地域と学校パートナーシップ事業のパイロット校としてスタートした当校においては、あらゆる活動で地域の方々に参加(参画)していただいている。そんな学校ではあるが、児童の中には、長年お世話になっている方の名前を覚えていなかったり、失礼な振る舞いをしたりするなど、地域の方に対する思いが今ひとつ見えてこない姿が見られる。児童と地域が多くの場面でかかわっており素晴らしい学校に見えるのだが、もっと児童の地域に対する意識を高め、お互いにとってよりよいかかわり方をしていけるようにしたいと考えた。
児童には、自分たちのアンケート結果を見せることで、自分たちの実態を知り、どうしていくべきかを考えさせた。すると児童からは、「これまでの感謝の気持ちを形にしたい。」という声が挙がり、年度末の「卒業を祝う会」を「感謝会」に変えて、計画を立てることになった。教師は、児童が考えた活動へのアドバイザーに徹しながら、コーディネーターと連携して、地域の方々への参加を働きかけた。案内状を配布しながら、今回の活動の趣旨を説明してもらうなどして、可能な限り参加していただけるように声をかけたところ、案内状を送ったうちの約9割の方から参加いただくことができた。
活動後、児童にいくつかの変容が見えた。感想作文には、地域の方々の名前がしっかり書かれていたこと、そして、「地域に出かけて、清掃活動をしてきたい」といった、地域に対して自分からアクションを起こしたいという思いをもつようになったことである。一方で、このような心の耕しは、卒業間際にやるのではなく、もっと幼い頃から継続して行うべきだ、という声を、同僚からもらった。まったくその通りであり、こうした取組について、全校体制で取り組んでいくための組織作りをしていくことが必要であるという課題も見えた。