教育データベース

2015.10.21

小学校

体育・保健

平成27年度

思考を発展させながら、技能を向上させる体育授業

村上市立神納東小学校 小野 浩由

ボール運動の授業では、「ゲームを楽しむ力」=「ゲームの勝敗をめぐる攻防を楽しむ力」を保障することが重要になる。そのためには、どうやって得点するのか、どうやって勝つのかが「わかる・できる」ための学習をする必要がある。本研究では、勝敗をめぐる様々な「戦術的な気付き(わかる)」に基づいた「パフォーマンス(できる)」を身に付けるために、思考を発展させながら、技能(ネット型パフォーマンス)を向上させる体育授業を求め、2つの手だてからその解決に迫った。
 本単元のキャッチバレーボールでは、「戦術的な気付き(わかる)」を「相手が返せないボールを相手コートに送るために必要な考え方」と捉えて進めた。
1 「関連付ける」「関係性を見つける」「序列化する」3つの活動を、毎時間サイクルで行うこと
 児童はネット型の経験がほとんどない。そこで教師から児童に、戦術的な気付きに必要な新たな知識や発問を与える。そして、児童にこの知識や発問と既習の知識を組み合わせて、練習方法や作戦を考える時間を与えた。このように知識を組み合わせて考える活動を3つに分類し、「関連付ける→関係性を見つける→序列化する」ことを、毎時間サイクルで繰り返した。すると、児童は練習方法や作戦をより高次なものにし、思考を発展していった。
2 キャッチバレーボールのゲーム様相の発展段階を想定した学習内容の単元計画を設定すること
 より思考を発展させていくためには「何について考えるのか」「どのように考えるのか」「何を結び付けるのか」の具体的な発問が重要であった。そこで、キャッチバレーボールのゲーム様相の発展段階を想定し、単元計画を立てた。「ボールコントロール」と「アタック」の動きを結び付ける=攻めを組み立てる段階。「失点を防ぐ動き」と「フォーメーション」を結び付ける=守りを組織化する段階。「相手の守りを崩す」ことと「アタック」の動きを結び付ける=相手の守りに対応する段階と想定し授業を展開した。
 2つの手立てにより、児童は、毎時間学ぶべき内容を明確に捉え、思考を発展させながら、ネット型パフォーマンスを向上させていくことができた。