小学校学習指導要領解説理科編では,児童が見通しをもって観察・実験を行うことや観察・実験の結果を整理し考察する学習活動の重要性が指摘されている。そのためには,児童が自然の事物・現象に親しむことによって問題を見いだし,予想や仮説をもち,それらを基にして観察,実験などの計画や方法を工夫して考えることが重要である。
しかし,実際の授業では十分に児童が自然の事物・現象に親しむことは難しく,問題を見いだせないまま教師主導の観察・実験を行うことも少なくない。その結果,児童が調べたい,確かめたいといった問題に対する必要感をもたないまま観察・実験を行ってしまうことも多く,結果から考察をまとめることができない児童もいた。
そこで私は児童が自然の事物・現象に親しむ時,児童が見通しをもちやすいように,単元を通して解決をしなければいけない問題「ゴール」を設定した。また,「ゴール」に行き着くまでに解決しなければいけない問題「ハードル」を意図的に設定し,児童自身が問題を見いだせるよう支援した。
小学校5年生「電流のはたらき」の単元において,「ゴール」として「釣りゲームを完成させよう」という課題を与えた。教師側で「釣りゲーム」を用意し,それを完成させようと呼びかけたのである。さらに,そこに至るまでに「ハードル」として意図的に弱い電磁石を示すことで,児童は自ら問題を見出し,互いに話し合ったり,問題を確かめる実験方法を自分で考えたりするなど見通しをもちながら,観察・実験に臨み,結果から考察を自分の力でまとめることができた。