学習指導要領解説体育編の中学年ゲーム領域の技能において、「ゴール型ゲームでは、基本的なボール操作やボールを持たないときの動きによって、易しいゲームをすること」とある。これまでの私のゴール型ゲームの実践では、「個人技能に長けた児童だけが活躍する」「ゲームの中でどのように動けばよいか分からない児童が、主体的に参加できず、ボールに触る機会も少ない」という二極化した様相になってしまった。ゴール型ゲームでは、攻守が入り乱れ、状況が目まぐるしく変わるため、運動経験の少ない児童にとっては、難しさがあるためだと考える。
1年目は、どの子も主体的にゲームに参加できるようにするために、3学年児童において、全員参加のためのルールの工夫を取り入れ、タグラグビーの実践を行った。ゲーム中や話合いの時間に児童同士の教え合いが生まれ、児童はボールを持っていないときの動きを理解することができ、主体的にゲームに参加することができるようになった。
しかし、ゲームの中では、理解した動きを使えていない姿も見られた。これは、動き方は分かっているものの、ゲームの状況判断ができずにいるためだと考える。
そこで2年目にゴール型ゲームの中において児童が状況判断する力を高めるために「パスの回数と映像資料とを結びつけた話合い」を取り入れる。児童はペアを作り、パスを受けた回数をカウントし、記録していく。ゲーム後にパスを受けた回数を認識させた上でゲームの映像を見せる。パスを受ける回数の多い児童と少ない児童とを比較し、児童の話合いを通して動きのポイントを理解させていく。このことを単元を通して行い、ゲーム中の状況判断する力を高める。
この手立ての有効性について、ビデオによるゲーム中の児童の動きの変容や学習カードの記述から検証した。