョン・アセスメント「WAVES(視覚関連基礎スキル検査)」を実施した。アセスメントより、A児は、見たものの形や空間を捉える力(視知覚)に弱さがあり、形や位置関係、方向などを見分けることが苦手であることが分かった。
3 WAVES「はじめてのトレーニングドリル」と平仮名学習
 週に1回の個別学習では「はじめてのトレーニングドリル」と絵カード等の手掛かりを活かして平仮名の読み書きをする学習を行った。いずれもA児が楽しみながら課題に取り組むことができるようにして、少しずつ難易度を上げていった。
4 読み書きの基礎力アップのための学習
 個別学習において、絵を見て足りない文字を補ったり、複数の単語を見て仲間分けしたりする学習を行った。
 これらの実践の結果、A児は弱さが見られた「ものの形や空間を捉える力(視知覚)」を高めることができた。また以前よりも点の位置や線の方向などの細かい部分に注意が行くようになり、平仮名46字を正確に読んだり書いたりすることができるようになった。これにより学習の積み上げがスムーズにできるようになり、学びへの自信も深めることができた。
 文字の読み書きは、学校の全ての学習において必要不可欠とされる基本的な技能である。なんらかの原因により読み書きに苦手意識をもってしまうと、学習全般に消極的になってしまうことが考えられるため、小学校入学早期から児童の困り感に寄り添い、適切な指導と支援を講ずることは大変重要であると考える。

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「教育実践」
相手の思いや願いを受け入れながらよりよい活動をつくりだす児童の育成
~学級目標を意識させた活動を通して~
新潟市立有明台小学校
江部 壮彦

  学級活動では、新学習指導要領にもあるように「学級や学校での生活をよりよくするための課題を見いだし、解決するために話し合い、合意形成し、役割を分担して協力して実践」することが大切である。そのためには、相手の思いや願いを受け入れ、相手の立場や考え方を理解し、話合い活動や実践を行うことが重要である。
 しかし、これまで受け持ってきた学級は、話し合いで一人一人が意見を出して活動をつくり上げていく経験の少ない学級がほとんどだった。そのような学級は、「学級の課題を把握できていない」「活動に対する意欲が低い」「一連の活動(課題発見-話合い-実践-振り返り)の中で自分の思いや願いを表出できていなかったり、受け入れてもらえていなかったりしている」という様子が見られた。
 そこで、以下の手だてを講じ、相手の思いや願いを受け入れながらよりよい活動をつくりだす児童の育成を目指した。
1 学級目標のレーダーチャートを基にし、活動や学級を振り返る場面の設定
 学級目標を数値化し、レーダーチャートとして提示する。それに、活動の振り返りを基にした学級の実態を付箋(よい…赤色 課題…青色)に書いて貼っていく。自分たちの学級の成長したことや課題となることが視覚的に分かり、新たな活動の意欲へとつなげる。
2 自分の思いや願いを表出させる学級会の設定
 過去の活動を振り返り、学級の実態や具体的な場面を想起させ、その時の思いを意見カードに書かせる。学級会では、過去の活動の様子や具体的な場面を想起させたり、学級の実態を考えさせたりして、同じような経験や考えを出し合い共有し、思いや願いを明らかにしていく。
 レーダーチャートを繰り返し掲示し、活動に臨ませたことで、児童は自分たちの課題を意識して話し合ったり、意欲をもって活動したりしていた。学級会では、ある児童の思いが明らかになり、全体や小グループで話し合う場面で、その思いを周りの児童が受け入れるという姿が見られた。今後は、実践を積み重ねていき、レーダーチャートの項目の妥当性について検証していく。

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「教育実践」
自治的集団を育てる学級活動
〜児童全員で生活上の諸問題を共有し、思考して行動できる学級づくり〜
阿賀野市立水原小学校
吉川 恒夫

