教育データベース

2016.10.12

中学校

家庭・技術

新潟

平成28年度

生活経験に基づいた授業づくりと指導の工夫

新潟市立小針中学校 諸橋 利香

 私たちの生活を支える技術や知恵の伝承は、かつては、その多くが家庭や地域において行われ、様々な人とかかわり、実体験を通して生活に必要な知識や技能、判断力などを身に付けてきた。しかし、社会生活は日々変化し、それに伴って家庭生活も多様化している。食生活においては、ライフスタイルの変化から、外食産業に頼ることも多く、食品の選択や調理、食事の取り方に大きな変化が見られる。これらのことから、生徒が自立して生活を営むためには、基礎的な知識・技術を身に付けることに加えて、生活に必要な技術や情報を自己の生活の状況に応じて適切に判断し、選択することが必要となる。そこで、次の2点からその解決に迫った。
1 調理実習における学習内容(知)と実習内容(技)を結び付ける「学びの足跡シート」の活用
 生徒は、これまでの調理実習と経験を通して、調理技術を高め、自立した日常食の調理が出来ることを目指している。授業では、自立のために一人で調理を行うマイクッキングにおいて、調理技術のレベルアップを目指した献立を考えている。しかし、今までの調理場面では、調理手順や、段取りに整理がつかず、作業に無理や無駄がある。そこで、これまでの調理実習の学習内容(知)と実習内容(技)を結び付け、今後の学習への見通しを立てるための「学びの足跡シート」を用いる。それを用いることは、今までの学びや自分の課題や考えを可視化させ、学習内容が整理しやすくなると考える。また、自己の知と技の成長を実感し、新たな課題を見いだすことで、より現実的で自立した日常食の調理に向かう意欲と技術を高めることが出来ると考え、「学びの足跡シート」を活用した。
2 協働学習の充実
 献立を作成、決定するまでの学習活動では、班で交流・検討する場面を設定する。これらの協働学習は、個人の生活経験から学ぶ知識や技能の差を、仲間同士で補完し合うことができる。そして、仲間と様々な観点を基に、合意形成を図ることで、自分たちの調理技術を向上させるためのより現実的な献立の作成や、それに伴う食品の選択などを予想し、提案することができると考える。学習活動の終末には、個の生活に返して、自分の食生活にとって「今出来ること」と「必要なこと」を整理させる。そうすることで、自分の生活環境や食生活、調理技術に合った献立に修正を加え、班で話し合ったことを根拠に、自分の献立について説明することができるよう、協働学習の充実を図った。
 研究を進める中で、生徒は成果と次の課題に対する、確かな実感をもって学習に臨んでいる。生徒の生活がより自立し、生活の多くの場面で自分にとって適切な判断ができたり、仲間と共に、最適解を創り出することができたりするよう、今後も研究を継続させたい。