学習指導要領の改訂に伴い,特別活動では新たに目標に「自己の生き方についての考えを深め,自己を生かす能力を養う」という文言が加えられた。私は,知識や技能の習得に留まらず,自己の生き方についての考えを深める児童を育成することが,今、特別活動に求められていると考える。
そのために、小学校の学級活動において大切なのは,学級の問題解決に向けた集団活動を通して,児童自らが自分の行動をより望ましい方向に決定する力を養うことである。児童が自分自身の態度や考え方、行動をより変容させる力を身に付けさせることができれば,「自己の生き方」を見つめる力を深めることにつながると考える。
これまで私は、学級担任として,学級集団の育成に関して,教師が学級の問題点を指摘したり,解決の方向を示したりしながら,問題解決を児童に求めるという指導に終始してきた。そこからは,児童が自ら問題を見付け,進んで解決に向かう姿は見られなかった。いわば「受け身」の問題解決を児童に求めてきた。
そこで、児童に次のような力を付けることで、「自己の生き方についての考えを深める児童」の育成を図った。
①学級の問題から自分の課題を見出す力
②課題解決に向け,自分の態度や行動の方向性を決める「自己決定」の力
③振り返り活動や他者とのかかわりを通して自己の認識や行動をより良く変容させる「自己評価」の力
研究実践では、6年生と3年生という発達段階の異なる2つの学級に対して行った取組の検討及び分析を通してその有効性を検証した。
手立てとして、「課題を見出すための活動」「自己決定する活動」「自己評価する活動」という一連のサイクルを、学級活動のなかに位置付けた。それにより、自ら前向きに課題解決に取り組む姿が多く見られるようになった。また、活動の振り返りでは、自らの成長を実感し、肯定的に自己をとらえる記述も多く見られるようになった。
研究実践の分析を通して、自らの行動を自己決定し、それを振り返ることでより良く認識と行動を変容させていくことが、「自己の生き方についての考えを深める子ども」の育成につながることが分かった。