教育データベース

2013.09.26

小学校

学校づくり

中越

平成25年度

職員一人一人の授業改善に向けた研修システムの工夫

長岡市立阪之上小学校  矢嶋 義宏

 時代が求める学力、現代的な課題を受けての授業を模索し、提案していく姿勢が求められている。言語活動の充実を図り、思考力・判断力・表現力等をはぐくむことを重視している学習指導要領の趣旨を踏まえ、各自が専門性を生かして授業改善を図り、提案していくことが大切であると考える。研究主任は、そのための研修体制をしっかりと整えていくことが使命である。
 そこで本実践では、「個人研修テーマ」に基づく研修システムを構築していくことを中核に据えた。「個人研修テーマ」とは、学習指導上の課題とそのための教師の主張、具体的な手立ての3点を記述した研究計画である。年度当初に職員一人一人が「個人研修テーマ」を作成し、その提案に基づいて授業公開するとともに、日常の授業の中でも実践を積み重ねていく。その中で、テーマの微調整や実践の修正を重ねながら、さらに研究としての改善を図っていくのである。研究主任は、それぞれの職員の研修テーマの作成から、実践、実践のまとめまで、要請に基づいてかかわっていく
 このような方法で研修を推進していくに当たり、次のような方策を講じた。
(1) 各自の研究教科を窓口にした研修とすること
 「個人研修テーマ」で取り上げる教科・領域は、校内として特定の研究教科に絞らず、各自の研究教科とする。それぞれの専門性を生かすことで主体的な取組を促すとともに、それまでの研究実績に支えられた、より提案性の高い研究となるようにする。とくに国語や算数を専門とする職員は、全国学力・学習状況調査やNRT学力検査、Web配信集計問題等の結果分析を生かして提案するなど、実効性の高いものにしていく。研究主任は、作成の資料となる各教科・領域の動向について、各種通知や雑誌等から随時職員に情報提供する。
(2) 個人研究を支える協力体制と指導体制を整備すること
 学年部(各学年部5名)を研修の母体とし、学年部研推が主となって授業研究を進める。研究主任は、各学年部の部会に参加し、各教科・領域の動向が意識された実践研究となるように助言する。また、公開授業(年15回)では、毎回外部指導者を招へいする。授業とともに、それぞれの「個人研修テーマ」に基づいて各教科・領域の最新の考え方について指導を受ける機会とする。
(3) 研究の成果を論文としてまとめ、評価を得ること
 毎年、校内で研究紀要を作成し、個人研究の成果をまとめるとともに、2年に1度長岡市の研究論文に応募する。執筆に当たっては、教頭、教務主任、研究主任が個別にかかわり、それぞれの研究の主張を補強・修正していくようにする。
 このような研修システムで研修を推進していく中で、全国的な教育雑誌への執筆、長岡市の研究論文の入選など、多くの職員の研究を評価していただくことができた。また、それぞれの専門性を生かした研究に深くかかわることで、互いの研究に学び合うことにもつながっている。昨年度の研修では、言語活動の充実を図りながら子どもの問題解決を促すためには、互いの考えを可視化する教材を開発することが大切であると確認され、多くの教室で日常的に工夫されるようになってきた。年度末の職員アンケートでも「自分の課題解決に向けた授業改善に努めた。」の項目において、すべての職員が肯定的評価をした。職員一人一人が授業改善に向けた具体的な取組を明確にし、新しい教育に向けての授業づくりにひたむきに取り組んでいる。
 今後は、それぞれの研究の成果を学校全体として共有し、日々の学習指導にさらに生かしていけるように、新たなシステムを構築していくことが課題である。