式は形式的に処理ができ、一般化を図る手段となるというよさがある。この式表現のよさを進んで問題解決に生かす力を育てたいと考える。しかし、実際の授業では、式が表れると児童によって理解度の差が大きく表れてしまう。また、式のよさを生かすために式のみを用いる活動では、児童にとって難しさだけが強調され、理解度の差も大きくなる。そこで、式をよむ活動において図を関連させて用いる展開を構想し、児童にとって図を足がかりにして式をよむ活動になるように授業を構成する。そのために次の手だてをとる。
1 図と式を関連させてよむ活動を工夫する。
4年「式と計算」では,計算のきまりが図にも示されるようにする。例えば、かけ算の分配法則に関するきまりは、アレイ図を用いると式の関係が見えやすい。問題場面をアレイ図が用いやすい場面に設定し、児童が簡単に図に表し、また、その図をもとにして式化できるようにする。式が表れたら、式の数や演算が図ではどの部分に表れているかをよむ活動を行う。このように、図と式を関連付けてよむ活動を通して,児童は式が問題場面や図に即して表現されていることを理解する。そうすることによって児童は式をより身近なものに感じる。
2 式をよむことが問題解決につながる活動を設定する。
4年「面積」では、問題解決に公式が手段として使われているが、求積できても公式が長方形の縦横の関係を表しているという式の理解が深まっているとは言い難い。
そこで、ある求積の式を提示し、どのような図形の面積を求めた式かを問う問題を設定する。例えば3×5+4×8という式だったら、かけ算の部分「3×5」「4×8」はそれぞれ縦3cm横5cmの長方形、縦4cm横8cmの長方形を想起でき、それらの長方形の和を表す式であることをよめると、二つの長方形の複合図形であることが分かる。このように、式の数の関係をよんで図をイメージする活動を通して、児童は式が図と関連していることや式の表す意味を理解できる。