学力向上は新潟県の最重要課題である。課題解決のためには、生徒の実態に基づいた有効な学力向上対策を立て、全校体制で組織的に取組を進めることが重要である。
私は、学力向上を、①学習内容を確実に理解すること、②自ら学ぶ力を身に付けることと捉えた。学習内容を確実に理解するということは、授業で学習したことが分かり、家庭学習(復習や反復練習)によって理解度や確実性を高めるということである。自ら学ぶ力とは、自分に必要な学習内容を考え、計画を立てて学習を進める力である。それを毎日継続し、繰り返すことによって学力は確実に高まってくる。この考えに基づいて、授業改善と家庭学習の定着を図る支援を両輪とした学力向上対策を、全体体制で組織的・継続的に進めてきた。
授業改善の取組では、学校全体で目指す授業像を『小池中授業モデル』として示し、全教科でモデルに沿った授業を実践した。授業モデルでは、①教師が動き・生徒を動かす(頭脳や体、言葉)こと、②授業を途中で終わらせないこと(完結型の授業)の2点を特に重視した。授業の終末段階で、まとめと振り返りの場面を設定することは、授業を完結させるとともに、授業と家庭学習を滑らかに接続することにもつながる。
家庭学習の定着を図る支援では、『長善タイム』を教育課程に位置付け、毎日終学活前の15分間を設定した、長善タイムは、その日の授業内容を生徒自らもう一度振り返り、それを受けて自分で家庭学習の計画を立てる時間である。さらに、家庭学習では全校生徒に自主学習ノートを活用した自主学習に取り組ませた。長善タイムを使って自分に必要な学習を考え、自分で計画を立てて自主学習に取り組む。これを継続することにより、自主的・主体的な家庭学習が定着し、生徒が自ら学ぶ力を身に付けていく。
このような授業改善と家庭学習支援の取組を継続してきた結果、全校生徒の家庭学習の定着率が常に高い割合で維持できるようになった。また、学力検査やWeb配信診断問題の正答率も学校の目標値を恒常的に超えるようになった。さらに、取組を通じて教職員の学力向上に対する意識や協働意識が高まるというプラスの波及効果も表れてきている。取組をとおした課題も明らかになってきた。今後も課題の改善を図りながら、自校の実態に基づく全校体制による学力向上対策を推進する。