学習指導要領によると、体育科では、互いに話し合う活動などを通じて論理的思考力を育みながら、基礎的な身体能力や知識を身に付け、生涯にわたって運動に親しむことができるようにすることが求められている。それを受けて、体育科の授業にICT機器を用いた研究が数多く行われている。
ICT機器を用いることは、児童の動きの言語化を促し,児童同士の関わりの中で技能を身に付けることに有効に働くことが明らかになってきている。一方で、児童がグループで話し合ったことが、動きの高まりや練習方法の工夫につながったことを、はっきりと捉えていることに弱さが見られた。これは、児童がグループで課題を解決する価値を感じることができなかったり、グループの中で一人一人がもつ動きの課題が異なったりしたからではないかと考えた。
そこで私は、次の2つの手立てから解決を図った。
1 単元を通した目的と目標をもたせる
単元の初めに、題材(グループで取り組む学習内容)を提示した際に、児童が「こうしたい、こうなりたい」という目的と、そのために「どうするか」という目標をもたせる。そうすることで、児童が課題解決に向けて、その価値を感じながら学習を進めていけるようにした。
2 課題別グループを組織して、話合いを促進させる
一人一人の動きの課題を明らかにした段階で、課題別グループを組む。そして、タブレットPCを用いて、互いの動きを見ながら、自分たちの動きの課題について話し合い、改善していけるようにする。課題別にグループを組むことで、話し合う方向性を一致させ、一人一人が自分の動きを基にして動き方や練習方法などを伝え合ったり、教え合ったりすることを促進することができるようにした。
これら2つの手立ては、鈴木敏恵の「プロジェクト学習」を活かしたものである。アクティブラーニングの学習方法として挙げられ、体育科においても大切な考え方の1つである。今後も、体育におけるプロジェクト学習の在り方について研究を進めることで、児童が体育で主体的・協働的に学んでいけるように追求していく。
<参考文献>
課題解決力と論理的思考力が身につくプロジェクト学習の基本と手法、鈴木敏恵