植物の栽培という学習は、児童に植物の不思議さやおもしろさ、そして成長の喜びを感じさせることができる。また、継続して観察させることにより実感を伴って、成長の規則性や連続性や種の保存の神秘性に気付かせることができる。
しかし、これまでの指導では、児童は「元気に大きく育ち、きれいな花を咲かせたい」という願いをもつが、観察学習や植物の世話を面倒だと捉える姿が見られた。
そこで、「植物はどのように成長していくのかな?(動画的視点で考えよう)」と観察の視点を与え、予想したり確かめたりして学習に取り組んだ。
その結果、児童ははじめ教師から与えられた問題について取り組むだけだったが、そのうち、「葉が対になって生えてきているみたいだ。」「上から見ると、まるで花火みたいに葉が広がっている。」など少しずつ植物の成長の様子について、視覚的に気付く児童がでてきた。これらの気付きを広げ、実際に確かめに行く前にイメージ図で自分の考えをまとめたり、話し合ったりして、観察への意欲を高めた。この取組を続けていくと、授業時間以外にも、「みんなが気付いていない植物が成長する秘密を見つけたい。」「友だちが見つけた問題の答えを見つけたい。」と意欲をもち、進んで観察や植物の世話に取り組む児童が見られるようになった。
また、学習指導要領解説理科編の目標に、「~科学的な見方や考え方を養う」とある。
そこで、児童が見つけた気付きを問題として提示した。例えば、「植物を上から見ると花火のように葉が広がっているのは、どうしてかな?」では、児童はすぐ日光のはたらきに気付き、「たくさん日を浴びたいから。」と答えた。また、「根は土の中で花火のように広がっているけど、水をあげるとき、どうする方がいいかな?」では、「葉や茎だけでなく土にも水をあげる」と答えた。科学的な見方や考え方を児童が身に付けることができたといえる。
本研究では、児童が主体的に栽培活動に取り組むための手立てとして、次の5点を実践した。
1 観察の視点を与える
2 観察する前にイメージ図を描き、検討させる。
3 たくさんの気付きが書けるよう観察カードを工夫する
4 観察カードに観察意欲バロメーターを設け児童の様子を把握する
5 観察して分かったことを発信させる
どの活動も時間がかかったが、じっくり取り組むことにより、少しずつ児童は植物への興味関心を高め、成長の仕方について理解を深める姿が見られた。