これまで担任してきた学級の中に、いつも気になる児童が存在する。それらの児童は共通して、学校生活で他者との関わりがうまくいかず悲観的になり自分の殻に閉じこもったり、逆に攻撃的な言動をしたりしていた。このような経験から、私は、対人関係における児童の「自己肯定感」を育んでいく必要性と重要性を身をもって実感してきた。
そこで、本研究では自己肯定感を「自己の存在や言動、他者からの支えや受け入れを肯定的に感じる感覚」と捉え、児童の対人関係における「自己肯定感の育成」を目的とし、研究を進めることとした。
文部科学省は9歳以降の小学校高学年の児童の重視すべき課題の1つとして、「自己肯定感の育成」(2009)を挙げている。私は中学年においても、これから迎える思春期に向けて、自己肯定感を現段階から育んでいきたいと考えた。
研究を進めるに当たり、客観的・多面的に児童の内面を理解する手立てとして学校適応感尺度アセスを活用し、支援の手がかりを探ることとした。具体的には、アセスの結果を手がかりに、児童を見立て直し、児童の行動に対する価値付けや振り返りといった、情緒的発達に目を向けた教育相談的アプローチによる予防的介入を試みる。
本研究では、個別の教育相談的・予防的介入が児童の自己肯定感や学校適応感にどのような効果をもたらしたかについて考察する。