中学校社会科学習指導要領の地理分野では,「日本の様々な地域の指導に当たっては,地域の特色ある事象や事柄を中核として,それを他の事象と有機的に関連付けて,地域的特色を追究するようにすること」とあり,改訂の要素の一つとして,動態地誌的な学習による国土認識の充実が求められている。
そこで,日本の諸地域の学習において,各単元の中核となる資料を計画的に提示し,それに基づいた思考の場面を大切にし,発問を工夫することで,動態地誌的な学習を可能とし,思考力・表現力を育成することができるだろうと考え,実践を進めた。
実践に取り入れた,具体的な方策は以下の3点である。
① 日本の諸地域の学習における各地方の考察の視点及び,とらえさせたい地域の姿が明確となる資料を精選し,意図的・計画的に単元に盛り込む。
② 日本の諸地域の全単元を貫く共通の学習活動と,地域ごとの考察の視点に基づく学習課題を設定する。
③ ファシリテーションを主に,主体的な意見交流・考察のまとめの場面設定をする。
検証では,個人のワークシートの記述分析及び,ファシリテーションによるグループ討議の記述分析を行った。成果としては,与えられた視点から考察を深化させることができた。一方,課題は生徒自身が問題意識を持った主体的な学習活動とならなかった点である。この点について今後さらに研修を進めていきたい。