昨年度行った自己表現活動の様子から、多くの生徒が対話をしたり、その場で考えを述べたりすることができないことが分かった。もう一つの課題として、自己表現活動を行う上で、英語に自信をもてなかったり、意欲的に参加できなかったりする生徒が多くいた。原因として、その活動を見通した自己表現活動を段階的に行っていなかったことが考えられる。また、生徒が実際に英語を使って対話をする機会が少なかった。したがって、生徒は英語での会話に慣れていなかったり、やり方が分からなかったりした可能性が高い。また、生徒同士で教え合ったり、考えを深めたりする協働の場面がほとんどなく、生徒が自分の知識を使わずにいた。さらに、昨年行った自己表現活動の内容が生徒自身にとって意味があり、魅力的な活動になっていなかったと思われる。以上のことから、本実践では以下の研究仮説を立て、次の手だてを講じた。
研究仮説:ペア活動で対話練習を日常的に行い、協働する場面を設け、生徒自身による自己表現活動への意味付けを行えば、英語の対話に対する生徒の自信や意欲は向上するであろう。
手だて1 日常的なペア活動
Who Am I? クイズを様々なパターンで行い、聞き手を意識した初歩的な対話練習を行った。この対話練習の延長に、My Projectの活動があるように活動の内容を工夫した。
手だて2 協働的な学習場面の設定
基本の対話文は暗唱させ、テストをした。その際、必ずジェスチャーをつけさせた。ジェスチャーなどはペアで考えさせた。そして、暗唱で忘れてしまうときは、ジェスチャーを交えて教え合わせた。
自己表現活動(有名人とインタビューする人に分かれて、英語でインタビュー活動をする)の内容はお互いにアイデアを出させた。聞き手にとっておもしろく、分かりやすい内容になるようにお互いに工夫するように指示をした。そして、活動が全て終わった後には、振り返りを行い、より良い発表になるようなアイデアを共有させた。
手だて3 自己表現活動への自己関連性
学期末に行った自己表現活動ではインタビューをする相手として、生徒が興味のある有名人をペアで選択させた。また、その人物に近付けるための衣装やお面なども用意させ、より実際のインタビューに近付けるようにした。
自己表現活動後に英語のスピーキングに対する自信や意欲について質問をしたところ、半数以上の生徒が肯定的な回答をした。このことから、生徒は英語を話すことに少しずつ自信を付けてきていることが分かった。