教育データベース

2013.09.26

中学校

体育・保健

新潟

平成25年度

生徒の多様な考えを導き出す学習過程の工夫

新潟市立白根北中学校 坂井 孝行

私は,生徒自身が運動の目的や意味,どうしたら技能を高められるかを理解し,主体的に運動に参加する保健体育授業づくりを目指している。そのために,ファシリテーション・グラフィック(以下FG法)を活用し,生徒一人ひとりの多様な考えや思いを導き出し,整理して論点を明らかにしていく活動を学習過程の場面に取り入れることが有効であると仮説を立てた。したがって,保健体育授業におけるFG法の有効性と活用方法について研究する。

 生徒の実態としては,保健体育授業についての生徒アンケート結果において83%の生徒が「授業に意欲的に取り組んでいる。」と回答している。しかし,運動が得意・不得意の二極化がはっきりとしており,身体能力的に優れ,発言力が大きい生徒だけが中心となって活動が成り立っているという様子が随所に見られる。さらに,コミュニケーション能力が低く,他者とかかわり合うようなグループ活動を好まない生徒が多い。また,96%の生徒が「授業内容はわかりやすい。」と肯定的に回答しているが,運動の目的や意味や方法について問うと多くの生徒が十分に理解しているとは言えない実態がある。どちらかというと,受け身の生徒が多い。これらの生徒の実態を踏まえて自己分析すると,教師主導の詰め込み型の授業展開となっており,生徒が本当の意味で十分に理解していないままの状況で課題設定がなされている場合が多かった。そして,与えられた技能や知識を活用し,課題達成に向けて生徒達が運動をこなしているだけにすぎない授業展開が繰り返されているということが推測される。

 この自己分析結果より,生徒一人ひとりの考えや思いを引き出す中で,問題意識を喚起し,課題を共有化する。それにより,主体的に運動にかかわろうとする意欲を高め,基本的な技能や知識の習得を目指す。保健体育授業の学習過程でFG法を効果的に活用するために,子ども同士が主体的にかかわり合いながら言語活動(話す・聞く・書く・読む)をするスキルを身につけさせること。また,自分の考えや思いを気兼ねなく表出できる,良好な人間関係づくりを構築することも視野に入れながら丁寧に指導していきたい。