私は、算数科において『考えを深める』ことの具体を、「多様なやり方で課題解決ができる」、「自分の考えを分かりやすく説明できる」の二つであると捉えている。しかし、担任している子どもたちを見ると、答えの正誤に強く意識が向いてしまい、考え方を吟味するところまで意識が向かない子が多い。これでは、考えを深めることができない。また、新学習指導要領の中には、『見通しをもち筋道を立てて考え、表現する能力を育てる』とある。明確な自分の考えをもち、それを図や表や式、言葉等で表現しながら友達とかかわることを通して、考えを深めることができるようにしたい。
そこで、本研究では、「子どもが、『ふきだし』をもとにしながら自分の考えを明確にもち、考えを出し合って多様なやり方で課題解決をさせれば、自分の考えを深める子どもを育てることができる」を研究仮説とし、次の二つの手立てを中心に実践を行った。
①見通しを共有する「ふきだし法」
個人解決に入る前に、やり方の見通しをふきだしの形で記述させ、共有化を図る。
②かかわりの手助けとなる「ホワイトボードの活用」
一人一人の考えをホワイトボードに書かせ、それをもとに考え方を吟味する。
過去2年間の授業実践から、少しずつではあるが、子どもの変容がノートの記述から見られるようになってきた。3年目の今年度も7月に授業研究を行い、さらなる子どもの変容を探っている。
【参考文献】
「算数科 言語力・表現力を育てる ふきだし法の実践」亀岡正睦 明治図書 2009