職業学級では、企業就労に必要な力を身に付けることををねらい、「接客」の学習を設定している。飲食店の従業員の方をゲストティーチャーとして招いて、ホスピタリティの重要性等、接客の心得について指導を受けた。ホスピタリティとは「お客様、スタッフのために考えて行動すること」であり、そのことをキーワードとして指導を進めた。生徒には、マニュアル通りの基本的な技術で接客すれば良いだけではなく、表情や声のトーン、気遣いなど、相手のことを考えた言動が大切であることを強調した。本研究では、ホスピタリティを意識して相手の立場に立った行動ができるように、接客行動と接客意識という視点で、主な支援方法を以下のように構想した。
1 ファシリテーショングラフィックの活用(接客行動)
接客行動の改善に向けて、プレオープン時のアンケートを基にファシリテーショングラフィックを行った。事前に意見を付箋に記入する時間を設けたり、アンケート結果の一覧を参照用に配付したりする等、生徒が参加しやすいよう工夫をした。適宜、話合いのポイントを示すことで、全員で方向性を共有しながらお客様への接し方やスタッフ同士の連携等の改善につなげることができた。
2 自己評価カード「ホスピタリティカード」の活用(接客意識)
①「お客様の気持ちを考える」→②「行動に移す」→③「お客様がどのように感じたかを聞く」→④「振り返り」の順に自己評価を進められるカードを作成し、自己評価を行うとともに、生徒同士でも評価を行うようにした。お客様に喜んでもらいたいという意識が高まり、ホスピタリティの向上につなげることができた。
相手の立場を考えることは、特別な支援を要する生徒には難しい面はあるが、今後も本実践の成果を生かしながら支援の工夫を続けていきたい。