私が3年生で指導してきたかけ算の筆算では、位取りを間違ったり、その間違いに気付くことができなかったりする子どもの傾向があった。これは、一桁どうしの数字の計算手順ばかりに注目し、子どもの十進位取り記数法の意識を高めることができなかった指導に問題があると考えた。
そこで、十進位取り記数法の意識を高めるとともに、子どもの筆算に対する主体性や数学的な思考力の育成を目指し、自作のオリジナル教材・教具「位取りフリップ」を活用した算数指導を試みた。
「位取りフリップ」とは、数字の置かれた位が以下に続く0の数で決まっていくことを子どもに意識させることができる教材・教具である。これを活用することにより、子どもは数字を半可視化し、見えない0を意識することで、十進位取り記数法の意識を高め、位取りを意識しながら筆算の仕方を考えたり、説明したりするといった主体的な姿を見せるようになった。