これまでの面積指導では、公式を用いて面積を求めることはできるが、辺の長さと面積の関係を正しく捉えて面積を求められない児童が多い傾向が見られた。
「単位面積のいくつ分かで表せる量」という面積の概念のもと、暗記に頼らず汎用性のある思考方法による公式の意味理解を目指した学びが求めらている。
そこで、本研究では、長方形への変形に限定して公式を導き出していくという指導を試みることとし、次の2点から研究を進めた。
1 どの図形も面積の公式を導く場面で、三つの長方形への変形にパターン化する
面積を求める公式の指導において、長方形への変形方法を等積・倍積変形により三種類にパターン化した。そして、長方形の縦と横の長さと対応する垂直な2本の直線に着目させ、単位面積の広がりを意識しながら公式を導き出すようにした。
2 求積に必要な長さの視覚化を図る教具の工夫
自由に切ることが可能で、かつ、求積に必要となりうる長さを強調した図形教具を提示した。この教具を操作させ、元の図形と変形した長方形と対応する長さを視覚的に捉えさせ、容易に公式を導き出せる工夫をした。
本研究を通して、多数の児童がどの図形でも垂直に交わる2本の直線を見いだし、その2本の直線の積によって公式を作ろうとする姿が見られた。また、学習後のテストでは、情報過多の問題に対しても垂直な2本の直線を選び、公式を使って問題を解く姿が多く見られた。
面積指導に限らず、共通する見方・考え方や系統性を重視した指導を他の単元でも取り組んでいく必要がある。