教育データベース

2014.10.24

小学校

道徳

下越

平成26年度

道徳性検査を生かした授業づくり 

阿賀町立津川小学校 田中 一史

近年、日本の子どもたちの道徳性の低下が指摘されている。総じて、自己中心的で、偏った(あるいは一元的な)価値観に止まる傾向がみられる。もっと多元的な価値観の存在に触れ、自明の価値観とは異なる価値観も尊重しようとする意欲や態度が望まれる。また、現在、道徳の教科化が議論されている。教科は、①免許をもった教師がいて、②教科書があり、③子どもの学びを数値等により評価するが、領域にはそれがない。道徳の教科化に際し、①は学級担任が、②は検定教科書が導入されることとなりそうだが、③については「数値評価は行わないものとする。」とされただけで、今後の研究課題となる。このような現状を鑑み、次の2点を明らかにすることを本研究の目的とした。
(目的1)自明の価値観と異なる価値観を尊重し、配慮した行動選択ができる児童を育成する道徳の時間はどうあるべきか。
(目的2)道徳の教科化を見据え、児童一人一人の道徳性の評価と指導はどうあるべきか。
 具体的には、東蒲原郡内4校を研究校とし、次の3つの流れで実践し、各校の児童の変容を追うこととした。
(1)道徳性検査を実施し、児童の道徳性の傾向を把握する。
(2)道徳性検査の結果から、ターゲットとなる児童を抽出する。
(3)ターゲットの道徳性の傾向を考慮したモラルジレンマ授業を実施する。
 実践の結果、(1)~(3)のような授業づくりは、児童の道徳的心情や判断に影響を与えることを確認できた。さらに、自明の価値観とは異なる価値観の存在に気付きやすくなることも確認できた。つまり、本研究のように児童の道徳性の傾向に直接働きかける授業は、児童の道徳性の発達に影響を与える可能性が高いと言えそうである。このことは、道徳の教科化においても、評価と指導の一体化が重要であることを示唆していると言える。これからの道徳の評価方法の一つとして提案したい。