今年度三条市は、小中一貫教育の全面実施を迎えた。三条市の小中一貫教育は、小学1年生から4年生までを前期、5年生から中学1年生までを中期、2・3年生を後期と位置づけている。新学習指導要領により、小学生も古典学習を実施することとなった。4年生までの学習指導要領では「易しい文語調の短歌や俳句について、情景を思い浮かべたり、リズムを感じ取りながら音読や暗唱をしたりすること。」とあり、文語調の俳句や短歌の音読・暗唱を中心に行っている。さらに5年生からの学習指導要領では「親しみやすい古文や漢文、近代以降の文語調の文章について、内容の大体を知り、音読すること。」とあり、『竹取物語』『枕草子』『平家物語』といった本格的な古典に触れている。そして中学1年生の学習指導要領の「文語のきまりや訓読の仕方を知り、古文や漢文を音読して、古典特有のリズムを味わいながら、古典の世界に触れること。」につながっていく。つまり、本格的な古典に触れるこの中期における授業のあり方を工夫することが、その後の児童・生徒の古典学習の基礎や古典に親しむ態度を育むものと考える。
そこで、小学5年生で学習した『竹取物語』を中学1年生でも学習することを通して、「児童の本格的な古典とのかかわり方」や「小学校での学びを生かした中学校での授業のあり方」を提案する。具体的には、「『竹取物語』の新たな発見を小学5年生に伝えよう!」という単元を設定して、小学校での学習の履歴をもとに、当時の感想や疑問などを想起させながら、今までの理解とは違う「新たな発見」を整理して、小学5年生に伝える。
この単元によって、中学生は『竹取物語』の理解をより深め、古典に親しむことにつながると考える。また、小学生は疑問が解決したり、新たな発見を知ったりすることで古典の世界を広げていくことにつながると考える。