多様な思いに目を向ける
副支部長 新津第五中学校 田中 恒夫(昭和62年度)
「どこに着目しているか」
新採用の年、英語の授業後に生徒が机を指差し、なぜこれをデスクと言うのですか、と質問してきました。英語への関心が高く、毎時間一生懸命学ぶその生徒の真剣な問いは印象深いものでした。
「向かう方向に導く」
授業で、丘の上に続く街中の道の写真を見せます。何も言わないと、先の風景を思い描く、どこの光景か疑問をもつ、街中の建物に興味をもつ、生徒の思考は多様に広がります。教師は、授業のゴールに向けた指示や発問で、集団の目的意識を醸成し、全員が課題解決できるよう一人一人に即した支援を行います。腕の見せ所です。
「多様な思いが表出できる」
中学校の部活動の地域移行は、長年続いた放課後の風景や行事を一変させ、生徒の多様な姿を引き出します。SNSは、主体的な情報収集やかかわりの構築の速度と広がりを無限に可能にします。学び方はもちろん学びの場の多様化、校則の見直しなど、生徒がこれまで抱えていた個々の思いを表出し、具現できる場の保障が進みます。
社会では多様性が尊重され、教育にも反映されています。子どもたちが自己実現に向け思いを自由に表出し、具現できるよさが広がります。反面、主体的に判断するための資質もより必要となります。
学校はこれまで以上に個々の思いに目を向け、集団や地域とかかわる楽しさの実感を促しながら、確かな方向に導く場となります。
今後の学校像が楽しみです。