中学校において,学級は教育活動を進める上で,重要な集団の1つである。学級への不適応は一般的に,学級集団あるいはその成員である級友や教師との関係において,親近感,満足感,帰属感をもつことができない状態として捉えられている(越,2007)。つまり,学級への適応にはその成員との関係が影響するといえる。特に新潟市では,「多面的な幼児児童生徒理解に基づく,一人一人の幼児児童生徒と教師の信頼関係を基盤に『自立性』と『社会性』を育む教育を推進する」としている。さらに「幼児児童生徒一人一人の『目指す姿』や具体的方策を明確にした個別の指導計画等の作成により,一人一人の力を着実に高める教育活動を推進」するとしており(新潟市教育委員会,2013),教師の生徒一人一人の理解とその対応が求められている。本研究では,担任学級においてQ-Uテスト,ASSESS(Adaptation Scale for School Environments on Six Spheres)を複数回実施し,学級集団と一人一人の生徒の状況を把握する。その中で,教師との関係,教師サポートに注目し,担任教師が日々実践している学級便り,ファシリテーショングラフィック,教育相談との関連を検討する。また,学級内の不登校生徒及びその保護者への対応,外部機関との連携を通した担任教師の対応について考察する。
<文献>
河村 茂雄・小野寺 正巳・粕谷 貴志・武蔵 由佳・NPO日本教育カウンセラー協会(2004).Q‐Uによる学級経営スーパーバイズ・ガイド 中学校編.図書文化.
栗原 慎二・井上 弥(2012).アセスの使い方・活かし方.ほんの森出版.
越 良子(2007).中学生の所属集団に基づくアイデンティティに及ぼす集団内評価の影響.上越教育大学研究紀要,26,357-365.
新潟市教育委員会(2013).平成25・26年度「新潟市の学校教育の重点」.