教育データベース

2015.10.21

小学校

国語

平成27年度

読みを深める児童の育成

新潟市立鏡淵小学校 阿部 光智子

児童にとって、物語文を読んで作者の伝えたいことを捉えることは難しい。読後に感想文を書かせてみると、あらすじに終始したり、細部の出来事や登場人物のある側面にのみ感想をもったりと、物語全体を読むことが困難な児童がいる。物語のあらすじ以上に読みを深め、作者の伝えたいことを自分なりに捉えられるような児童を物語文の実践を通して育てていきたいと考え、本研究主題を設定した。目指す子どもの姿は、場面ごとに登場人物の関係を可視化し、登場人物の心情やその変化を読む姿である。そのために、次の2点からその解決に迫った。
1 意図的・計画的な学習課題の設定とまとめ、振り返り
 初発の感想を基に、全文を通しての読みのめあてを提示し、その解決を単元のゴールに位置付けた。各場面でも全文の読みのめあてに関わるものを学習課題とし、まとめていくようにした。それを基に、1時間ごとの振り返りとして登場人物への手紙を書きためさせ、単元末に手紙形式の感想文を書くことをゴールとした。
2 登場人物の心情を可視化する図の活用
 物語文の叙述を基に登場人物の心情を読むことには個人差がある。そこで、人物関係図を使って人と人との関係を叙述をもとに図式化した。図式化とは、登場人物の気持ちを心情円や色矢印で表すことである。このことで、登場人物の気持ちの変化や登場人物同士の関係がどの児童にも理解しやすくなることをねらった。
 これらの実践を通して、登場人物の気持ちを色分けすると、視覚的に分かりやすく捉えることができた。さらに円グラフの色の変化や矢印の長さで表していくと、全文の中で気持ちが大きく変化するところや気持ちの程度の変化を読むことができた。また、 可視化した登場人物の関係図とともに、「読みのめあて」に関わる働き掛けを計画的・意識的にしていくことが読みを深めることにつながることとなった。
 どの児童にとっても分かりやすく、読みを深めるような物語文への関わり方を今後も研究していく。