中学校の地理学習において、地理的事象を意欲的に追求し、地理的特色の理解を深めるには、自分自身の生活や地域での生活を見つめ直す取組が必要である。そこで、日本の諸地域を学習する際に、地理的事象を生徒の生活と比較、関連させることにより、生徒にとって身近な地域教材として意欲的に追求できるのではないかと考えた。今回の授業は九州地方の学習で桜島を取り上げ、桜島が作り出す自然環境が人々の生活にどのように影響しているのかを追求テーマにして、単元計画を作成した。生徒が住む見附市の生活と比較・関連させることにより、九州地方の地域的特徴だけではなく、自分自身の生活や見附市での生活を見つめ直し、自分の生き方を考えてほしいという願いを込めた。その学習過程の中で、九州地方の地理的特色を見附市と比較・関連させながら、より深く理解できると考えた。
以上のようなことから、授業実践を行う中で、工夫をした手立ては次の2点である。
1 単元構成の工夫
①桜島がもたらす自然環境を中核に据え、自然環境と人々の生活を学習する上で、生徒たちが住む見附市と比較させることで相違点や共通点を意識させる。生徒の生活と関わらせることは、学習を深める効果があると考える。
②生徒にとって学習内容をより身近に感じさせ、追求意欲が高まるように、鹿児島市で生活する人に、授業で生まれた疑問を質問する場面を設定する。現地の人の話を聞くことで、暮らしと自然環境をより密接に関わらせたい。
2 生徒の見取りと教師の働き掛け
①授業の終末には学習のまとめと疑問を書くように意識付け、生徒の問いに沿うような柔軟な単元構成を心掛ける。
②3~4人の班で考えを交流した意見や疑問を全体で共有する場面を設定する。
生徒は、桜島がもたらす自然環境が人々に噴火などの災害や農産物や温泉などの恩恵を与えることを理解した。その中で、桜島の生活と見附市の生活を比較することで生まれた疑問を桜島ミュージアムの職員にスカイプを通じて質問をした。その回答によって、さらに理解が深まったり、また新たに考えたことを班やクラスで共有したりすることで、自分自身の生活や見附市での生活のことを改めて見つめ直すことができた。