1 これまでの私の指導の課題
5学年単元「米作りの盛んな地域」における中心概念は「農家の人たちは、地域の自然条件を生かしながら、さまざまな工夫や努力をして、おいしく安心して食べられる米を作り、国内での米作りを続けていこうとしている。」である。
教科書では1次で日本全体の稲作の概観を指導し、2次で一農家の事例を検討させる。また、単元の終末には、それまでの学習を通して習得した具体的知識を基に「日本全国の農家の人たちの工夫や努力も同様である」と工夫や努力を一般化させて、中心概念に迫ることが多い。しかし、これまでの私の指導では身近な一農家の事例を追究させることに終始し、そこで身に付けた具体的知識と日本全体とのつながりについて、深く考えさせる手だてが不足していた。結果として、中心概念に迫るために、「日本全国の農家の人たちも同様に工夫や努力をしている」と一方的な教師の説明を聞かせ、児童に飛躍した考えをさせて一般化させていた。そのため、どうしても実感的に理解したと考えられる中心概念を記述させることができなかった。
2 研究の手だてと結果
上記の課題を改善するために、身近な事例である黒川の稲作を検討させた後に、南魚沼の稲作を検討させることを試みた。これにより児童は「新潟県内の農家も黒川の農家の方と同じように工夫や努力をしている」と県内の稲作の工夫や努力を一般化することができた。次に、身近ではない事例として、近年、味覚、評判ともに知名度を上げている山形県の稲作を取り上げ、新潟県の稲作と比較検討させた。児童は身近な事例の検討で一般化した新潟県の稲作の工夫や努力をもとに、山形県の工夫や努力を一般化することができた。単元終末の児童は具体的な事実をあげながら「日本全国の農家の人たちも同じように工夫や努力をしている」という中心概念に迫る記述ができた。
今後は他の単元や他学年の内容についても、転移・応用ができないか研究を行っていきたい。