教育データベース

2015.01.23

理科

平成26年度

科学的思考力を高める理科授業のあり方

小千谷市立小千谷中学校 篠田 英

 当校では昨年度より県中教研理科の研究指定を受けており,「学び合い」の研究(授業)を進めてきた。その研究指定を受けて私の授業を見つめたとき,「かかわり合いを通して生徒の思考力を高める授業」が自分の課題であると考えた。そこで,県中教研理科で定めた「学び合い10」の中の「理科学び合い5」という項目において,予想及び考察を交流・検討する場面に焦点を当て,研究テーマに迫ることとした。
1年目:根拠をもとにした予想理由の検討
 1年生への指導の折,「根拠→理由→予想」という三段階の思考過程を経る,いわゆる「理由付けチャート」を使っての交流授業を多く盛り込んだ。そのうち状態変化の単元で,「ベンゼンとパルミチン酸は,固化すると体積はどうなるか」という課題解決学習を公開した。水とロウの固化について習得させた後,その既習事項をもとに考えるというものであった。大半の生徒が「ベンゼンは増え,パルミチン酸は減る」という間違った予想を立てたが,最終的には正答を出した生徒の説明に納得し,全員が理解を深めることができていた。
2年目:結果をもとにした考察の意見交換
 2年生への指導の折,「科学的な現象のモデルを,日常の例を使って考え交流させる」という授業を多く盛り込んだ。動物の消化単元で「小腸の半透膜は,糖は透過しデンプンは不透過である」という現象を,まず粒子モデルで表現させ,その後に「このモデルのように,大きいものは通さず,小さいものは通すという日常例はないか」を考えて交流させる授業を公開した。日常例を探すことにより,得手の生徒は更に自分の思考を深化でき,不得手な生徒も日常の例がヒントとなり,小腸での吸収の仕組みを理解することができていた。
 私は「学び合い」を,単なる教え合いではなく「様々な意見交流を通して,自分自身の考えを深化させる姿」と捉えている。このような過程を経て,最終的には生徒自身の思考力を高めることが大きな目標であり,それを達成することができた。