現在、社会的に、ノーマライゼーションという視点が広がってきている。内容に福祉が例示されている総合学習の役割として、高齢者や障害者の方々と、どのようにかかわっていけるのか、自己と向き合い考え、行動できる子どもの姿を求めていくことは重要である。このような姿は、その方について知り、かかわり方について考えながら、交流を重ねることで、段階的に育ってくるものと考える。そこで、相手意識と、かかわるための具体的な視点をもたせ、交流させることが大切である。
このことから、本実践では、以下の二つの手立てを考えた。
一つ目は、相手意識をもてるようにするために、交流で得られた入所者の方の情報を整理・分析させることである。交流で、子どもはたくさんの情報を得られるが、それは相手の見方が漠然とした状態であるため、相手を捉えることに結び付いていかない。そこで、単元の導入段階では、入所者の方全体を意識した情報の整理・分析、展開段階ではより個人に焦点を当てた情報の整理・分析を、交流後に行う。これにより、段階的に相手意識をもてるようにする。
二つ目は、入所者の方とどのようにかかわればよいのか、その視点を得られるように、施設職員の方を活用することである。子どもは、普段かかわることが少ない入所者の方との交流に、不安感や困り感をもつことが予想される。そこで、施設職員の方に、入所者の方をどのように捉えればよいのか、かかわる上で大切なことはあるのか、などについて話してもらう。これにより、かかわるための具体的な視点をもたせ、交流に臨めるようにする。
上記二つの学習活動を、交流と交流の間に位置付けることで、他者のことを考え行動できる子どもが育つと考えた。