小学校学習指導要領解説国語編では,国語科の目標の1つとして,「思考力を養う」ことが示されている。解説で,思考力は「言語を手掛かりとしながら論理的に思考する力」とされており,中央教育審議会が示す国語科の改善の基本方針の中にも,その重要性が述べられている。しかし,自学級では,物語文において,会話文の話し手が誰か,登場人物の関係性がどうなっているのかを読み取る問題に弱さが見られた。これは,前述の論理的に思考する力を児童に身に付けさせられていないためだと考える。そこで,次の3つの手立てを通して,言葉を手掛かりに論理的に思考する児童の育成を図ることとした。
1 目的に応じた様々な音読をさせる
中心人物,登場人物の心情や場面の描写,作者の思いを検討するために,それぞれの目的に応じた様々な音読をさせた。実際に声に出して読むことで,どの児童も論理的に思考する体験をさせられると考えた。
2 自分の考えを書く場面で,思考スキルを提示する
前述の音読によって明らかになった課題に対して自分の考えをまとめる場面で,仮定・帰納・対比といった6つの思考スキルを児童に示した。児童が見通しをもてるよう,どの思考スキルであれば自分の考えが書けそうなのか予想させたり,友達の記述を実物投影機で映したりした。
3 ペアやグループ活動を取り入れ,活用した思考スキルや自分の考えを深める
ペアやグループを作り,叙述・活用した思考スキル・自分の考えといった条件を満たして書いているか,活用した思考スキルと自分の考えが整合しているかという観点でお互いの文章を読み合う学習活動を設定した。
論理的な思考は,児童が教材文を読み取る上で重要である。3つの手立てが児童にしっかりと身に付くよう,物語文だけでなく,説明文,言語事項などの学習にも取り入れ,授業実践を重ねていく。