本研究では,電磁調理器による加熱の仕組の謎に生徒が挑戦する形で授業を行った。授業の展開に言語活動を活用し,科学的な思考を深めたり,表現したりする機会を多く設けた。発電機の仕組,誘導電流,直流・交流の性質,電流による発熱等,言語活動の基礎となる思考に必要な知識を効率的に復習し,考えの深化を促した。
電池がないのになぜ豆電球が光るのかを,個人思考→集団思考の流れで推論させ,今まで考察したことを説明するために,既習の知識を基に発表することが概ねできていた。今回の取組は,既習の知識・技能を活用し,科学的な思考力・表現力を高める取組みとして有効であったといえる。
生徒は,電磁調理器を用いての学習場面で3回の言語活動を行うことで興味・関心を持つことができた。また,実験の準備や片付けに積極的に取り組み,目の前で起こる現象について深く考えようとする姿が見え,その原理を追究しようとする姿勢が見られた。学習指導要領における弾力的運用の時間を利用して,生徒にじっくりと電流や電磁誘導について考えさせる時間をとったのだが,改めてその大切さを認識させられた。今後も全ての単元においてじっくりと考えさせる授業を仕組み,科学的な思考力・表現力を高めさせるために,日々の授業を効率的に行うことも必要であると考えた。