教育データベース

2015.10.21

小学校

理科

平成27年度

事象の仕組みを根拠をもって説明できる児童の育成

三条市立一ノ木戸小学校 関谷 忠宏

研究仮説
 実際の観察が困難であったり推論する難しさがあったりする現象について、イメージ図からモデル図へ練り上げ、モデル図を使って話し合うことで、根拠をもって現象を説明することができるだろう。
1 イメージ図の表出と変容
 6年生「人や動物の体」では、デンプンの消化・吸収を扱う。口の中、消化器の中でデンプンがどのような変化が起こっているかは実際に観察することができず、だ液の実験結果などからイメージするほか無い。そこで、児童は予想でのイメージ図、考察でのイメージ図と、イメージ図を変容させていった。
2 イメージ図からモデル図への練り上げ
 不可視の現象や観察が困難な現象を扱う単元では、不可視のものをイメージする力が大切である。そこで、最初からモデル図を提案するのではなく、児童からイメージ図を表出させ、話合いの中でモデル図へと練り上げていった。モデル図とは、児童が考えを交流したり、現象を説明したりすることがしやすいように、表し方を共通化した図である。
 実際には、デンプンの消化・吸収の説明において、吸収される最小単位のモデルを基準に、そのモデルを集めてデンプンとすると説明しやすいと、話合いの中で練り上げた。
3 説明文の推敲
 児童が書いた消化・吸収の仕組みのまとめの文は、不十分なものが多かった。説明しやすい一方、言葉としては不十分で、主語が抜けていたり、既習の科学用語を使っていなかったり、と様々である。児童は分かりきった事として省略していたのである。そこで、児童が書いたまとめの文を、「相手に伝えるには」という視点でグループで推敲した。
 実際には、「主語があるか」「修飾語があるか」などの視点をもち、例えばある児童は、ただ「消化された。」と書かれた表現をグループの仲間に指摘され、「口の中では、だ液によってデンプンが消化された。」と表現方法を見直すことができた。
 以上のことから、イメージ図からモデル図へと練り上げていくことは、児童がモデル図の必要性を理解し、根拠をもって現象を説明することに有効であると言える。しかし、文章を推敲したことは、形式的に言葉を補うことができたが、それによって科学的な思考力が高まったかと言われれば、そうではないだろう。もっと根本的に、問題解決学習の中で言語活動を駆使し、科学的な思考力を高めていかなければならないと感じた。