  特別活動では、集団や社会の形成者として、多様な他者と協働して、集団や生活上の諸問題を解決し、よりよい生活をつくろうとする姿を育成していくことが大切である。私が目指している学級の姿は、児童が学級の課題に気付き、学校生活をよりよくするために主体的に話し合い、学校生活の様々な場面でしっかりと思考して行動できる自治的集団である。自治的集団づくりのためにクラス会議を行って様々な実践をしていくが、その中で最も大切なのは「学級の問題意識の共有」であると考える。そこで、教室に提案カードと議題箱を設置して児童の声を集め、そこから議題を選定してクラス会議を開いてきた。しかし、提案カードに書かれた一部の児童の困り感を表出しても、問題意識が全体に共有されないという問題点が残った。
 上述の問題点を改善するための手だてとして「学級力レーダーチャート」を児童に提示し、学級の問題意識の共有を図ることにした。
1 実践Ⅰ
 クラス会議前に、「学級力レーダーチャート」を提示し、数値が低い部分に着目させた。そこからクラスの問題点を挙げ、全体で課題を共有した。クラス会議後に実践を行い、振り返りを行ったが、問題点の改善は一時的なもので、根本的な解決には至らなかった。それは、レーダーチャートは学級全体の問題意識であったが、そのために主体者意識が生まれにくかったためであると考える。
2 実践Ⅱ
 今回は、「困っていますカード(個人の困り感)」と「学級力レーダーチャート」を併用し、学級の問題点を段階的に広げていく方法を考案した。まず、児童に「困っていますカード」を配布して個人の困り感を表出させ、クラスで紹介した。次に、類似の経験をもつ児童の拾い上げを行い、同じように困り感をもっている児童がいることを周知した。この段階で、さらに、一部の困り感を全体に広めるため、「学級力レーダーチャート」を提示して学級の問題を可視化し、数値が低くなっている部分に着目させた。なぜ低くなっているのか、「困っていますカード」の記述を基に考えさせ、個人の困り感が学級の問題であることに気付かせた。
3 成果と課題
 「困っていますカード」と「学級力レーダーチャート」の併用により、学級全体が課題をしっかりと意識し、何とかしたいという児童の意欲を高めることができた。また、話の論点が焦点化し、主体的な話合いをすることができた。

<参考文献>
「自ら向上する子どもを育てる学級づくり 成功する自治的集団へのアプローチ」/赤坂真二 編著.明治図書
「楽しく豊かな学級・学校生活をつくる特別活動小学校編」/国立教育政策研究所教育課程研究センター.文溪堂

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「教育実践」
生徒一人一人の居場所となる学級づくりの工夫
~自己有用感に裏付けられた自尊感情を高めるために、互いの良さを認め合う活動を通して~
村上市立村上東中学校
五十嵐 雅人

  生徒が安心して他者と関わることができ、また安心して過ごせる学級は、生徒にとって居心地の良い場所となるはずである。そのためには、生徒一人一人が自分に自信をもって他者と関わることが必要であり、自信をもつためには、自尊感情の高まりが大切である。しかし、「私は頑張っているのに、周りは分かってくれない」というような、自己評価を中心とする自尊感情だけでは、他者との関わりにおいて必ずしも自信につながるとは限らない。
 そこで、必要になるのが「自己有用感に裏付けられた自尊感情」である。自己有用感は、他者から認めてもらうなどの他者評価を前提として生まれる感情であるため、「私は周囲から認められている」という自己有用感に裏付けられた自尊感情の方が、自己評価を中心とする自尊感情より強い自信につながると考えた。そこで、生徒が集団の中で自己有用感を感じ、自尊感情を高めることをねらって本実践を行った。
1 手だてについて
 「1-1のいい人」活動:生徒が終学活時に振り返りノートに、その日良いことをした人の名前、行動、感想を短く記述する。その内容を学級だよりに掲載し、生徒にフィードバックする。
2 評価について
 「学校評価アンケート」「学級アンケート」「Q-Uテスト」等を用いた。特に、抽出生を2名挙げて変容を追うことに重点を置き、判断することとした。
3 成果
 抽出生Aは、黒板をきれいにしたことが学級だよりに載ったのをきっかけに、周囲から認められる経験を何度も繰り返すことで、更に人の役に立ちたいという気持ちが芽生え、自分に自信をもつことができた。 
 抽出生Bは、級友に認められた経験を基に生徒会書記局員に立候補するまでに自信をもつことができた。さらに、級友の良いところを振り返りノートに記述するなど、他者に対してより肯定的に接するようになった。
 学級だよりに掲載されるという評価方法は、「誰が書いてくれたのか分からない」という点がかえって「良い行いは誰かが見ていれくれる」というプラスの効果を生んでいるように感じる。想定外の効果としては、生徒が学級だよりをよく読むようになった。金曜日の終会で配られると多くの生徒はすぐに読み始めるようになった。保護者からも学級だよりについてコメントもらう機会が増えた。さらに、生徒から報告される良い行いの数々は、担任の目の届かない場面でのことも多く、これまで見えていなかった生徒の様子を知れるようになった。

