めまぐるしく変化する今日の時代を生き抜くためには,子どもたちが社会の現状や問題点を正しく把握して,自分がどうすべきかの判断を適切にできる力を身に付け,行動してほしいと願っている。不可欠な力が時代の流れを読み取った根拠ある判断をもとにした主体的に行動しようとする提案力であると考える。その力を高めるためには,現在と過去の事象についての因果関係を追究することで獲得する知識や現状把握をもとに,そこから未来への正しい自己表現をする経験が大切だと考える。
社会科指導に,過去・現在・未来の3つの場面に分けて取り扱う活動と場面を結び付けるために人々がどのように取り組んできたのかを考えたり,知ったりする活動を取り入れることで,これからの自分がどのように行動しなければいけないのかを提案する場を設定する。そうすることで,これからの社会を主体的に行動しようとする未来への提案力※1(公民的資質の基礎)を身に付けることができると考える。
以下の2点から実践的な研究を行う。
①過去・現在・未来を結びつけて考えるために,どのような学習課題が目指す提案力を高める上で有効か。
②未来につながる効果的なアイデアを提案する場はどのようなものが有効か。
研究単元は5学年の農業と漁業とする。どちらも,従事者の努力や工夫が多く見られるものの,現状に課題があり,持続可能な産業を目指している。そのような単元で,子どもが従事者・消費者の立場に立ち,よりよい社会に向けて考えていくことは,未来への提案力を高めるために適切である。
このように,教室と社会とを結び付けて,社会参加したいという意欲を大切にしていきながら目指す力を高めていく。
※1…10年後を未来とし,これからの社会をどのようにしていくかを思考・判断し,よりよいものを提案する力
<参考文献>
子どもの社会参加と社会科教育~日本型サービス・ラーニングの構想~ 唐木 清志 著 2008