本単元は,水の状態変化を温度変化と関係付けながらとらえさせることがねらいである。しかし,これまでの私の実践では,「水は100℃で沸騰して水蒸気に変化する。」という関係付けで終わっていたため,沸騰実験の最中にフラスコの底から出てくるあわが水蒸気であることや,水蒸気が冷やされて湯気になることを十分に説明することができなかった。この要因は,「水←→水蒸気」の状態変化を温度変化と関係付け,意識させながら考えさせる手だを講じてこなかったことにある。
そこで私は,水の状態変化を『水モデル』で表すだけでなく,水を100℃にする熱量を『熱モデル』として与え,水の状態変化と熱量の変化を2種類のモデルを使って考えさせた。
熱量を表す赤色マグネットの提示により,水の状態変化と温度変化を関係付けた事象解釈をさせることができた。さらに,水の状態変化について,熱量の働きをイメージさせることができた。また,モデルは,可視化や操作性に優れつつ,統一された表現のため,互いの考えを比較しやすい。そのため,お互いの考えの比較・検討を通してより妥当なモデル表現や事象の説明へと高めることができた。
モデル操作と言語を結び付けて文章化する場面の設定では,モデル操作そのものを文章化させるのではなく,科学的な言語に置き換えて説明させることで,事象理解をより確かにさせることができた。