教育データベース

2017.02.02

小学校

国語

上越

平成28年度

考えを可視化し、文章構成の検討を促す「思考ツール」を活用した感想文指導

上越市立稲田小学校 伊藤 和人

これまでの自身の指導を振り返ると、児童が自分の考えや主張を書き表したり他の情報と比較して異同を述べたりすることに、課題があった。また、書きたいことをどのように書いてよいか分からない児童もいた。これらは、書く内容に関する思考の方法や手順を学習する機会が少なかったことに起因する。感想文を書く前に「思考ツール」を活用し、自分の思いや考えを可視化してまとめることで、文章構成を考えて感想文に書き表すことができるようになると考えた。そこで、感想文に焦点化して書く力の向上を図った。
 「思考ツール」は、使い慣れてくることで児童にとって使いやすいように変更したり、文章構成を考えたりしやすい容易なものとなる。自分の思いや考えを可視化させ、より多く書き出すために「イメージマップ」を用い、順序や内容といった文章構成を考えさせるために「ボーン図」を用いた。
 2種の「思考ツール」を使って書かせ、児童の書いた感想文を、①相手や目的に合わせ、テーマに沿って一貫した内容で書いているか、②学んだ知識や考え方・見方を、比較・関連・分類させるなどして書いているかの2つの観点で評価した。
 実践から、「イメージマップ」は事実と感想や考えを分けて書くように二重円で可視化することで、書く内容を整理しやすいことが分かった。また、「ボーン図」は習熟が必要であるが文章構成を考える手だてとなることが分かった。これら2つの「思考ツール」を連動させて用いることで、関連して書く、分類して書くことを意識化できることが分かった。
 一方、「イメージマップ」から「ボーン図」へと移行する際に、書く目的が薄れてしまう様子が見られた。思いや考えを可視化するためには有効であるが、書くことに苦手意識のある児童には手間となってしまうことが原因である。どのように書き換えていくのか、どのような手だてをとるべきか今後探っていきたい。