かつて,学級崩壊後のクラスを担任した時,担任だけでの力では改善できないと考え,保護者に連携を呼びかけた。その経験から,道徳教育における保護者との連携の在り方を模索した。
学習指導要領には「道徳教育は,あらゆる教育活動を通じて,適切に行われなければならない。」「道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うもの」とある。
保護者には,道徳の時間はもちろん,様々な学校生活の様子を発信し,連携できるよう努力した。学級便りで,「保護者の窓」なる保護者の声を吸い上げる場を設け,「児童への温かいメッセージ」を求め,児童の自己肯定感が増えることをねらった。
保護者との連携の仕方として,二つのパターンがあると考える。
一つは,道徳の時間の事前連携である。例えば,発達障がいをもつ児童の保護者から,教師の知らない児童の様子を知り,保護者の願い,クラスメイトへの協力など考えた。保護者と共につくった授業により,クラスメイトの変容があった。
二つ目は,「道徳の時間の事後発信」と「様々な学校生活にかかわる児童の様子の発信」による連携である。保護者からは,児童の成長に気付きそれを喜ぶ声が届いたり,児童への道徳的な呼び掛けや資料の提示があったりした。児童には,それらの内容を伝えることで,児童自らの行動や考え方に,少しずつよい変化が生まれていった。
以上の実践を通して,教師の知り得ない児童の成長を保護者の目線で知ることができたり,保護者の思いや要請から,教師の道徳指導や日常的な教育活動によい影響を与えることができたと考える。
反省としては,授業の事前・事後の連携はあるものの,授業の展開の中での連携もあり得たということ。今後,保護者とともに考える授業の展開など,考えていく必要がある。