近年,偏った栄養摂取,朝食欠食など食生活の乱れや肥満・痩身傾向など,子どもたちの健康を取り巻く問題が深刻化している。子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう,学校においても積極的に食育に取り組んでいくことが重要である。
当校でも,朝食を食べてくる子どもの割合は,ほぼ100%に近いが,朝食にラーメンや菓子パンしか食べてこないなど質的な問題があり,望ましい食習慣の形成に努めなければならない現状がある。
このような実態を受け,庄瀬小学校では,「家庭と連携した食育の推進」を柱に子どもたちの食生活の改善に取り組んできた。具体的には,「弁当の日」を設定したり,生活科,総合的な学習の時間等で野菜や米作りに取り組んだりしてきた。また,栄養教諭と各担任が連携して定期的に食に関する指導も行ってきた。しかし,子どもたちは,望ましい栄養や食事をとることの大切さは感じることができても,実際の食生活の改善にはなかなか結びついてはいないという課題が残った。
この課題の解決策の一つとして,今年度は,日本初の公立「教育ファーム」として6月に開園した新潟市南区のアグリパークでの農業体験学習(アグリスタディ・プログラム)を活用することとした。アグリパークで野菜を実際に採ってみる,牛の世話体験や家畜農家の方のお話を実際に聞いてみる,ソーセージを作ってみる体験を通して,子どもたちは,生命の仕組みや生産の工夫を直に学ぶことができた。この体験こそが,「食育」の根底を支える,食べ物を大切にする心や生産にかかわる人へ感謝する心を今以上に育み,食べること,生きることの意味を自分事としてとらえ,自ら主体的に食生活の改善を図ろうとする子どもを育てると考え,実践に取り組んだ。