「学校でやっていることが卒業後どれだけ生かされるか疑問だ。」 この言葉は、昨年の作業学習保護者説明会後に、保護者にアンケートをしたときの意見である。
特別支援学校高等部を卒業すると、ほとんどの生徒は社会人として働きながら生活を送ることになる。当校在籍の生徒は、多くの介助を必要とする生徒から企業就労を目指す生徒まで実態に幅があり、生徒の実態が「3極化」している。そのため、学習内容を生徒の実態に合わせて取り組む必要がある。
そこで、従来行ってきた「作業学習」の在り方を見直し、社会情勢や多岐に渡る進路先の状況を見据えながら、生徒の実態や進路希望先に合わせた類型化された「職業生活」を立ち上げた。「職業生活」の学習グループ(職業班)を3類型4区分(Ⅰ類型:生活自立型、Ⅱ類型-1:作業基礎型、Ⅱ類型―2:作業自立型、Ⅲ類型:職業自立型)に分類し、7つの班(環境エコ班、資源・回収班、ものづくり班、まき農班、委託班、クリーンサービス班、職業自立班)に改編した。実態別にグループ編成した作業内容の設定、所属班を決めるためのアセスメントの実施、地域や企業と連携した取組(自動販売機を活用した学習、毎週水曜日に実施のデュアルシステム等)、共通理解を図るための職員研修などを行った。
このような取組により、職員間の共通理解が深められ、生徒の実態に合った類型化された「職業生活」の学習を構築することができた。また、生徒が早期に複雑な進路について考えたり、様々な体験を通して自己理解を深め、就労意欲を高めたりすることができる生徒が増えた。
学校での学習が卒業後の生活に生かされることを目指し、生徒が卒業後により良い豊かな生活を送ることを願った実践である。