PISAのデジタル読解力の調査(2009年)では、日本の子どもたちは学校の教科学習においてコンピュータをあまり使用していないという結果が報告された。コンピュータ室への移動や普通教室での準備に時間がかかるためである。一方で教育環境に,タブレット型端末の導入が始まった。タブレット型端末は可搬性に優れ,教室でも校外でも使用できる。また,ボタン一つですぐに起動し,準備に時間がかからない。日常の学習では使用しやすい。
そこで,理科における観察画面においてタブレット型端末のカメラ機能とビューア機能を活用する実証研究を行い,その効果を検証した。グループの話合いの中で発言数が増えたり,観察対象の特徴をとらえた言葉が表出したりする効果と、学習の満足度が高まる効果を
,児童へのアンケートと話合いの様子の分析をもとに明らかにした。
その結果,デジタルカメラを活用した話合いとタブレット端末を活用した話合いでは発言数に違いがあることや,タブレット型端末を活用すると観察対象の特徴をとらえた言葉が表出する効果があることが明らかとなった。また、学習の満足度が高まる効果も明らかになった。
【参考文献】
小学校学習指導要領 文部科学省 2008
小学校学習指導要領解説総則編 文部科学省 2008
小学校学習指導要領解説理科編 文部科学省 2008
OECD生徒の学習到達度調査(PISA2009)「デジタル読解力調査」国立教育行政研究所 2009
「新訂ユーザーのための教育・心理統計と実験方法」 田中敏 山際勇一郎 1992