文部科学省が,教師の魅力を伝えるために「教師のバトンプロジェクト」を始めました。全国的に教員採用試験の倍率の低さが問題になっています。このプロジェクトの公式SNSには,教師が大変さを訴える投稿が続いているそうです。働き方改革が叫ばれても,人を増やすという根本的な解決がなされていない中では仕方がないことです。
私は,今年度退職となります。「教師になってよかったですか」と,今問われたら,「はい」と答えます。子どもたちに向き合う仕事はとても魅力的なものです。自分自身も成長できたと思います。その背景には,たくさんの方からの学びがあります。
教師という職業の怖いところは,自分なりにやろうと思えば,それで済んでしまうことです。子どもにとっては,今学んでいる先生がすべてです。だからこそ,私たちは,研修しなければなりません。特に,授業力は我流で続けていてもだめで,人から学ぶ研修が必要です。ときわ会の研修もその一つです。
しかし,今,心配なことがあります。こんな話を聞きました。研究授業の協議会で,授業者が前時までの記録をつくっていたことに対して,働き方改革に反すると批判した教師がいたそうです。働き方改革の名の下に,力を入れるべきことがぼやけてはいないでしょうか。自分の時間が大切だから研修はどうもという人もいます。今,力を付けないでどうするのかと問いたくなります。
だいぶ前になります。NHKのプロフェッショナルでうなぎ職人の金本兼次郎さんの回がありました。放送の中で,印象に残った言葉が「仕事を作業にしない」です。授業を日々こなすだけでは,それは作業です。子どもに向き合うことは作業にせず,仕事としてプライドをもって取り組みたいものです。そうやって研修を重ね,後輩に渡すことができる,自分のバトンをつくりあげましょう。