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「教育実践」
「C 集団や社会との関わりに関すること」への気付きが、 A・B・Dの視点に与える影響について
五泉市立愛宕小学校
齋藤 忍

  「小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳」には、指導すべき四つの視点が示されている。さらにそれらの視点は、相互に深い関連があり、関連性を考慮した授業を行うことで理解は一層深まると明示されている。
 私はこれまで、視点間の関連性を考慮して授業を行ってこなかった。そこで、授業の終末で、ねらいとする道徳的価値とは異なる視点との関連に気付かせる学習活動を組織することとした。具体的には、視点ABDをねらいとした授業に、視点Cとの関連への気付きを促す発問を行い、小集団で議論させた。
1 研究の実際
「視点Cへの気付きを促す発問→グループでの話合い→自己決定」を授業後半に位置付けることを研究の手だてとした。4年生2学級において、手だてを講じた学級と講じなかった学級とで比較した結果、手だてを講じた学級が、授業の最終記述に、ねらいとした道徳的価値に視点Cへの影響を含めて記述する割合が高くなった。また、授業前後における自作テスト(行動選択と根拠を記述)への反応の変化を2学級間で比較した結果、手だてを講じた学級が、行動選択の理由に、視点Cとの関連を記述する割合が高くなった。
 そこで、さらに手だての有効性を検証するため、学校の異なる3学級で追試を実施した。結果、全ての学級で最終記述に、ねらいとした道徳的価値に視点Cへの影響を含めて記述する傾向が見られた。
2 成果と課題
 児童は、視点Cとの関わりの中でねらいとする道徳的価値をより深く理解するようになった。さらに、一度視点Cとの関連に気付くと、その後も行動選択の動機として視点Cを記述する割合が高くなることも確認できた。本研究では授業のねらいとする道徳的価値に視点Cとの関連への気付きを促したが、今後は複数の視点がどのように関連しているか、また関連させることにより児童にどのような影響が見られるのかさらに詳細に検証していきたい。

<参考文献>
文部科学省『小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編』

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「教育実践」
その気にさせてハードトレーニング
~内発的動機付けを高め、主体的に活動に取り組む選手の育成~
上越教育大学大学院 小千谷市立小千谷中学校
山本 仁士

 1 研究の概要
 学校教育活動として運動部活動を捉えた場合、生徒の自立や相互の連帯感、社会性の育成など、「人間的な成長」を目的として活動が行われるべきである。しかし、実際には、大会で勝利することを、指導者も保護者も、そして選手も一番に考えているという現実があるのではないか。それ自体を否定するのではなく、二つのニーズを高いレベルで融合させようと試みた。「競技力向上」には「人間的成長」が欠かせない。「人間的成長」が「競技力向上」につながるという考えのもと指導をしてきた。また「人間的成長」は曖昧な表現であるため、この研究においては、「人間的成長」を、「自ら適切に目標を設定し、仲間と協力してその目標達成に向け、主体的に活動する」という、「内発的動機付けを基にした自立型人格形成」とした。駅伝指導において、特に以下を意識して活動をしてきた。指導方針を一言で言うと「その気にさせてハードトレーニング」である。
 (1)選手を「その気」にさせるために(内発的動機付けを高めるために)
  ① 目標設定能力の向上
  ② 小さな成功体験を積み上げること(自己肯定感・有用感・自尊心を育てる)
  ③ 連帯感の中で努力を継続させること
 (2)競技力を高めるために
  ① 様々な運動を組み合わせた「クロストレーニング」の考えで、「運動量」を確保
  ② 「ドリル」化することで、生徒が自主的に取り組みやすくする工夫
  ③ 合宿や高地トレーニング、ウッドチップコース作成など練習環境の工夫
2 成果と課題
 選手をその気にさせる、つまり内発的動機を高めることにより、主体的に連帯感をもって練習に取り組むことでできた。その結果、練習効果が上がり、選手の潜在能力を引き出すことにつながった。もちろん「内発的動機の高まり」だけではなく、「効果的な練習方法」そのものも研究を続けてきた。平成26年には新潟県としては史上初となる全国駅伝準優勝という成果を上げることができた。また高校進学後も競技を続ける選手が多く、活躍している。さらに地元陸上競技協会と連携し、県縦断駅伝や県女子駅伝などの陸上競技協会主催の大会にも多くの選手が活躍していることで、選手の自立型人格の育成、地域とのつながりを感じる。
 これからも「駅伝」のもつ魅力を大切にしながら、人材を育成し、地域に貢献していけるよう、研鑽を積んでいきたい。

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