昨今、学校間の連携・接続の重要性が叫ばれている。保幼小の連携・接続では、幼児期の教育と小学校教育との内容的・方法的な違いにより、厳然とした段差が存在する。その段差を児童にとって無理のないスムーズな連携・接続にすることが課題である。
そこで中教審教育課程企画特別部会の「論点整理」に示された「学びに向かう力」(「意欲」、「自己調整力」、「協調性」などの非認知的能力のことを言う)の育みを核とした実践に取り組み、保幼小連携の課題解決に迫った。
1 個を受け止め、個と個とをつなぐ支援的姿勢
児童は、幼稚園や保育園での遊びを通して、「学びに向かう力」を育んできた。しかし、小学校に入学し、新たな環境や人間関係の中では、その力を十分に発揮することが難しい。これは、私が7年間幼稚園に勤務し、園児の実態を知った上での実感である。そこで、まず教師は、児童一人一人との信頼関係をベースにした安心感の醸成を図った。また、休み時間に起きたいざこざは、「自己調整力」を育むチャンスと捉え、一人一人の話を聞きながら、お互いの思いを受け止め、思いをつないだ。さらに、困っている児童がいれば、「協調性」を育む場と捉え、全員で自分のこととして考える、話合いの場を設けた。
2 「やってみたい」「もっとやりたい」という児童の思いを育てる授業
入学したばかりの児童は、どの教科であれ、「やってみたい」「楽しそう」と意欲的に取り組む。しかし、教師主導の一方的に教える授業だけだと、その意欲は低下していくことがある。そこで、生活科の「わたしのあさがお」では、五感を使って観察することや比較して考えることを教師が前もって教えるのではなく、それらの視点で観察していた児童のつぶやきや記録をピックアップし、何がすごいのか考えさせる場を設定した。さらに、他の児童がそれらの視点に気付き、発見したことを認め、「意欲」の向上を図った。
私の保幼小連携の取組は道半ばである。「学びに向かう力」で幼保小の学びをつなぎ、さらなる育みを保障するスタートカリキュラムの作成を目指し、今後も研究していく。