社会の情報化が進む中,子どもたちがパソコンや携帯電話などを活用する場面が増えてきている。簡単に情報を取り入れたり,共有したりすることができ,授業での学習効果が期待できる反面,情報モラルの育成が十分にされていない現状がある。学習指導要領において,道徳や学級活動をはじめ,全教育課程において情報モラルを指導することが位置付けられている。
そこで,子どもたちの実態を踏まえながら,以下の手だてを用いて,実践を行った。
1 「情報モラル指導モデルカリキュラム表」の見直し・修正
既存の「情報モラル指導モデルカリキュラム表(JAPET作成)」を基に,各学年の指導内容に適する教材(デジタルコンテンツやソフト)を洗い出す。
2 情報モラルに対する意識が持続し,実践力がより発揮できるような指導の工夫
指導内容に対する正しい情報モラルを身に付け,実践力が効果的に発揮できるように,指導時期や時間などを弾力的に設定し,指導する。
2つの手だてから,既存のモデルカリキュラム表を見直したことで,指導内容をどの学年で,どんな教材を用いて指導したらよいかを明確にすることができた。情報モラルの指導に結び付く具体的かつ実践的なモデルカリキュラム表となった。また,発達段階に応じて,指導する内容を精選したことで,指導に適切な時期や指導時間などの妥当性を検証することができた。
情報モラルの指導においては,何か問題が起こってからの対処療法的な指導に陥りがちである。だが,正しい情報モラルを身に付け,実践力へとつなげていくには,問題行動を未然に防ぐための先行指導的な授業も取り入れ,有効な教材を用いながら指導することが必要である。