児童の直接的体験が減っている。その中で、生きた教材である動物・植物の飼育栽培活動は、意義深い。このことは中教審のまとめにも明示されている。
しかし、長期間の飼育・栽培単元では、児童の興味・関心がとぎれやすくなる。また、教師は、世話をさせるだけ、自由に観察させるだけの漫然とした指導をしがちである。そのため、一人一人の個別的な気付きは生まれるものの、他とのかかわりによる学びが深まりにくい。
そこで、モルモットの飼育、アサガオ・野菜栽培活動において、次の2点からその解決に迫った。
1 思いや願いを実現する活動を適切に位置付ける
①個々の思いや願いを表出する活動を位置付ける
モルモット引継ぎ時の1・2年交流で思いや願いを伝える。モルモットの誕生日パーティーでモルモットへの親しみの気持ちを表出させる。
②個や集団で選択・意思決定する場を設ける
モルモットを飼いたいのか、引継ぎをしたいのかについて学級で話し合う。また、アサガオの種、野菜の種類、種から育てるか苗から育てるか、鉢の形や大きさを選択させたり、アサガオの間引き・つるでのリース作りの意思決定をさせたりする。
③生き物のためによいことを考え、進んで行う活動を位置付ける
植物の成長の状態に合わせた適切な世話をさせる。
2 自然の不思議さや面白さに気付かせる活動を位置付ける
獣医師による健康診断に立ち会ったり、モルモットの心音を聞く体験をしたりする。アサガオの種の中やアサガオ・野菜の体の観察をしたり、野菜の秘密クイズ大会をしたりする。
これらの手だてにより児童は生き物への親しみをもち、生命の尊さを実感することができる。