研究実践の内容
戦後68年を経て戦争経験者の高齢化が進み、戦災体験者から学ぶ平和教育の充実が求められている。しかし、従来の平和教育では戦争の悲惨な事実を学ぶだけにとどまることが多かった。それだけでなく、平和な社会を実現するための建設的で実践的な態度を育成するために、以下の3点を指導の軸として本実践を行った。
1 意識調査アンケートを年間を通じて行い、生徒の平和に対する意識を把握しながら実践を行う
2 戦災体験者だけでなく、他地域に住む中学生、行政関係者など様々な立場の人々と意見を交流させる場を設定する
3 市民対象の発表を行うことをゴールとして設定し、相手意識のある表現活動を行うことで平和実現への手ごたえを感じさせる
1は、「現在の日本は平和だと思うか」「人は戦争のない世界を実現できると思うか」など5項目のアンケート(回答数約130)である。「人は戦争のない世界を実現できると思うか」という項目では、学習前には「はい」と答えた生徒は54%と約半数であったが、実践終了時点では80%となった。
2は、戦災経験者からの講話を2回行った。また戦災経験者との小グループでの座談会、修学旅行先の広島在住中学生との交流会、ハワイ在住中学生との交流会、行政関係者との意見交換会などを行った。
3では、発表会終了後、参加者対象のアンケート(回答数423)「平和実現への希望が見えたか」において肯定的な評価が96%となった。アンケート結果を生徒自身に示すことで自分たちの活動の意義と手ごたえを感じさせることができた。
実践を通じ、地域で行われる平和に関連するイベントに生徒が積極的に参加する姿が見られた。戦争や平和について生徒自らが考え、主体的に行動しようとする態度を育成する上で、有効な実践であったと考えられる。