叙述に即して文章を読むことは,物語文を読んでいく上で大切なことである。しかし,時系列で語られることの多い教材文の読解は,内容の読み取りに終始してしまう傾向がある。このような指導では,児童に他の作品を読むための力を付けていくことは難しい。他の作品で活用できる読みの力を育てるためには,物語文の読み方を教えなければならない。
例えば,物語の構造を理解することで,児童は物語の展開を予想しながら読むようになり,予想と結末の違いを楽しむ習慣を身に付けていく。このように,考えながら物語を読むことは解釈の深化につながり,児童の読解力を向上させていくと考える。そこで,筑波大学附属小学校白石範孝氏の実践である「逆思考」を取り入れた読解指導を参考に,以下の仮説を立てて実践を行う。
研究仮説
思考ツールとして,逆思考を活用しながら読解することで,児童の論理的思考力は高まり,読解力が向上する。
逆思考とは
中心人物の心情変化の原因を読み取っていく活動である。結末部分をスタートとして,冒頭部に向かって「なぜ,そのように変化したのか。」を叙述を根拠としながら考えていく手法である。
実践の概要
① 4年生「3つのお願い」の読解指導において逆思考を取り入れた読解活動を行う。
② 5年生「大造じいさんとガン」の読解指導において,児童が自力で逆思考を成立させるための手立ての有効性を模索する。
<参考文献>
白石範孝の国語授業の教科書 東洋館出版 白石範孝 2012