新学習指導要領では、PISAや全国学力調査の検査結果から各教科において児童の「思考力・判断力・表現力」にはまだまだ課題があると述べている。そこで本研究では、理科の観察・実験などを通した問題解決活動において、問題の解決までを見通し、科学的思考力と表現力を育成するために、ICTを用いる。事象に対する予想から実験、結果をまとめ考察する場面にICTを用いることにより協働学習での言語活動にどのような効果があり、科学的思考力や表現力が高まるのかを検証する。
今回のテーマは「みんなが分かる学習活動を支える授業の情報化」である。今後ICTの中でもタブレットの導入が進むことを見据え、どんな場面でどのようにタブレットを活用すればよいのかを考え、2年間実践を進めてきた。
昨年度の実践ではグループに1台のタブレットを配付した。主に既習事項や生活経験を生かして予想をさせる場面と実験結果をもとに考察する場面において、タブレットと大型液晶テレビなどのICT機器を用いた。成果として児童への事前事後アンケートの結果からICTを用いると学習に対する意欲が向上したり、学習内容の理解が深まったりするなどの効果が見られた。また、実験においてタブレットを使うことにより、役割分担が明確になり、主体的に学習に取り組める効果も明らかになった。課題として、事前事後のアンケート結果からでは、児童の思考力の高まりや児童がねらいを達成できたかどうか実態が今一つ把握できなかった。
そこで、今年度は児童一人一人の思考力の高まりをみるために事前事後にコンセプトマップを取り入れた。また、児童が自分が決めたねらいを達成できたかをみるために毎時間ごとの能動的自己評価(ASE)を取り入れることにした。
デジタルとアナログの比較をするため、①タブレットを中心に使用するクラス②コンセプトマップを中心に使用するクラス③ノートを中心に使用するクラスの3つのパターンに分け実践を進めてきた。
教科等研究セミナーでは、ICT・コンセプトマップ・ノートのそれぞれの使用時における児童の科学的思考力・表現力の高まりについて能動的自己評価やアンケート結果をもとに発表する。