研究仮説
実際の観察が困難であったり推論する難しさがあったりする現象について,モデル図を使って話し合うことで,現象の根拠を説明できるだろう。
平成24年度の全国学力・学習状況調査の結果から,観察・実験の結果などを整理・分析した上で,解釈・考察し,説明することに課題が見られることが明らかになった。また,無回答の理由の中では,「問題の意味はわかったけれど,学習したことを忘れてしまった」と答える児童が62.6%と一番多く,学習内容の定着が一時的であると言える。次の3点からその解決に迫った。
1 イメージ図からモデル図への練り上げ
不可視の現象や観察が困難な現象を扱う単元では,不可視のものをイメージする力が大切である。そこで,最初からモデル図を提案するのではなく,児童からイメージ図を表出させ,話し合いの中でモデル図へと練り上げていった。モデル図とは,児童が考えを交流しやすいように,表し方を共通化した図である。
実際には,電流のイメージが線やビリビリ,カミナリマーク,電気くんとバラバラだったものを説明ができるように,電流の数で表すことのできるカミナリマークに共通化した。
2 モデル図を用いて根拠に基づいた説明ができるようにする
問題解決学習において,実験や観察の結果から結論が導き出せても,その根拠が見つからなかったり,「どうして?」と疑問が残る場合も少なくない。児童がその疑問を解決し,説明ができるように,モデル図を活用する。
実際には,電磁石の巻き数が増えた場合,電流の強さが変わらないのに電磁石が強くなる説明を,カミナリマークの数を根拠に磁力が集まってくる様子を説明した。
3 モデル図の説明と実験装置を結び付ける活動
モデル図の説明だけで終わると,本当に実験装置で同じようになるのか,実感をもちにくくなってしまう。モデル図の説明の後,再度実験をして,イメージしたものが実際の実験でも当てはまることを確認した。
本実践では,モデル図を活用することにより88%の児童がコイルの巻き数を増やすと電磁石が強くなる現象を,根拠をもって説明することができた。