陸上運動では、技能の向上が記録の向上に直結する特性がある。1学期に行ったリレーの学習では、バトンパスの練習に加え、4スタンス理論を用いた短距離走の走り方の指導を行った。個々に動きを意識して練習をして、多くの子どものタイムが向上した。しかし、個々の子どもの意識にまかせた学習が主になったことが課題として残った。そこで、ハードル走の単元において、4スタンス理論に基づく視点をもとに、友達とのかかわり合いを設けた。そうすることで、ハードルの技能向上に加え、ハードリングに関する思考も深まると考えた。
具体的に以下の3つの手だてを講じた。
1 一人一人に合った場とグルーピングの設定
子ども一人一人の体格からそれに合ったハードルの高さやインターバルの長さの目安を示し、実際に走らせ、体格に合ったハードルの練習コースを決める。また、4スタンスで同じタイプの友達とグループにして練習する。
2 身に付ける技能の段階的な授業展開
「1台目の入り方」「振り上げ足の使い方」「抜き足の使い方」「上体の上下動の抑え方」など、子どもの実態と意識を大切にしながら、課題を設定する。
3 友達とかかわり合うための視点の明確化
「1台目のハードルまで何歩か」「振り上げ足が真っ直ぐ上がっているか」といった一般的な視点と、4スタンス理論に基づくタイプ別の視点を場面ごとに提示し、それを基に見合う活動を進める。
実践の結果、子どもがハードルの動作を見る視点がより明確になり、具体的なアドバイスをし合う姿が見られた。また、自分に合った動きの具体的な記述が多く見られた。そして、50mハードルのタイムが向上し、ハードリングのフォームが改善する子どもも多く見られた。