応用行動分析は,行動の前後の出来事に着目することで,人の行動を変容させたり, 新しい行動を教えたり,不適切な行動をなくしたりといったことが可能である。これまで,多くの研究によって科学的に示されてきた。 職員や友達が嫌がる行動を故意に起こす子供に対して,応用行動分析に基づき,以下の支援を行い解決を迫った。
1 不適切行動から適切な代替行動への置換
対象とした子供は,職員や友達の注目を集めるために,不適切な行動をとっていた。そのため,話すきっかけとなるスキルを身に付けることができれば,適切な注目の引き方を獲得でき,問題行動は減少すると考えた。
2 問題行動以外の行動をしているときに注目する
対象とした子供にとっては,注意をされることも楽しいかかわりの一つとなっている様子が見られた。このことから,正しい行動をしたり,集中したりしている場面をたくさん見付け,即時的に称賛するようにした。教師が子供の良い行動に注目し強化していくことで,対象とした子供は,問題行動を意識しなくなるのではないかと考えた。
問題行動は,子供が内面に抱えている要求を,実現できないことで出てくる行動だと考える。問題行動の消去のみを指導の目標にするのではなく,問題行動を必要としない子供の内面を形成していくことを大事にしていきたい。